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英語上級者になれる「リスニング」練習法って? 英検1級&韓国語TOPIK6級合格のYumiさんに聞いた、上級者になるための学習法【中編】

英語中級者から上級者になるにはどうしたらいいの?
私でも上級者になれるのかな?

という疑問に対して、中級者から上級者を目指すはじめのステップとして、「文法」の重要性とその学習法を前回記事で語ってくださったYumiさん。

「言語能力にはリーディング・リスニング、スピーキング、ライティングがありますが、それぞれ上達には必要な学習が異なるので、そこをクリアにしておくことも大事かな、と思います」

と示唆して下さいました。

今回は、4技能それぞれの能力を伸ばすために有効かつ具体的な勉強法について、英検1級&通訳案内士(国家資格)&韓国語TOPIK6級に合格の語学の達人、Yumiさんに伺ったお話の続きです。

いろいろやっているけど、いまいち上達が遅い…
勉強がつまらなくてなかなか続かない…
具体的に何を勉強したらいいかわからない…

という方はぜひ参考にしてくださいね。

🖊リスニングを乗り切れるかどうかが、挫折するかしないかの分かれ目

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「読めない・聞けない言葉は、やはり話せないんですよ。
 いちばんの基本はリーディング、次いでリスニングです」

と、Yumiさん。
同じことを、英語教育分野で起業したというYumiさんのご友人の方も仰っているそう。

前回記事で)文法の重要性や勉強法についてお話しいただいたところですが、
「日本で教育を受けた人は、すでに相応の文法知識が身に付いている場合が多いので、そこからの英語学習が挫折しないかどうかのポイントは、『リスニング』になってくると思います」

というのがYumiさんの実感なのだそう。

たしかに、読んだり書いたりは自分で時間を取れば解決するし、話すのも自分がわかる言葉を並べれば何とかなります。
でも、「聞きとれない」ことにはどうにもならないんですよね。

では、リスニングを鍛えるためには何をすればいいの?
Yumiさん、おすすめの題材などはありますか?

「今はYouTubeやポッドキャストなど、無料でも優れた教材がたくさんあります。興味のある分野のものを聞くのがいちばんなのですが、私が中級者の方におすすめするとしたら、シンプルな英語を使っているニュースやスピーチですね」

そこで、具体的なおすすめを挙げていただきましたよ。


🖊Yumiさんおすすめのリスニングコンテンツ5選

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「アメリカやイギリスのニュースを聞くときは、国内向けのものよりもグローバル・ニュースがおすすめです」

とYumiさん。ネイティブスピーカー以外の人にも向けて発信しているので、平易な英語表現や単語が使われているのだそう。

具体的に、ポッドキャストのおすすめコンテンツをあげていただきました。
以下のリスニングコンテンツは全て無料。いい時代です。

ポッドキャストってなんだっけ?という人は、スマホでこういうロゴのアプリを探してみてくださいね。

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PCからでも、下記リンクから聴くことができますよ。

おすすめ1:BBC Global News Podcast

「BBC(英国国営放送)のニュースは、イギリス国内向けのニュースよりも『グローバル・ニュース』がおすすめ。ネイティブ以外の人も含めた全世界に向けての発信なので、より平易な表現が選ばれていて、理解しやすいです」


おすすめ2:NHK WORLD RADIO JAPAN News

「NHKの英語ニュース。日本国内外の身近なニュースなので、内容がわかりやすく、英語の表現も簡単です」


おすすめ3:Ted talks

「スピーチが上手な人は、リズムがよくて言葉が本当にかっこいい。Ted talksは内容もとてもいいことを言っているので、何度でも聞きたくなります。5分程度のものから30分くらいあるものまで、好みの長さや自分の興味にあわせて選んで視聴するとよいです」

Ted talksには本当に多くのスピーチ動画があるので、最初はどれを観よう?と迷ってしまいそう。
そんな人へのおすすめ人気動画、後述しますね。


おすすめ4:バイリンガルニュース

「ニュースそのものというより、ネイティブと日本人の2人が世界のニュースの要約を紹介しそれについて話し合っている、というポッドキャスト。内容はサイエンス寄り(論文を引用したり、専門家がゲストに出たり)で、英語もナチュラルスピードでやや速め。有料でスクリプトが読めたりクイズができたりもするので、併用するといいかも(月額240円/360円)


おすすめ5:This American Life

「アメリカの大学を卒業した友人に教わったポッドキャスト。取材を元にしたストーリーや社会問題など、毎週のテーマに沿った1時間ほどのコンテンツ。内容はとてもおもしろいのですが、少し速いので上級者向けかも」


🖊とはいえ、ニュースの英語ってわりと難しくないですか…?

