読書記:「イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか」(宮田律著、新潮新書)(2014.9.26日経産業新聞寄稿)

------後日のコメント-----------------------------------------------------
2014年に第10回世界イスラム経済フォーラムが東京で開催された。
その開催の支援業務を行った際にイスラム経済に関わったころに読んだ書籍。欧米的思考よりもイスラム社会の本質のほうが日本的な思想との親和性があったという話。
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イスラムというと、過激派の活動が注目される昨今であるが、それは一面にすぎない。首相の訪問先に多くのイスラム諸国が含まれており、アジアのイスラム諸国を中心に日本企業との重要性は増してきている。しかし、日本人にとって、イスラムはまだまだ理解の遠くにある。今後、日本のビジネスパーソンとイスラム世界との関が深まることは間違いない。本書はイスラムについての書藉の中でも日本人の親和性を軸にイスラムヘの理解を助けてくれる。
日本人の倫理観はイスラムの徳に通じ、清潔で規律正しく互いを尊重する精神がイスラムの原理と共通するという。日本とトルコの強い友好関係やウズベキスタンが中央アジアの重要な親日国である理由について、トルコ軍艦救助、日露戦争勝利といった歴史のエピソードと合わせ、親日感情の原点が解説される。日本が多くのイスラム諸国から期待されている事実がある一方、中国・韓国の影響力が増している中での、日本のイスラム諸国への対峙の仕方について示唆を与えてくれる。

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