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【FF7リバース】「思い出」という伏線

『FINAL FANTASY Ⅶ Rebirth』
ようやくクリアしたので感想を残しておきたいと思います。

発売されるまでは、ストーリーを追いたいから探索要素とかサブクエはいらないんだよなと思っていたのですが、開発者のみなさん。本当にすみませんでした。

- 正直に言おう。おまえをみくびっていた。

まさにこの一言。これぞスクウェア・エニックスの底力ですね。
ドラクエやFFが流行り、日本中のソフトメーカーがRPGが制作していたあの頃の物量と熱量。
第一制作部(現:第一開発事業部)が夢見ていた"FINAL FANTASY"という「究極の幻想」をここまで表現してくれるとは思ってもみませんでした。

この作品の何がそこまで凄かったのか。
それは「思い出」という伏線を拡張していることと、拡張した上で回収しようとしていることだと考えています。


思い出の拡張

まず感じるのは世界の広さです。
このフィールドはこんなに広かったんだ。この街ってこんなに大きかったんだ。FF7リバースをプレイしていてそう感じないプレイヤーはいないと思います。
そしてキャラクターボイス
グラフィックの向上声当てによってザックスになりきっている時のクラウドの台詞の違和感や、クラウドとティファの会話が噛み合っていない感じが鮮明に感じられます。
探索すればするほどできることが拡張されていく感覚
物語が進めば進むほど「あれ?こんな話だったっけ」と違和感が拡張されていく感覚
その感覚が私たちの思い出を拡張させていきます。

思い出の回収

クラウドやティファ、セフィロスなどの登場人物の思い出
原作やコンピレーション作品群をプレイしたプレイヤーの思い出
リバースをプレイしたことによって徐々に拡張されていく思い出
FF7シリーズの開発に関わったゲーム開発者の思い出
誰もが考えたことがあるであろう、もしザックスやエアリスが生きていたらというIFの世界の想像
それは星の記憶としてライフストリームに溶けて、無数のFINAL FANTASY Ⅶの世界を生み出しています。
その思い出や想像を回収し、一つにする
それがセフィロスの「世界もまたリユニオンする」という言葉の意味なのではないかと考えています。

リユニオン

またその「リユニオン」はFF7以外の世界にも及んでいます。
ギルガメッシュは度々出ていますが、「ガンビットギアーズ」にはとても驚かされました。
ガンビットとはタクティクスオウガやFFタクティクス、ベイグラントストーリーなどを手掛けた松野泰己さんがディレクターを担当したFF12のシステムです。松野さんは第一制作部所属の方ではなかったようで、FF12はシリーズの中でもかなり異色の作品でした。(松野さんは途中でディレクターから降板してサガシリーズの河津秋敏さんが引き継ぐことになります。また昨年発売されたFF16もFF14のプロデューサーとして有名な吉田直樹さんが率いる第三開発事業部が制作していました)
FFは毎回システムを変化させ、常に新しいことに挑戦してきたタイトルだから過去のシステムをそのまま使うことをしてこなかったと認識しているのですが、今回はそのお約束を意図的に破ったのではないでしょうか。

FFシリーズをリユニオンするという目的で。

「思い出」へのアンサー

- 思い出の中で、じっとしていてくれ。

そして強く感じたのは、新生FF7とアドベント・チルドレンが対の関係になっているのではないかということです。
何故そう思ったのか。

1. ケット・シーの占い

- 求めれば必ず会えます。しかし、最も大切なものを失います。

- 最も大切なものって、なんだろうな。

これは黒マントを見失ったクラウドが、ゴールドソーサーでケット・シーにセフィロスの居場所を占ってもらった時のやり取りで、原作でも同じ台詞が使われているみたいなのですが、ACではセフィロスとこんなやり取りがあります。

- おまえの最も大切なものは?それを奪う喜びをくれないか。

それに対してクラウドはこう答えています。

- 哀れだな。あんたは何も分かっていない。大切じゃないものなんかない!

2. リバース終盤のセフィロスの台詞

- 祝福を、おまえに贈ろう。

これはリバースの終盤にセフィロスがクラウドに対して言った台詞なのですが、ACにはセフィロスのクラウドに対するこんな台詞があります。

- おまえへの贈り物を考えていた。絶望を贈ろうか。

3. 約束の地
リバースのコスモキャニオンではACの「約束の地 〜The Promised Land〜」というBGMが星命学の宗教曲のように流れています。

4. 瞬刺
リバースのラストバトルでセフィロスが「瞬刺」という技を使っていましたが、これはクライシスコアやACでの正宗でクラウドを串刺しにしていたのを彷彿とさせます。

5. エンドロール
リバースのエンドロールがACのエンドロールとそっくりなんですよね。氷室京介の曲は流れませんが。(笑)

このようにACを意識しているのではないかと感じる描写が散りばめられているんですよね。
ACを思い出として回収しようとしているからこそ、新生FF7はその思い出に対するアンサーになっているのではないでしょうか。

思い出のその先へ

- 私は、思い出にはならないさ。

エンディングでは何故かクラウドが「黒マテリア」を持っていましたが、あれは透明なマテリアが白くなることも黒くなることもあり得るということを暗示したかったのではないかと考えています。

この星の未来はどうなるのか。
この無垢で透明なマテリアを白く染めるか、それとも黒く染めるか。
もし本当にACと対の関係になっているのだとしたら、次の最終作はそれを踏まえた上で登場人物やプレイヤー、ゲーム開発者がFF7を「一つの思い出」として受け入れる物語となるのではないでしょうか。

No Promises Await at Journey's End

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