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もし、上に挙げていただいたような動画でリスニングが難しかったらどうしたらいいのでしょう?

「難しい場合は、スピードを落とすか、英語レベルと落とすか、になると思います。

個人的には、再生スピードを落としてゆっくり聞くのがおすすめ。小中学生向けの児童文学もよいと聞きますが、私は子供向けコンテンツには興味がわかなかったので…。

聞きたいと思うものを聞かないと辛いと思うので、内容的に自分がおもしろいと思って聞けるコンテンツ、勉強と思わずに好きで聞けるものを選ぶのが最も大事だと思います」

たしかに。
聞くために聞く、というのは苦行かも。

とはいえ、10代向けコンテンツも楽しめるものも多いです。(ここは本当に好みや相性の問題です)
我が家では子供に本の音読をさせていますが、私が続きが気になってしまう本や、ついつい一緒に見入っちゃう動画もいっぱい。
また別記事でご紹介しますのでチェックしてみてくださいね。


🖊で、リスニングはどんなふうにしたらいいの?

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無料でこんなに良質の教材が…! と驚くばかりですが、実際、どのように使って勉強するのが効果的なのでしょうか。

Yumiさんは、きちんとしたスクリプトが付いている「Ted talks」がやりやすい、とおすすめしてくださいました。

このTed talksのすごいところは、
スクリプト(英語原文とプロが訳した日本語訳)もついていて、スクリプトの気になるテキストをクリックすると動画の該当部分の頭出しができるという便利機能が付いている、というところ。
これ、すごくないですか??

スクリプトを出して動画に合わせてシャドウイング、
スクリプトを出さずに聞いてディクテーション、
気に入ったスピーチは完コピや暗唱にトライ、
気になる表現の部分だけ、日本語訳や発音を確認する
(ワンクリックでできる)、
速度を落としてゆっくり聞く
など、どんな使い方もできます。

リスニングというと、とにかく聴きまくればいい! と思ってしまいますが、Yumiさんはこう語ります。

「ただ聞いているだけではあまり伸びないですね」

なんと。
ではどうすれば?

「スクリプトを出してシャドウイングをするのがいちばんリスニングが伸びる、と英語教育分野で起業した私の友人も言っています。シャドウイングすると、疲れる度合いが全然違いますからね。

また、彼女は、シャドウイングをしてそのまま文章を覚えてしまって、暗唱できるようになると全然違う、と言っています。
彼女は、そうやって独学で英語を学んで北米の名門校への進学を果たした、という頭の良すぎる人なのですが(笑)。
彼女のメソッドとしては、それがいちばんいい、と推奨しています」

受動的に聞くだけでなく能動的に取り組む方ことが大切なのですね。

しかしながら、「負荷をかけすぎず、とにかく続けることが重要」と、Yumiさんは語ります。

「リスニングは、聞いているだけならいちばん負荷がなく、続けやすい学習法です。
聞いているだけだと意外に伸びない、というのも事実ですが、それでも何もしないよりは絶対いい。
負荷を最小化することで続けることができるのなら、『続けること』を目標にして、自分のできるやり方を見つけるのも一つの方法です」

最高レベルの勉強をすれば力は付くけど続かないかも。
ボトムラインでやっていけば、伸びはゆっくりでも続けられる。
その間で、なるべく高いレベルに着地できるといいですね。

シャドウイングをできるときはする、できないときは聴くだけ。
毎日30分の動画を観る。でも時間がないときは5分の動画だけ。
疲れているときはアカデミックなものよりも、エンタメ要素の強いものや子供向けのもの。
テスト前はゴリゴリと。維持するだけの時期はゆっくりと。

など、「意欲がいまいちのときも、ゼロにはしない」ということが大切なんですね。


🖊同じ動画を繰り返して観るべき?わからない言葉は都度調べるべき?

