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考えているつもり「妥協の4象限」

意思決定をするとき、ものごとを4象限で捉えることがあります。そのとき2軸のはずが、4軸ある図がたまにあります。たとえばアイキャッチの図です。

このような図を使ってしまうと、マッピングをして考えたつもりで、暗黙のトレードオフを見逃してしまいます。

極めて強固な反作用関係でないかぎり、一つの軸に異なる概念を配置しないほうが、質の高い意思決定につながると私は考えています。プロダクトマネジメントのような意思決定の質が重要な場合、4軸ある4象限は使わないようにしています。

このような4軸ある図を使ってしまいたくなるのは、たくさんある切り口を一つの図で表現したい場合や、暗黙のトレードオフを前提にしてしまう場合があります。今回はトレードオフについて簡単に書いてみます。


トレードオフに晒され続けると、妥協に慣れてしまう

人は両立できないトレードオフ関係に晒されたとき、そのトレードオフが絶対的な関係だと思い込むことがあります。

飛行機の翼を考えてみます。飛行機にとって軽くて強靱な素材の実現は重要かつ難題です。軽くするには材料を少なくする必要があり、材料が少なければ強靱さが失われてしまいます。

軽い <--------------------------> 強靱

ところがハニカム構造は軽さと強靱さを両立させることができます。

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軽くて強靱な特性を持つハニカム構造

このようにトレードオフは絶対ではありません。安易な妥協は偽の問題解決です。妥協は意思決定の選択肢を隠してしまいます。



両立からよりよい可能性を明らかにする

アイキャッチの4軸を見ていきましょう。

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たとえば、知識を広く深く学ぶのは難しいですね。しかし、両立は可能です。可能と実現にはギャップがありますが、どちらかしかできないと妥協していると、広く深いという領域が見えなくなります。

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ビャルケ・インゲルスの"Yes is More"


誤った認識を捉え直す「愛の反対は憎しみの誤謬」

愛の反対は憎しみなのか無関心なのかというテーマがありますが、異なる概念を一つの軸に配置しようとすると混乱が生じます。

たとえば感情と論理は対立させられることがよくありますが「感情が豊かで論理的」は両立できます。

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なぜか感情と論理は反対のもののように扱われる場合が多々ありますが、理由もないのに怒ることが難しいように、感情と論理は相互に影響し合う関係です。

一次元に対極には位置するには怪しい関係の例
・感覚と言語
・インプットとアウトプット
・内向的と外向的
・面白いとつまらない
・安心と怖い
・個人と集団
・カジュアルとフォーマル
・抽象と具象
・ビジネスと技術



異なる概念を配置してしまった4象限を妥協という観点から見てきました。考えているつもりの「妥協の4象限」になっていないか、見直してみるのも面白いと思います。

既存企業の妥協を逆手にとって、妥協は機会であることを軸に、ビジネスにおける重要なトレードオフをたくさん扱った『プロダクトマネジメント大全』を書きました。興味があればどうぞ。


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