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第5章<成長する>なぜ阻害要因の心配をするのか?なぜただ強みを活用しないのか?

1.阻害要因が生まれた強みの「負の側面」

阻害要因が生まれつきの性格なら、なぜ管理しようとするのか?リーダーは既存の強みを最大限に活用し、持って生まれた傾向に身をゆだねてはいけないのか?

この前提に説得力があるのは容易に理解できる。

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リーダーはみな、生まれながらの強みをさらに研ぎ澄ます方法を探すべきだ。例えば、カリスマ性を持った個人は、話し方をさらに磨くトレーニングを受けて、この分野を大きな強みにすると良い。

また、リーダーもその上司も、阻害要因を避けることのできない、強みの「負の側面」として、正当化したり、後押ししたりしたくなるものだ。類まれな創造性と貢献で認められているマーケティング担当取締役のミッチの例を見てみよう。彼は、人を奮起させると同時に、いら立たせることがある。後者は、思いついたことをそのまま言葉にしたり、他者の言うことを遮って会話を独占しようとしたりするときに現れる特性だ。過去のフィードバックをもとに、ミッチは行動を管理しようとしたが、情熱が自制心に勝ってしまい、予想通り混乱に陥ってしまった。ミッチも上司もその結果を認める一方で、ミッチの阻害要因としての奇抜さを示すこの行動パターンを軽く受け止めて、彼の魅力のひとつであり、能力とセットで考えるべきだと見なした。

ミッチの行動は、個人の強みの開発にのみ焦点を当てるのは賢明ではないことを示している。個人特性に根差していることだからといって能力開発のニーズを無視するのは短絡的だ。これは、強みが弱みの埋め合わせを十分にしてくれるという考えから起きることだが、それは明らかに間違いである。

人を率いたいというモチベーションを醸成する。リーダーシップへのモチベーションの差は、幼いとき――小学校あるいはもっと前――から現れることが、調査で判明している。学校やクラスでリーダーだった人は、その後の人生でもリーダーになる可能性が高い。これは、一部はスキルであるが、大部分はモチベーションと自己効力感によるものだ。リーダーになることをまったく試みたことがないため、試みが成功することで得られるものをまったく経験しない人もいる。リーダーシップへのモチベーションは、両親、教師、初期のメンター、コーチなど、ロールモデルとの出会いによって喚起されることもある。優秀なリーダーを観察したことがない人は、自分がリーダーになったときにどのような影響力を持つのか理解できないだろう。

誰もがリーダーになりたがると考えるのは誤りであるが、リーダーシップに興味がない人が、これから先もずっとそうであると決めつけるのも誤りだ。モチベーションは変わる。人を率いたいという欲は、特にリーダーになるメリットを経験することで、意図的に高めることができる。ときには、試してみたらと言われるまでリーダーになることなど考えもしなかった人が、最高のリーダーになる場合もあるのだ。

2.モチベーションは変わる。人を率いたいという欲は意図的に高められる

リーダーシップへのモチベーションをもともと持っていない人をすぐにその気にさせることはできないが、モチベーションさえあれば、優れたリーダーになれるようなコンピテンシー、知識、経験、特性を個人が持っていることはよくある。例えば、リーダーに昇進する人がごく少数であるため、リーダー職務の空きがあるという状況がある(例:ヘルスケア、エンジニアリング、財務、ITなどといった専門分野)。このような場合、可能な限り、有能な個人にリーダーシップへのモチベーションをもたせることは価値がある。

リーダーシップへのモチベーションを向上させる直接的な方法は2つある。1つ目は、非公式なリーダー職務を少しずつやらせる方法。小さなプロジェクトや小グループのリーダー、大きなグループの共同責任者になるなどだ。当然、もっと経験を積んだ共同責任者やメンターに補完してもらわなければならない。だが、一度リーダーのポジションに就くと、自分が興昧を持てて、予期せぬ形でモチベーションを生んでくれるような側面を見いだすことが多い。

2つ目は、気乗りしていない個人をリーダー職務に就かせ、コーチングやトレーニング、支援を授ける試みをすることだ。実際、多くの組織がこうしている。適任だと思われる個人を会社が特定した後で、その人材がリーダーの仕事はしたくないと言うことはよくある。そのような場合、リーダーシップへのモチベーションの欠如が原因であるケースが多く、それは尊重されなければならない。だが、リーダーシップへのモチベーションの欠如は、自信の欠如に根差していることもある。どちらの場合も、支援、ガイダンス、リーダーシップの基本スキルの構築によって、障害が減り、成功につながることが少なくない。われわれは、大小のリーダーシップ状況に置かれ、支援を得て、リーダーシップへのモチベーションに対する考えを変えた人を数多く見てきた。彼らはリーダーシップで成功を収めるにつれ、その役割が、自分が思っていたよりも魅力的であると気づくのだ。

特定のモチベーションを理解し、活かす。リーダーシップへのモチベーションを確立するのは、成長の加速化の重要な要素である。だが、人の真の情熱を刺激するには、仕事に関連した動機をより深く探らなければならない。他者を支援したいという思い、仲間と強いつながりを築くこと、自分の仕事で報われたり認められたりすること、影響力を持つこと、楽しむこと…などである。リーダーには、それぞれ個人的なモチベーションがあり、負う責任が増えていくにつれ、モチベーションは新しい職務を全うするのに必要なエネルギーの大事な源となるのだ。

職場での人間関係を大切にするリーダーは、顧客やパートナーとの長期にわたる関係が必要な、相談相手としての役割で成功するだろうが、タスク志向で人とのやりとりが少ないのを好む人が多いエンジニアリングの環境では苦労するだろう。大規模な組織改編を担う利他的なリーダーは、人々が変化に対応するための支援に注力し、長い目で見ればいかに彼らの生活が良くなるかを伝えることに重きを置くだろう。対照的に、品質と卓越性を重視するリーダーは、同じ状況に対処するにも、自分たちの取り組みがより良い製品を作り出し、顧客に大きな価値を提供し、市場に良い影響を及ぼすことを伝えることに重点を置くだろう。

モチベーションは状況(リーダーとしての役割)と人との適合に影響を与える。これは人材開発の加速化計画の立て方に、大きく関係することだ。関係者や置かれた状況に、学習者のモチベーションがどのように関わるのかを理解することが重要である。「何があなたにモチベーションを与えているか?」とただ尋ねても、必要な洞察は得られない。性格同様、モチベーションも適切な方法とツール(第4章)を使って正確に測定できるし、そうするべきである。トレーニングを受けた面談者による効果的に設計されている面談(注)は、モチベーションに関して適切な質問をするだけでなく、より正確な洞察を得るために個人の反応の探り方を決めるのにも役立つ。有効なモチベーション診断を行えば、個人のモチベーションをより詳しく理解するのに役立つ客観的な洞察力が加えられる。これらの方法を使えば、学習者のモチベーションを完全に理解して最大限に活用することができる。

(注)ターゲット・セレクションは、世界初のそして今最も広く使われている、モチベーションを明らかにする面談手法である。行動アプローチを使って、個人の仕事の経験を聞き、どのような、行動アプローチが満足やエネルギー、成功につながるかを探る。

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3.おすすめ人材アセスメントソリューション

4.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

5.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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