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ふとした疑問が。
テストでもなんでも、「3回繰り返す」のがいい、ってよく言われますけど、動画も1回観てわからないところがあったら、3回は繰り返して観るとか、わからなかった単語を調べるとかするべきなのでしょうか?

これについては、

「同じ動画を何度も観るかどうかは、人それぞれですね。それだとつまらなくてやる気が出ない、という人もいるだろうし、もっと細かく理解したいと思う人もいるだろうし…」

とYumiさん。

ちなみに、私がレギュラーで受けているオンライン英会話のCamblyのM先生(ネイティブスピーカーで英語教育の有資格者、ご自身はスペイン語を勉強中)は、「同じものを繰り返すことが大切。動画の長さは5分とか短いものでいいから、わからない単語をピックアップして調べて、一つひとつを完璧に理解していくことが大切」と推奨していました。

自分に負担になりすぎない方法で、気分や時間に合わせてやっていくのが現実的。
ただ、中級者はボキャブラリーの増強も課題なので、単語帳をやるなり、動画コンテンツで出会った知らない言葉をきちんと調べるなり、なんらかの「勉強っぽいこと」はしないと伸びづらいです。

また、前回Yumiさんも仰っていた「3回やったら解析度があがる」っていうのは本当にその通りで、私も初~中級者のころ(コロナ前)、旅行した時に飛行機で往復とも「ベイマックス」を観ていたら、1回目は聞き取れないところも多かったのですが、3回観たら字幕なしでわかるようになって、ちょっとびっくりしました。


🖊ボキャブラリーの壁。どう攻略すればいい?

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ボキャブラリーについては、Yumiさんは大学受験のときには塾の単語帳で、英検1級のときは単語帳とサイマル・アカデミーのクラスで、本がペラッペラになるまでかなりみっちりやりこんだそう。

Yumiさんの単語学習は大学受験時代の塾の単語帳がメインですが、大人の学習者には、「自分が目標としている試験の級に対応したもので、例文の掲載が多いものがおすすめ」とのこと。

英単語を覚える、という作業については、Yumiさん含めどの英語上級者の方に聞いても「根性でやるしかない」、「これはもう、覚えるしかない」という返答が一般的。
英語コンテンツに触れる中で見たり、単語帳で繰り返し見たり、覚えた言葉を自分で書いたり話したりしてアウトプットしたり、同じ単語に何度も出会うしかない、と私も実感しています。

Yumiさんは、イギリスでの学部留学時代は、わからない単語はピックアップし、例文とともにノートに書きだしていたそう。

韓国での大学院留学時代は、とにかく課題の量が多かったのでそんな時間的余裕がまったくなかったので、書きだすことはせずにとにかく読んでいったのだそう。(この頃にはすでに上級者ですしね)

ボキャブラリーに関しては、地道な努力を積み重ねるのみ…ですね。


🖊TOEIC800点を目指す人の、おすすめ単語帳3選

英語の達人の多くがおすすめしているのは、「単語帳を何周もする」勉強法。
あまり厚くない単語帳(終わった!という達成感を得やすいように)を使って、一単語あたりにかける時間を短く、頻度を多く、何度も見返す方法です。

文脈の中で使えるように、例文ごと覚えるとよいと言われています。レイアウトが見やすい、TOEIC800点程度をねらう人向けのおすすめ単語帳はこんな感じです。

Kindle 版あり。人気英単語アプリ「mikan」とも連動。外出先でも使いやすい。


Kindle Unlimitedで無料。リスニングも兼ねられる「聞いて覚える」単語帳。音声ダウンロード付き。品詞別になっているので、重要度の高い動詞・名詞から覚えていけます。


人気英語系YouTuberのATSUさん監修の単語&英語表現本。試験対策というより、アカデミック寄りの知的な日常会話表現が多く掲載されていて、ネイティブと徹底的に練ったという言葉のセレクトと優れた例文がウリ。



🖊今回のまとめを5行でいうと

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1. 英語を挫折しないための鍵はリスニング。興味の持てるリスニングコンテンツを見つけよう

