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非IB校からオックスフォードに出願しよう

今年、都内の公立校からイギリスのオックスフォード大学に合格しました。

このあと説明するように、オックスフォードやケンブリッジなどイギリスのトップ大学に出願するには制度上のハードルがあり、他の留学生から「日本の高校からオックスフォードに出願できるなんて知らなかった」とびっくりされることもあります。そこでこの記事では、

・必要な高卒資格や成績
・試験の内容・受け方
・出願のタイムライン
・学費、日英併願等

を紹介していきます。この記事がみなさんの選択肢を広げるきっかけになれば幸いです。

私の知っていることは限られており、時間が経てば古くなりますので、詳細はぜひ自分で調べたり、専門の留学エージェントに相談してください。修正点や質問などありましたら、ぜひ本記事のコメントやTwitterにお願いします。

0.志望理由

イギリス大学の紹介を兼ねて、いくつか手短に挙げておきます。

高い専門性
シラバスが自分の興味と一致していた
・世界的な評価の高い環境で勉強・研究してみたい
・イギリスや寮生活への憧れ

海外進学といえばアメリカが多いですが、大学でやりたい分野が決まっているような場合は、イギリスも検討してみるとよいかもしれません。

1.必要な高卒資格・高校の成績

イギリスの大学に進学する高校生は、Aレベルというカリキュラムを履修します。ここでの成績が高校の課程を修了した証であり、入学時に一定以上の成績を保持していることが求められます。

例えば、大学の各コースのwebページ()を見ると、Entry requirementsという項目があり、"A*A*A" というような記載があるかと思います。これが入学に必要なの成績です。Aレベルには次のような特徴があります。

・基本的に3~4科目を選択して専門的に学ぶ
・日本の高校よりも進んでいることが多い
・最終試験で成績が決まる

では、Aレベルの授業を受けてない場合はどうすればよいのでしょうか。

大学はAレベルに限らずさまざまな資格を受け入れています。オックスフォードであれば、International qualificationsというページにその一覧があります。内容は大学によって若干異なります。

しかし残念ながら、日本の高校卒業証明書は十分な資格として認められておらず、入学要件を満たせません。代わりの選択肢は上のInternational qualificationsのページを参照すればいいのですが、主には次の方法があると思います。

・国際バカロレア(IB)

IBでの成績はAレベルの代わりとして認められます。これを導入している日本の高校は公立校を含め一定数あります。私の学校はそれには該当しませんでした。

・日本でAレベルの最終試験を受ける

Aレベルの成績を授与する機関の一つにCambridge Assessment International Educationがあります。その下でAレベルを扱う学校の一覧はこちらです。ここに行けば、Aレベルの授業や最終試験を受けられます。オンライン形式のところもありますね。

しかし、こういった公式の教育機関で授業を受けることは必須ではありません。最終試験さえ受ければ成績がもらえ、これを大学に認めてもらえます。ですので、日本の高校の範囲から外れているところだけをオンラインの家庭教師から英語で教わったり、教科書を買って自分で勉強することもできます。私はこの方法で大学に出願しました(家庭教師や塾は結局利用しませんでした)。試験の受け方は後述します。

・(追記)日本でAP試験を受ける

アメリカから出願するときに使われる方法だと思います。過去問や試験会場を見て検討してみるとよいかもしれません。

・ファウンデーションコースを経由する

この方法が最も一般的だと思います。大学併設の進学準備コースとも呼ばれるもので、日本の高校の成績を使って出願できます。1年間かけて十分な成績でこのコースを修了すると、その大学や他の大学の学士課程に入学できます。

注意として、オックスフォードやケンブリッジに留学生向けのファウンデーションコースは(私の知る限りでは)ありません。他の大学のファウンデーションコースから出願するとしても、先生からの推薦書や試験対策の時間の確保も必要なので、ハードルの高さはあるようです。

2.試験の内容・受け方

私はAレベル試験に加え大学独自の試験をいくつか受験しました。これらの内容や申し込み方を紹介していきます。

まずAレベル試験についてです。問題の難易度は高くなく、しっかり勉強していれば解ける程度のものが出題されます。ただし先述のように範囲が日本の高校過程より進んでいることが多く、出題範囲自体のレベルは高いです。

また、問題はすべて記述式です。科目によってはエッセイなども書きますが、理系教科に関しては英語がハードルになることはあまりないんじゃないかなと思います。

次に申し込み方法についてです。まず下のページから試験の実施場所を探します。"Private candidates accepted" と示されているところが、外部の受験者を受け入れている実施場所です。

