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先進7カ国の政府オープンデータカタログ

先進7カ国(G7諸国)の政府オープンデータカタログサイトに掲載されているデータセットの数を比較してみた。なぜこの7カ国を比較するかというと、2013年の英国ロックアーンサミットでこの7カ国(当時はロシアもいて8カ国だった)は「オープンデータ憲章」に合意しているからだ。

調べ方は、各国政府のオープンデータカタログ(ポータル)サイトにおけるカウント数を確認しただけである。結果は、下にある表のとおり。(国によってデータセットの定義が異なる可能性はあるのでその点は注意。特に大幅に件数が減って順位を下げたカナダは2016年と2022年では定義が変わったのだと思う)

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ひとことでまとめると、日本の状況は、良くはない。政府は「電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ」(2013年)で、2015年度末までに「他の先進国と同水準のオープンデータの公開と利用を実現する」という目標を掲げていた。2016年の僕の調査はこの達成度をみるもので、日本は7カ国中6位だったものの5位フランスや4位ドイツの背中が見えていた。そこで僕は「上位ではないが、多の先進国とほぼ同水準のオープンデータの公開を達成している」と評価して社会情報学会で発表した

今回(2022年)の調査はその続きをやってみたもので、残念ながら日本は順位を下げ7カ国中7位となってしまった。6位カナダの背中は見えるが、5位フランスやそれより上位の国々には大きく水をあけられている。さまざまな取組みが進んでおり成果も出ているので日本政府の取組みが「悪い」とまではいわないが、この件について相対的に見れば、他の国々が着実に進展しているのだから日本政府のデータカタログサイト(data.go.jp)は「もっと頑張りましょう」と評価せざるを得ないだろう。

オープンデータ政策コミュニティ(というものがあるとすると)の専門家の皆さんは、「数を増やすことにはそんなに意味はない」「これからは質が重要」「活用事例をどう作るかが重要」と言うと思う。僕も最近はそう話すことが多い。これらの意見は間違っていない。ただ、だからといって数を増やす取組みをやめていいわけではないだろう。現に、他の先進国は数も着実に増やしているのだから。

さて、ここで気になるのが、DFFTだ。日本政府は、安倍首相時代からDFFT: Data Free Flow with Trust(信頼性のある自由なデータ流通)という概念を掲げて、これを世界に広げていこうとしている。DFFTは、プライバシーの保護やデータの信頼性確保、データ取引やデータ流通の促進など、さまざまな要素から出来ており、政府自身が質の良いデータを作り社会に供給していくオープンデータの政策も(特にFree Flowの取組みとして)含まれていると思う。だとすると、DFFTを世界に呼びかける日本政府のオープンデータカタログがこの状況にあるというのはちょっと残念なのではないだろうか。デジタル庁の皆さん、各府省の皆さん、頑張っていきましょうね。

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