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色々と衝撃のシリーズ第3弾『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』(2024)紹介と感想

急に笑み男の動画が投稿された時は、ファミ探の新作が来るとは思っていませんでした。
その後、ファミ探の新作が発売すると聞いて狂喜乱舞、事前合同調査も遊びながら発売日に備え、発売後も最近の自分としては珍しく優先的に遊びました。

ジャンル:インタラクティブドラマ
 ハード:Nintendo Switch
 発売日:2024年8月29日


あらすじ(公式ホームページ「あらすじ」より)

ある朝、遺体となって発見された男子中学生・佐々木英介。
彼の亡骸には、不気味な笑顔が描かれた紙袋が被せられていた。
その姿は、18年前に起きた「連続少女殺人事件」の被害者、そして、『笑み男』という都市伝説の犠牲者に酷似しているという。

泣いている女の子の前に現れ、その命と引き換えに
笑顔の紙袋を与えるという、不気味な噂話の起源とは……?

空木探偵事務所は総力をあげて、この奇怪な事件に挑むこととなった。


紹介と感想

2021年に発売されたリメイク作と同じく、コマンド選択式ADVとは思えないほどに動くアニメーションとちょっとした登場人物も含めて豪華声優陣によるフルボイスの仕様は変わらず。今回もこれらの豪華さを活かした演出を楽しむことができます。

ゲームの仕様やシナリオ面で人を選ぶところがある作品となっていますが、個人的には楽しめた作品でした。

システム面では、今回も古典的なコマンド選択式ADVの様式をとっていながら、ストーリーを進めるうえでのガイドがかなり便利なので、物語を楽しみたい人も快適に遊べます。
また、それ以外のコマンドを試すことでギャグシーンなど本筋とは関係ない遊びがフルボイスで楽しめるため、色々と試したい人も安心です。

本作を遊ぶ際には、ジャンルが「インタラクティブドラマ」に変わったこと。捜査するのは名探偵ではなく成長途中の少年探偵であることを意識しておくのが大切かもしれません。

前2作のシナリオが特別に好きで、同じ様な作品を遊びたい人は注意が必要ですが、新キャラクター達もシリーズらしい良い個性を持った人たちが多かったのでキャラクターのやりとりが楽しめる人や何が出ても適応できる人には十分オススメできる作品です。

以下、ストーリー面を中心に思った事を、あまりまとまってはいませんがネタバレありで徒然と書いていきたいと思います。


ネタバレあり感想

今作は、良い所・気になった所が結構はっきりとしているため、一言では評価しづらい作品でした。


先ず、気になった所について話しますが、殆どはストーリー面での描写の仕方でした。

先ず、佐々木くん周りをもう少し深堀して欲しかったなと思いました。
物語は基本的に笑み男のことを中心に展開され、あゆみちゃんが佐々木くん事件の捜査を担当しますが、主軸は生きているものの掘下げになるため、佐々木くんが自殺に至った部分の掘下げが薄く感じてしまいました。

また、過去の事件を未解決で終えてしまった鎌田警部についても、もう少しフォローが欲しかったなと思います。
メインストーリー終盤ではすっかり出番が無くなってしまい残念でした。

また、終盤の怒涛の展開は面白かったと同時に、もう少し描けそうなところで終章に入ってしまい、主人公は次々と起こる展開に流されるままで終わってしまったので、もう少し深堀描写が欲しかったとともに、一人の少年探偵の手で全てが解決できるわけではないとはいえ、もう少し主人公(つまりプレーヤー)が自らの推理でカタルシスを得られる部分を後半のどこかに入れてもらえれば印象が変わったのにと思いました。

どうしても、直前に主人公の未熟故の失敗が描かれていることもあり、主人公の物語としてはモヤっとした感じが残ってしまいました。
また、轟モーターズ周りへのフォローも欲しかったなと思います。

総じて、メイン部分は良く描かれていたけど、周辺描写の部分が少し足りなかったということになります。

次に良い所をあげると、今回は空木先生が過去作より出番が多く、あゆみちゃんパートも結構多いことから、空木探偵事務所一丸となって事件に取り組んでいる感じが味わえたことになります。

特に、あゆみちゃんの人格安定感は、主人公が結構抜けているところがあるからこそ、頼りになりすぎて良かったです。

また、終盤は急展開すぎたかなと思いながらも、都市伝説「笑み男」の不気味さや、先が気になるサスペンス描写、新キャラの世界への馴染み感の高さ、神原刑事が人間出来過ぎていて素晴らしいなど、物語の推進力は高いと思います。

本当に、神原刑事はちゃらく見せかけて周りへの配慮が素晴らしく、主人公を対等に扱ってくれ、笑顔も素敵。軽口の叩き方も神経が行き届いていて、お前は乙女ゲームから出て来たのか!と思いながら大好きになりました。

一緒に飲みにも行けるよ

「ファミコン探偵倶楽部 ミノル」部分のフルアニメーションも、かなり驚きましたが、主人公が関わりようのない過去に起こったシリアスな物語を描く方法としては悪くないと感じていますし、普通にのめり込んで観ていました。

本シリーズは毎回何かしらホラー風味を入れてきますが、そのカラーを作品毎に変えて、今回は社会派サスペンス小説の風味を加えていますが、その組み立て事態も悪くなかったです。

また、メインシナリオを追うだけなら十数時間程度と昨今のゲームと比較してプレイ時間が短いという人もいますが、個人的には謎解きミステリー作品は、連作短編集形式ならともかく長編形式の場合はやたら長いのはあまり好きではないので問題ありませんでした。

シリーズ久しぶりの復活作を安牌で提供するのではなく、自分のやりたいことを貫き一定のレベルに達している所は坂本さんらしくて良いと思うので、この復活を活かして次のファミコン探偵倶楽部をお願いしたいです。

ストーリーの先を見たくて細かい遊びで拾えていない所も多いので、2周目を遊ぶ時は色々と試してみたいと思います。

(クリアした日:2024年9月6日)


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