(今2021年9月に見たら、private candidatesを受け入れる実施場所がかなり減っていました。感染防止という面もあるのでしょうか)

追記:例えばBritish Councilは物理などの実験のテストを実施していません。自分の受けたい科目の試験がその会場で実施されているか確認しましょう。

めぼしいものを見つけて、そこのウェブサイトに移動します。Aレベル受験希望者向けのページがある場合もありますが、なさそうだったらメールで連絡してみましょう。

なお、試験を実施しているのはCambridge schoolだけではありません。日本国内でも例えばBritish CouncilはEdexcelの試験も実施していますが、これらの国内の状況は私もよくわかりません。また、ご時世的には厳しいですが、他国の試験会場で受験することもできるようです。

大学やコースによっては、独自のペーパーテストを課すところもあります。これはBritish Councilで受験できる可能性が高いです。Cambridge Assessment Admissions Testingが実施する試験についてはこちらを、それ以外はこちらを参照してください。試験範囲や過去問も探せば見つかると思います。

大学の面接も受けました。例年は原則大学を訪れて対面の面接を受けるそうですが、今年はすべてオンラインでした。内容は大学のwebサイトを、実際の雰囲気はYouTubeのmock interview的な動画を参考にしました。

3.出願のタイムライン

次のページを参考にしました。

Aレベル試験を受ける場合は、基本的に合否が出たの5~6月に1か月半ほどかけて15個ほどの試験を受けることになります。英語の語学試験の要件も締切が入学直前の7月末だったので、IELTSもAレベルと同時期くらいに勉強して受験しました。詳しくは各大学のwebページで調べてみてください。

なお、Aレベルの成績が出ていない生徒に対して、大学側は代わりにpredicted grades(成績予測的なもの)を考慮します。これは学校の先生が課題への取り組みや校内の試験の成績をもとに生徒に与えるものですが、これに関してはそれっぽいものを日本の高校の先生に出してもらえばOKです(出願先にメールで問い合わせて、そのような回答を受け取りました)。

4.学費、日英併願等

学費はびっくりするほど高額です。私の進学先であるオックスフォードの数学・コンピューターサイエンスコースは、授業料が1年間で600万円ほどかかり、ここに寮での生活費が上乗せされます(なお、国立なので現地生の授業料はこの4分の1ほどです)。

大学によっては成績優秀な生徒の学費を補助することもあるそうですが、オックスフォードに関してはそのような頼もしい奨学金はなさそうで、大部分を自費で賄うか、民間の奨学金に頼ることになります。

奨学金の情報収集には、次のサイトにお世話になりました。

海外留学支援サイト

ここから「奨学金検索サイト」に飛ぶと、自分に該当する奨学金を検索することができます。ここに載っていないものとしては、孫正義育英財団や東進の留学支援制度などもあります。

私は柳井正財団の海外奨学金にお世話になっています。ここで学士課程での学費や生活費をすべて給付していただけることになりました。ここに受かっていなかったら、私はオックスフォードの合格を辞退して日本の大学に通っていたはずです。

次に日英併願についてですが、計画的に準備すれば大きな失敗はしないだろうと個人的には思います。というのも、イギリスの出願で忙しいのは、

・夏…Personal Statement(志望動機書)執筆
・10月ごろ…出願締め切り
・11月~1月…大学独自の筆記試験・面接など
・5~6月…Aレベル試験

といった感じで、日本の大学受験で大変な時期とは被らないからです。例えばオックスフォードの独自試験は12月中旬で終わりました(インペリアル・カレッジ・ロンドンの面接は共通テストの3日前でしたが…)。また、しっかり日本の大学受験の勉強をしたことが、イギリス大学の試験でも役に立ったと感じています(特に数学)。

当然ですが、どちらも中途半端に終わってしまうリスクもあります。慎重にペースを配分しましょう。

5.全体的なアドバイス

たくさんリサーチしましょう。一番頼りになるのは出願先の大学のウェブサイトです。国際色豊かな大学であれば、海外からの出願に関する情報もどこかにまとまっているはずです。

志望動機書を書くコツなども大学のwebサイトに載っていました。こういったページを読んで、わからないことがあれば大学や試験機関に問い合わせてみましょう。


日本国内の代わりに海外の大学を目指すというのは、自分を不利な状況に置くことにもなり得ます。自分で考えて計画を立て、後悔しない進路選択ができることを願っています。

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