譲渡所得で大切なのは買った時

確定申告シーズンに入りそわそわしてきた人もいるかと思います。

不動産投資を行なっている方やフリーランス等で個人事業を行なっている方などにとって確定申告は重大な行事ですが、ある意味では毎年の恒例行事として受け入れ、ある程度の準備をして(又は覚悟をして)申告シーズンに立ち向かっていることかと思います。

そんな中、「今年は必要!来年以降は不要!」といったスポット申告をする方は、何から準備していいかもわからず右往左往…というパターンがよくみられます。

スポット申告の代表例!譲渡所得(不動産)!


不動産等を売却した際に(所得が発生したら)申告が必要となるのが譲渡所得(不動産)です。
マイホームを売却した、相続した実家を売却した、相続して兄弟間で共有していた不動産の共有持分を売却したなどなど…金額も大きく、かつ何度も経験することでもないため頭を悩ませている人が多いことかと思います。

譲渡所得の概要(不動産を中心に)


まずは譲渡所得とは何ぞや?を確認しましょう。
国税庁タックスアンサーNo.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htm

色々と書いてありますが、把握すべき点は今回のテーマ的には下記2つです。

①土地や建物を譲渡すると譲渡所得となる。

※ただし、譲渡とは何かについては色々とややこしい。

②土地や建物の譲渡は分離課税。

※分離課税とは
事業所得や給与所得などの他の所得の金額とは区別、
租税特別措置法に規定された税率によって計算。

※総合課税とは
事業所得や給与所得などの他の所得の金額と合計、
所得税法に規定された累進税率によって税額を計算。

譲渡所得(土地建物等)の計算方法


土地や建物の譲渡は分離課税されることは確認しましたので、次に計算方法を確認しましょう。
国税庁タックスアンサーNo.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm

計算方法はある意味単純です。

譲渡所得=①土地や建物を売った金額△②取得費△③譲渡費用

各要素別にみてみると

①土地や建物を売った金額

⇒基本的には売買契約書を確認。
※時価とみなす場合等については省略します。
※固定資産税の精算金を受領した場合は要注意。

②取得費

⇒土地や建物の購入代金・購入手数料など資産の取得に要した金額。
※購入後に支出した改良費、設備費も取得費を構成します。
※何が改良費、設備費にあたるのかについては省略します。
※建物の取得費については減価償却費相当額を差し引く。
※取得費が不明などの場合、譲渡価額の5%を概算取得費とすることができる。

③譲渡費用

⇒土地や建物を売るために支出した費用。
※仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などが譲渡費用を構成します。

今更どうしょうもないことがある


譲渡所得の計算方法を確認しましたが、②取得費だけは申告の時に資料がないとどうしようもないことになります。
①土地や建物を売った金額、③譲渡費用については申告のタイミングで不足資料があっても1年以内の出来事なので色々と資料収集の方法もありますが、②取得費については購入時の資料を申告のタイミングで再取得するのはかなり困難です。

このような場合の救済措置として概算取得費の制度がありますが、取得費が譲渡価額の5%となると、譲渡所得に係る税金が多額になる可能性が高いです。

概算取得費のほかにも、
・(一財)日本不動産研究所 公表『市街地価格指数』を用いる方法
・積算価格により建物の取得費を推定する方法
など「取得費を合理的に計算する方法」はあります。
ただし、これらの方法は税理士等に依頼して行うことが安全かと思います。

将来困らないために

上記のように、取得費については後からどうにもならないことになります。

特に相続があった場合、基本的には購入時の取得費が引き継がれますので、購入した当人でなければ、後から正確に取得費を計算するのは困難です。まして、資料がなければほぼ不可能です。

自分のためのみならず、特に相続後に相続人が困らないために記憶がしっかりしているうちに書類の整理(可能であれば集計も)しておくことが重要です。

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