poco a poco acceel amorosamente
【下駄箱の右奥 箱入り 】リマインド通知の意味はもうないけれど
「今年こそ仕事なしで一日中安田君の時間をちょーだい?」
司教の死さえも恋の日になったように四十九日も祝う日なのだ
紫の息がかかった魂で飾り尽くせよ東京駅前
日常に溶け込む斜めの献花台 枯れていくのは花だけなのか
死に至る病はいつも殺された恋でしかない(次はないけど)
券売機覗けど覗けど見当たらない【イーハトーブ行き/但し片道】
好きだったものは何ですか?空っぽの骨壷のままじゃ悲しいだけでしょ?
「ああ君があの子」なんて過去形で語るな すべて終わっちゃうから
「何でもいい」が口癖だったはずなのにどうして僕だけ選んでくれたの
儀式でも二度も炎に包ませて傍で守れず本当にごめん
延々と出番を待って叩き割る第九のシンバルみたいな愛だよ
真っ暗な部屋で流れるユーミンがサンタは来ないと教えてくれる
会いたいと願うから願われたから「泣いてよ、夢なんだから」
「タバコ臭いのは嫌だって言ったじゃない」「焼香の匂いよりはマシだろ?」
うたかたのひかりのなかで待つ君の面影探す聖夜の朝焼け
※映画「シン・ゴジラ」の作中に登場する文部科学省研究振興局基礎研究振興課課長 安田龍彦(演:高橋一生)が、ゴジラの放射熱線で恋人を喪ったという仮説の設定で作られている短歌です。公式による明言はありません。
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