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レビュー/AMARAMTHE の「THE CATALYST」 唯一無二のエレクトロニカル・ダンス・メタル

THE CATALYST / AMARANTHE
2024年2月発売

スウェーデンのAMARAHTHEが前作からおよそ4年ぶりとなる通算7枚目のスタジオ・アルバム「CATALYST」をリリースした。

これぞAMARAHTHEと言うべき作品だ。紛れもないヘヴィ・メタルでありながら,エレクトロニカルな味付けがなされたサウンドは眩いばかりに煌びやか。メロディアスでダンサンブルな楽曲の数々は豪華絢爛のひと言に尽きる。過去のアルバムに比べて本作のアゲアゲ度は若干控えめな気もするが,その分全体的に上品な仕上がりになっていると思う。

3人のヴォーカリストの表現力も素晴らしく,どの曲もとてもドラマティックだ。グロウル担当のヘンリックが前作リリース後に脱退してしまったが,新たに加入したミカエルのアグレッシヴなスタイルが前任者に似ているので,違和感はゼロと言っていい。華やかなエリース,エモーショナルなニルスと,三者三様の個性が見事に発揮されていると思う。

楽曲の洗練度が増していることに加えてちょっぴりシリアスな雰囲気も強まっているので,3人のヴォーカリストが入れ替わり立ち替わり歌詞を紡いでいく展開は,まるでミュージカルのよう。ほとんどの曲は3分前後とコンパクトながら,とても密度が濃い。その理由の一端は3人のヴォーカリストの存在にあるのだろう。

収録曲数は本編12曲+ボーナス・トラック5曲の全17曲という豪華仕様だ。後者5曲のうち2曲はカバーで,3曲は自身の曲の別アレンジ・バージョンである。せっかくのボーナス曲だが,アルバム全体が冗長になるので個人的には5曲もいらないと思う。その出来栄えが素晴らしい“Damnation Flame”のオーケストラ・ヴァージョンだけで良かったのではないか。

それにしても,と改めて思う。2011年の1stアルバム「AMARANTHE」から本作に至るまで,リリースするアルバムが全て尋常ではないレベルの高品質を維持していることが驚異的だ。ブレることもなければマンネリに陥ることもない。15年近くにわたり一貫して「これぞAMARANTHE」と言える作品を作り続ける創造性と進取の精神に脱帽だ。

【収録曲】
01 The Catalyst
02 Insatiable
03 Damnation Flame
04 Liberated
05 Re-Vision
06 Interference
07 Stay A Little While
08 Ecstasy
09 Breaking The Waves
10 Outer Dimensions
11 Resistance
12 Find Life
13 Fading Like A Flower (Cover Version)*
14 Insatiable (Acoustic Version)*
15 Damnation Flame (Orchestral Version)*
16 Breaking The Waves (Acoustic Version)*
17 The Dragonborn Comes (Acoustic Version)*
*Bonus Track


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