2. 英語の「グローバル・ニュース」や、スピーチの動画がおすすめ。具体的には「BBCグローバル・ニュース」と「Ted talks」など

3. 聴くだけではなかなか伸びない。シャドウイングすべし

4.ボキャブラリーは、例文が充実している単語帳を使い、文脈で覚えるようにする

3.意味をしらべるときは英英辞典を使う


続く【後編】で、リーディングとスピーキング対策について語っていただきます。

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🖊Yuriko的おまけメモ:
「Ted talks」の中でのおすすめ動画4選

Ted talksには多くの動画がアップされていますので、再生回数が多い人気動画や、中級者向けに聞きやすく心に響くスピーチをいくつか(バラエティ豊富めに)ピックアップしておきますね。
迷ったらこちらからどうぞ。


おすすめTed talks動画1:

ヒューストン大の人気教授で心理学者のブレーネ・ブラウンさんのスピーチ。弱さを認めることの大切さを説く。一歩踏み出す勇気を出したい人、心の予防線を張りすぎて人生の幸せ感を感じきれていない人に。(Vulnerable、以前も見た表現ですね。こうして繰り返すことで記憶が定着するんですね)

スピーチと同テーマの本が日本語訳で出ています。



おすすめTed talks動画2:

プロジェリアという先天性の難病(急速な早期老化の病気)をもつ、撮影当時ティーンエイジャーのサム・バーンズさんのスピーチ。
以前に観た、同じ病気のアシュリーちゃんもすごく前向きな女の子でした。心を打たれます。スピーチの冒頭でサムが自身の体重を「50パウンド」という箇所がありますが、約23㎏弱のことです。
いまは神様のもとにいらっしゃいます。ご冥福をお祈りします。


おすすめTed talks動画3:

北朝鮮から、複数の国を経由し、文字通り命を懸けて、運や出会った人に助けられながら亡命を果たした、アクティビストのヒョンセオ・リーさんのスピーチ。
「それからどうなるの!?」なスリリングな逃亡譚には集中必至です。
近くて遠い彼の国、一般の人の暮らしはこんな感じなんですね。
平易な英語をゆっくりめに話す、聞き取りやすいスピーチです。


おすすめTed talks動画4:

こちらは20代のみなさんにぜひ。20代専門のセラピストのMeg Jayさんのスピーチ。過去に20代だった人には思い当たることが多く、理解しやすい(あるいは耳の痛い?)お話です。
「30代は、2度目の20代じゃないのよ」と、20代のうちにするべきことや、そのマインドセットを説いています。子育ての参考にも。


おすすめTed talks動画5:

サイモン・シネックさんによる、「優れたリーダーがどうやって人を動かすか」を説いたスピーチ。
Apple製品がなぜ人気なのか、という事例はAppleユーザーなら興味深く聞けます。
サイモンさんは、アメリカ連邦議会議員、国防省、国連、マイクロソフト、アメックスなどの錚々たる企業や団体に「人びとをインスパイアするリーダー術」を伝授してきたコンサルタント。
このスピーチと同テーマの本は日本語版もけっこう売れました。


最新刊の「Find your why-あなたとチームを強くするシンプルな方法」はKindle Unlimitedなら無料で読めます。リーダー職や経営者の方にぜひ。


英語学習中でKindle Unlimitedに未登録の人は、登録をおすすめしますよ。
TOEICや英検の問題集、英語学習に関する「ちょっとチェックしたい本」や、「買うと高い本」が多く対象になっていて、あれこれ無料で読めるのはお得すぎです(30日間無料、月額980円)。


🖊大人には大人の、英語学習法

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「周りと一緒になって頑張れる受験生と違って、大人の学習者は、みんな忙しい中でやっているわけだから、根性やまじめさだけでは続かないんです。自分に合っていて、続けられる『仕組み』を見つけるしかないです」

とYumiさんは語ります。

今回おすすめしていただいた動画は、どれも本当におもしろいです。
大人の知的好奇心をくすぐる、もしくは、自身の悩みや課題を解決してくれるような、上質なコンテンツ。

この勢いで、上記のリンクをポチっとクリックして、1本でも観てみましょう!

それでは、また。

このお話の【前編】はこちらです。

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