読書記:「物語シンガポールの歴史」(岩崎育夫著、中公新書) (2013.5.14日経産業新聞寄稿)

シンガポールは奇麗で治安がよく、日本人にとっても最も心地よく暮らせる外国であろう。最近、では、東京に置いていたアジアのコントロール拠点を、シンガポールへ移す日本企業が増えている。日本のビジネスパーソンにとって重要な国の一つであるシンガポールが、どういった特性を持っているのか。
本書によれば、シンガポールは「日本に学べ」キャンペーンを掲げ、交番制度導入など日本と同じような安全な社会づくりを進めてきた。ただ、その際注目された終身雇用、年功序列、企業内組合などの日本の制度は現代日本においては限界を迎えている。
シンガポールが持つ「経済発展を最大の国家目標とし、常に政策を転換し続ける宿命を持つ「水や建設資源など重要なインフラを他国に依存する」といった点については、著者が「建国者」と言うリー・クアンユー氏の強力なリーダーシップで乗り越え、現在の発展を達成した。
規模の違いはあるが、経済発展のために日本がシンガポールに学ぶべき点が多いことを読み取ることができる。

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