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ブリュノ・クレメール主演 メグレ警視 第24話『メグレの途中下車』(1996)紹介と感想

原作:ジョルジュ・シムノン『メグレの途中下車』(1953)
原題:Maigret a peur
脚本:クロード・ゴレッタ
監督:クロード・ゴレッタ/カリスチャン・カルシェ
時間:101分


あらすじ

友人のシャボに会いにフォントネーへ立ち寄ったメグレ。
町では2件の殺人事件が起きており、連続殺人だと思われていた。
殺されたのはロベール・ド・クルソンという町の名士と、天涯孤独な老婦人。
繋がりが見えず、町では不安から同じく名士であるヴェルヌー家への憎悪が日に日に増していった。
メグレがシャボと旧交を温めている時に第3の殺人が起こり、メグレも流されるままに捜査に関わる事になってしまう。


紹介と感想

シリーズでも長尺で展開する物語は、田舎町の濁った空気と、異邦人としてのメグレを余すところなく映していきます。

上流階級と住民たちとの断絶、歴史の浅い成り上がりに対しての憎悪、都会への劣等感、全員が顔見知りという息苦しさ。
この話では、パリの猥雑さからとは違う、フランスの田舎が描かれていました。

メグレも上流階級の仲間とみられますが、それを気にする風もなく自分の直観に従って捜査を進めていきます。

シナリオは生真面目なまでに原作に忠実に展開しますが、一つ残念なのが原作の数少ないユーモアシーンがカットされたことです。
そのため、ただでさえ息苦しい物語が、終始緩和されることなく進んでいきました。

ユベールの初登場の姿と最後の姿の落差は、映像として映し出されることで、より鮮烈になったと思います。

しかし、事件以上に思ったのが、こんな狭い土地で判事や警察の仕事をするのは、自分なら辛すぎて無理だなと言う感想でした。

「こういう場合、世論は性急に容疑者を名指しする。どうやって決めるのかは分からないが、恐い現象だな」

住民がアラン・ヴェルヌーを容疑者として見ていることについてのメグレの見解

キャスト

     メグレ警視/ブリュノ・クレメール

 ジュリアン・シャボ/ジャン=ポール・ルシヨン
 アラン・ヴェルヌー/ディディエ・フラマン
ユベール・ヴェルヌー/レイモン・ジェローム
    フェロン警視/モーリス・オフェール
   シャビロン刑事/ジャン=ミシェル・ノワリー
      シャリュ/ジル・ガストン・ドレフュス
 ルイーズ・サバティ/ララ・ギラオ
       ロメル/アラダン・レイベル
     シャボ夫人/イヴェット・マーリン


他の映像化

ルパート・デイヴィス主演(英)
 シリーズ4 第2話『The Fontenay Murders』(1963) ※日本未紹介

ジャン・リシャール主演(仏)
 第29話『Maigret a peur』(1976) ※日本未紹介


ブリュノ・クレメール主演シリーズ視聴記録

☆がお気に入り、〇がお気に入りには後一歩だけど楽しめた作品、△が思うところはあるけどドラマとしては悪くない作品です。
全て現時点での評価になります。

〇01「メグレと消えた死体」(1991)
 04「モンマルトルのメグレ」(1992)
☆05「メグレと首なし死体」(1992)
☆06「メグレと深夜の十字路」(1992)
☆07「ホテル・マジェスティックの地下室」(1993)
☆08「メグレたてつく」(1993)
☆09「メグレと口の固い証人たち」(1993)
☆10「メグレとベンチの男」(1993)
☆11「メグレと宝石泥棒」(1994)
〇12「メグレと幽霊」(1994)
☆16「メグレと老婦人」(1995)
〇17「ローソク売り」(1995)
☆19「サン・フィアクル殺人事件」(1995)
☆21「男の首」(1995)
☆23「パリ連続殺人事件」(1996)
〇24「メグレの途中下車」(1996)
☆25「聖歌隊少年の証言」(1997)
△29「マダム・キャトルと子供たち」(1999)
△30「野菜畑事件」(1999)
△31「ジュモン51分の停車」(1999)
△32「メグレは二つに見える」(2000)
〇36「開いた窓」(2001)
△37「メグレとワイン商」(2002)
 38「メグレと政府高官」(2002)
〇40「メグレと奇妙な女中の謎」(2002)
☆41「メグレと田舎教師」(2002)

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