性のはなし:小児自慰と私
夏休みももう終わりですね。コロナ禍で例年より比較的仕事量が少なかった今年の休みは、母親業にも励んでいました。とは言っても実母の協力の下、できる範囲で、という感じなので、夫婦二人きりで子育てをしながら生活している方々と比べたらおままごとみたいなものですが…。
そしてこの夏引っかかったワードが、「小児自慰」。これ、検索するとまぁ出るわ出るわ…お母さん方のお悩みが山のように。実は私にも心当たりがあります。「小児自慰に悩む母」としてではなく、「小児自慰の当事者」としてですが。
私の当事者としての経験と、母として思うこと、教育者として考えることを共有することで、誰かの助けになればなと思い、今日の記事は書いています。
この記事を読んで欲しい人は
○小児自慰をするお子さんをお持ちの方
○小児自慰当事者
○子どもの教育に関わる人
○えびちゃん先生に興味がある人 です。
一番はじめの、自慰行為の記憶
私が記憶する限り最も古い自慰行為の記憶は、4~5歳頃だと思います。
その頃、弟が生まれるということで、生まれてからずっと住んでいたアパートから一軒家に引っ越しました。
引っ越した先には、造付けの2段ベッドがある部屋が。なんとも子供心をくすぐる部屋です。
「ここに寝たい!」というと、「1人で寝るならいいよ」と返事が返ってきて、二つ返事で独り寝を了承しました。
生まれたばかりの弟の世話をするのに、私が一緒に寝ていては不便も多かったことでしょうから、両親にとっても渡りに船だったことと思います。
眠れなくてそわそわと布団の上を1人転がっていたときに、何かの拍子に陰核が床に強く押しつけられ、「ん?なんだろ?きもちいいな」と思った事を覚えています。
以来、眠くなるまでぎゅうぎゅと股間を床にこするのが日課となっていたのですが、ある日ふと「床じゃなくて、手で触ったら早い」と思い立って、うつ伏せのまま床と身体の間に手を滑り込ませて刺激してみることにしました。思った通り得られる効果が高く、あっという間に眠れるようになりました。
今思い返せば、自分で言い始めて独りで寝ることにしたのにさみしくて寝付けないとは言い出せなかった上に、弟の世話で忙しくしている母に迷惑をかけないようにしよう、独りで眠れるならこの方法が一番いい、と思っていたのかもしれません。
このようにして私の小児自慰は始まったのでした。
母親に見つけられた日
いつ、どのタイミングだったかは覚えていませんが、恐らく夜間に弟の世話をする頻度が下がってきた頃だったのではないでしょうか。それまで夜に私の部屋を訪れたことがなかった母が、急に入ってきたのです。
もちろん私はお休み前の自慰行為のまっただ中で、今まさに佳境を迎えようとしていたところでした。
「なにしてるの!!!!」
気持ちよさで忘我の状態から一気に引き戻されたあの時の気まずさったら…今でも思い出すとそわそわします。
自分の行為がいけないことだとは思っていなかったものの、その時の母親の声音、声量、表情全てから瞬時に「これはまずい場面をみられたのではなかろうか」と気づきました。なんて答えればいいかな、なんてぼんやりした頭で考えながら、母が
「そんなところさわっちゃだめ」
「なんでそんな恥ずかしいことしてるの」
「どうやってそんなこと知ったの」
と矢継ぎ早でたずねてくるのを聞いていました。
ともかく、この気まずい場面が終わるには黙っているしかない…と沈黙を貫いていると、
「もうさわっちゃだめよ、絶対。いいね?」
と念を押して母が部屋を去って行きました。
ダメな理由も分からないし、もう入眠作業として自慰行為が定着していた私は、それ無しでは眠れません。その日からは母親の目を盗んで自慰に励むことにしました。
母との攻防戦
子どもの自慰行為を目にした母としては、気が気じゃなかったのでしょう。それまで全く部屋に来ることがなかったのに、まるで監視でもするかのように(実際していたのだと思います)頻繁に私の様子を見に来るようになりました。
見つかればまた怒られる。
母が様子を見に来るのを息を潜めて待ち、去ってから寝るために自慰行為をする。母がもう一度部屋を訪ねてくる前に全てを終わらせて眠りにつかないと… そのためにはもっと強い刺激であっという間に終わらせなくては。こうして私は直接自分の外性器に触れるようになったのです。
直接触れている場面を見つけられたときは、最初に見つかった時の比ではない位怒られました。
でも眠れないから止められない。
「ママ、眠れないから一緒に寝よう?」と素直に言えていたらそんな事にはなっていなかったのでしょうが、言えなかったのだから仕方がない、と今は思っています。
母もわざわざ見つけに来て、目撃してショックを受けることに疲れたのか、徐々に夜中に部屋にやってくることはなくなりました。
私も、小学生になって日中に体力を消耗するので夜はよく眠れるようになり、次第に自慰の回数も減っていったと記憶しています。
小児自慰のきっかけは人それぞれ。でも当事者として、母に言われて辛かった事は…
一番辛かった、いや、惨めだったことは、頭ごなしに否定されたこと。
「汚いからやめなさい」
「なんていやらしい子なの」
こんなことを言われたかな、とぼんやり記憶しています。ええ、辛かったし都合が悪いからあんまりきちんと覚えていません。
