マガジンのカバー画像

ホロコーストを疑っている人のために

331
かつてナチスドイツが行ったホロコーストを「なかった」という人たちがいます。それらの主張の代表的なものを、ある海外サイトを参考に論破する試みです。
運営しているクリエイター

2024年3月の記事一覧

アインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(2)

追記:紹介している「作戦状況報告書ソ連」の内容は、示しているリンク先の英文テキストから日本語訳にしていますが、元々はイツァーク・アラドらによる『アインザッツグルッペン報告書』から必要部分を手作業で転記入力したもののようで、若干の入力ミス的な誤りを含んでいます。文章にはほぼ誤りはないようで、大意としては問題はないと思いますが、厳密な議論をする場合は、前回記事で紹介してあるアーロルゼン・アーカイブズのサイトなどにある元文書の画像からドイツ語をGoogleレンズなどで抜き出して、翻

アインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(1)

アインザッツグルッペンに関する証拠となる作戦状況報告書ソ連の内容を、この記事では、日本語訳して紹介したいと思います。非常に記事が長くなるため2回に分けます。この作戦状況報告書については、以下で詳しく解説されています。 米軍がドイツから捕獲した作戦状況報告書ソ連(OSR:OPERATIONAL SITUATION REPORT USSR)は、アメリカ国立公文書館(NARA)が所有していたらしいのですが、電子化されているのかどうかもわかりません(どこをどう調べたらいいのかもよく

アインザッツグルッペンの証拠:アインザッツグルッペンの報告書について。

ホロコーストは、大雑把に分けると、ユダヤ人犠牲者600万人のうち、その約半数が絶滅収容所で殺され、ゲットーなどで餓死や病死で約100万人が犠牲となり、これも大雑把に50万人程度が強制収容所で殺され、残るざっと100〜150万人程度が、ドイツが支配下に置いた元ソ連地域のユダヤ人を現地で銃殺やガス車などによって殺した、とされます(註:これらの数値は私自身がざっくり認識しているだけのものであり、広く認識されているというようなものではありません)。 このソ連地域でユダヤ人殺戮の主体

絶滅収容所を通過収容所だとする修正主義説への反論――のための翻訳記事。やっぱりユルゲン・グラーフは「嘘つき」だった。

さて、日本で、と言うか日本語上でホロコースト否定の議論をする場合、困難な事項として、否定論の論文などで使用されている関連文献の多くを参照・確認できないという問題があります。取り扱われるホロコースト否定派の論文自体はネットで公開されているものも多く、言語の壁を越えられれば参照は比較的簡単ですが、それらで使用されている海外の文献を参照するのはほとんどの場合無理です。日本語訳された書籍も大抵ありません。 従って、例えばAという証言者が、Bという本の中で、Cという証言を行なっている