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HIPHOP のHIPは「尻」ではない
HIPHOPはもともと一種の形容詞のようなもので、1970~80年代の初期のHIPHOPは『エレクトロ・ロック』と呼ばれていた。
HIPの意味は「かっこいい」である。以前、べつの記事でcoolの「かっこいい」以外の意味について書いたが、HIPはcoolとはまた趣が異なる。
HIPは「ワカってる」ような意味の「かっこいい」だ。
もとはアフリカの言葉
ウィキペディアではHIPは「飛んでいる」という意味らしい。ジャイブを踊ってる人たちを指す形容詞だそうだ。
それもあるかもしれないが、HIPが後のヒッピー(hippie)に繋がる要素は、アフリカ語の「見える」「理解する」を表すヘピ(orヒピ)がその源流である。
見える・理解するをさらに深く広く解釈すると、真理に辿り着いてるとか、ある意味で悟りを開いてるみたいな意味になる。1960年代のヒッピーはこちらの意味でHIPと言っている。
ブッダはヒップ
「見える」を「悟る」にまで解釈して、「悟ったもの」という意味を持つ単語を名乗る者はアジアにもいる。ブッダである。
私たちが仏像として見ているあの人はゴータマ・シッダールタという。ブッダと呼ばれる人は、彼の前にも何人か居たそうだ。もちろん現代の常識でいうと、ブッダといったらそれはそのままゴータマ・シッダールタを指すのだけれど。
hipster image
1960年代におけるHIPと、ラップを歌うHIPHOPのHIPも少しだけ意味が異なっているかもしれない。しかし一度アメリカの白人に伝わってから、ふたたびアフリカ系の民族に返ってきた単語があるというのは驚きだ。
HIPHOPは、言うまでもなく知性を重視する。ラップの歌詞における知性はもちろん、ジャンルの初期から常にテクノロジーを駆使してその作品が作られてきた。
しかしファッションにおけるヒップスターhipsterというと、さらに意味が変わる。この単語もよく勘違いされるが、スターは星ではない。~~する人のことだ。ネットフリックスの洋ドラでは「サブカル野郎」と訳されていた。
私が思うに、hipsterは日本でいう「意識高い系」のことだ。ほめるときにもけなすときにも同じ単語で呼ばれるところも似ている。
「かっこいい」の種類がたくさんあってややこしい。ちなみに日本語の「かっこいい」も1950年代以降に出てきた言葉であって、ずっと昔からあった単語ではない。