今振り返ると、怒るより何より、
「ちょっとママとお話してみない??」
って聞いて欲しかったなって思います。私のしていることをまず一度受け止めて欲しかったな。
多分私の小児自慰がきっかけだとは思いますが、私と母との間では性的な話題は長年にわたってタブーでした。
スタイルのいい女性に憧れて七夕の短冊に「おっぱいが大きくなりますように」と書いた時も散々冷やかされました。
実際に二次性徴が現れ、中学1年で乳房が膨らんで来たときもなかなか母に言い出せず、同級生の男子に狭い空き教室に呼び出され、「えびちゃん、そろそろブラジャーした方がいいと思う。体育の時めっちゃ揺れてるし、いつも乳首がすごく目立ってる。」と指摘されてようやく母にブラジャーの購入を頼んだ位です。
初潮が来たときも、出血量が多くない1日目と2日目は宿泊学習の事前指導でもらったナプキンを一日につき一つ当ててしのぎましたが、3日目にそれが尽きるまでは言い出せませんでした。
母として思うこと
自身の経験から、娘を産んだとき時、思春期を迎えるずっと前から性の話を自然にできるお母さんでいたいなという目標を立てました。教師ですから、「家庭での性教育のあり方」に関する講演を聞く機会も多かったのも幸いでした。今私が気をつけていることは3つ。
①水着を着たときに隠れる部分と口は、大切な部分だから人に見せたりしてはいけないし、自分で触れるときも大切に扱わなければいけないんだよと伝えること。
②その部分を人に無理矢理見せられるようなことがあってもいけないので、その時にはママやパパに教えてねと伝えること。
③子どもの話をよく聞き、子どもが必要とするときはしっかり甘えさせること。
この3つです。以前の記事にも同じような事を書いているので良かったらそちらも読んでみてください。
ともかく、思春期になってからいきなり性の話をすることはハードルが高いと職業柄分かっているので、なるべく小さなうちからフランクに話ができる環境作りを心がけてきました。
でも、そうでない家が多いのもよく分かっています。
そもそも、自分がそうでしたからね。
教師として思うこと
学校の保健体育では、男性器や女性器の名称、二次性徴の現れ方などは学びます。性交の結果子どもができると言うことももちろん学びますが、男女がどのようなプロセスを踏んで性交にいたるのか、ということは教えていません。自分の経験を振り返っても、その部分は早熟な友達から聞いてなんとなく知ったり、その友達も彼氏からされたことから学んでいった、という感じだったと思います。でもその彼氏の情報ソースってなんなんでしょう?ソースをずーっとたどっていくと、もしかしたらアダルトビデオや成人向け漫画にたどり着く場合もあるのではないでしょうか。そしてそれらの中において、女性はどのように扱われていますか?ご存知ですよね。
性行為は、両者の合意と温かい愛情をもって行なわれるべきものであってほしいのに、自分の子どもが、女性が一方的に虐げられるような場面で興味をかき立てられ、その興味の下行為に及んでいく、と考えると悲しくなりませんか?
だから、家庭と学校が両輪となって正しい性教育をしていく必要があると思っています。
ちなみに、小児自慰を経験して思春期を迎えた私は、ものすごく性に関して関心が高い女の子だったと思います。家には無防備にアダルトビデオや成人向け漫画が置かれていましたので年頃にはそれらを親の目を盗んでよく読んでいたものでした。だからきっと、相手の男の子もそういったアダルトファンタジーを押しつけてくるタイプの子だったら、ものすごく悲惨な結果になっていたと思います。幸い、初めての相手が大変丁寧で優しく私を扱ってくれたので、子どもの頃に見たビデオや漫画の影響はさほど受けずに大人になりました。
話はそれましたが、親になったからといって自分の育ちは変えられませんから、家でどのような性教育をするのか、ということは自分から学んでいかなければいけないことだと思います。
でも、忙しい家庭が多い昨今ですから、それぞれの家庭で自主的に…というのは難しいのかなと思うので、学校が「親としてどうするべきか」ということについても情報発信して行くこともこれからは必要なのではないでしょうか。
まとめ
○小児自慰を目撃してしまった時には、ショックだと思うが親は狼狽しないこと。夫婦で話し合って互いにカウンセラーの役割を担えればよいが、難しい場合には専門機関を見つけ、親の不安を解消する。子どもは責めない。
○思春期を迎える前に、性について話しやすい環境を作ることが大切。「なぜなに」が始まる2~3歳頃から、子どもにも分かりやすく性の話ができるように親も用意をしておこう。
○学校も、親御さんの不安に寄り添えるよう、普段から「親としてどうするか」ということに役立つ情報を発信していくこと。
久しぶりの投稿、ちょっと長くなってしまいましたが、誰かの役に立てたら幸いです。小児自慰について悩んでいる人がいたら、私なりに力になれればとも思うので是非どうぞ。twitterのDMなんかを使ってくれれば。
本日もお読みいただいてありがとうございました。
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