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フロスト警部 第37話『野生の犠牲者 Endangered Species』(2006)紹介と感想

海外ドラマについて書いたらフロスト警部を観たくなったので、吹替があって気軽に見ることができる5本の中から、ワニに追いかけられるフロスト警部が印象的な『野生の犠牲者』を選択しました。


あらすじ

警察の捜査も虚しく無罪となった軽犯罪者のフラナガン。
そんなフラナガンから助けを求める電話を受けたフロストは、相棒のプレスリーを連れてフラナガンの農場へ行くと、フラナガンは見つからず風呂場にいたワニに追いかけられる。
その後、フラナガンの捜索を続けていると、家の近くの池からバラバラ死体が発見された。

その夜、ジュリーと過ごそうとしていたフロストの元に、宿直のプレスリーから身元不明死体の通報があったので来て欲しいと連絡が入る。
ハリス一家が旅行から帰ると、家の中に見知らぬ死体があったのだ。

2つの殺人事件に、同居人プレスリーとの関係にと、今回も大忙しのフロスト警部。果たして2つの殺人事件を無事に解決し、ジュリーと食事をする事ができるのか。


紹介と感想(ストーリーのネタバレがあります)

慣れないパソコンでの報告書に苦戦しているフロストは、2つの殺人を足りない人員で操作することになります。
捜査の途中で、マレット所長やロンドン警視庁の横やりも入りますが、愚痴を吐きつつ粘り強く捜査を続けるフロストたち。

しかし、その横やりのせいで犠牲者が一人増えてしまいます。
怒り心頭のフロストですが、仕事をしっかりこなす姿は、本当に偉いと思います。
マレットの部屋にある象牙のハンマーを目ざとく見つけて皮肉を言ってみたり、うまくガス抜きを行っているのも流石です。

仕事だけでなく私生活でも、プレスリーが家で彼女と会いたいのにフロストが許可を出さないせいで、同居解消の危機が訪れていました。
フロストも同居人がいなくなっては大変と、プレスリーが彼女と会えないように仕事を増やしていきます。

しかし、フロスト自身もジュリーとすれ違いが続き、途中からはそんな意地悪をしてる暇もないくらい2人とも働き続けることになっていきます。

今回の2つの事件にはつながりはなく、別々に解決を図ります。
一つは法律に違反した愛が巻き起こした悲劇であり、もう一つは動物密輸が絡んだ大規模な事件が背後に隠れていました。

違法に英国まで連れて来られて亡くなってしまう動物たちに、やりきれない気持ちが湧いてきます。
最後は実行犯に命令した人間の元へ乗り込み、犯人と2人で虎のいる檻に閉じ込められるフロスト警部。
自分の虎に殺されそうになっている犯人の小物ぶりが光ります。

プレスリーとハーミソンの邪魔をしていたフロストですが、すれ違いの末にジュリーとの関係が終わってしまいました。その後のシーンも含めて、人を呪わば穴二つというには切ないラストシーンでした。

動物密輸事件の比重の方が大きめなため、違法な愛が絡む事件の掘り下げが浅いことと、2つの事件が直接的にも間接的にも一切関係ないのが少し物足りないですが、過去に見た時より楽しんで観ることができました。

「かわいそうに。この虎だって、デントンくんだりでなんで、それもトラックの中で死ななければならなかったのかね。正義はどこにいっちまった。そりゃ、人間はすごい薬を作ることはできるかもしれない。でも、こいつらを創ることは絶対にできないよ。だろ」

密輸された動物の死骸を見たフロストの言葉

ドラマ概要

原案:R・D・ウィングフィールド『フロスト警部』シリーズ
脚本:クリストファー・ブレイク
監督:ロイ・バターズビー
時間:94分

レギュラー
 ジャック・フロスト/デヴィット・ジェイソン(大塚明夫)
    マレット所長/ブルース・アレキサンダー(納谷六朗)
ジョージ・トゥーラン/ジョン・ライアンズ(小形 満)

ゲスト
 ロバート・プレスリー/ブレイク・リットソン(細谷佳正)
      ハーミソン/エミリー・コリー
  ジュリー・ブラウン/クレア・コックス【35】

    ケネス・ショー/デヴィッド・カルダー
  デニス・プライヤー/アントン・レッサー
 クリスティン・ハリス/ルース・ジェメル
  ケビン・フラナガン/ゲイリー・セフトン
キャロル・ヘイマーシュ/シャーン・ブルック
    キラン・デサイ/ニラ・アリア
  ジェラルド・ハリス/ティム・トレロア


『フロスト警部 A TOUCH OF FROST』(1992~2010)作品リスト

☆は過去に観た際に特に好きだった話です。改めて見直すと変化があるかもしれないので、いずれ全話再見していきたいと思っています。

第1シーズン 1992年
 01.クリスマスのフロスト(原作:クリスマスのフロスト)
☆02.孤独の行方
 03.フロスト日和(原作:フロスト日和)

第2シーズン 1994年
☆04.差別の構図
 05.忘れえぬ構図
 06.秘められし罪
 07.招かれざる訪問者

第3シーズン 1995年
☆08.間違えられた獲物
 09.秘密の約束
 10.堕ちたヒーロー
 11.追いつめられた男

第4シーズン 1996年
 12.失われた心
 13.愛のために犯した罪
☆14.忘れられた戦士
 15.夢の代償
☆16.殺意の水辺

第5シーズン 1997年
 17.孤独な復讐(吹替えあり)(原作:フロスト気質)
 18.狙われた天使(吹替えあり)(原作:フロスト気質)
 19.罪の告白
☆20.ゆがんだ愛

第6シーズン 1999年
 21.過去を語る使者
☆22.暴かれた別の顔
 23.消された歌声
 24.泥棒の忘れ物

第7シリーズ 1999年、2000年
☆25.それぞれのミレニアム(前編)
☆26.それぞれのミレニアム(後編)

第8シリーズ 2001年
 27.交錯する疑念(前編)
 28.交錯する疑念(後編)

第9シリーズ 2002年
 29.見えない標的(前編)
 30.見えない標的(後編)

第10シリーズ 2003年
 31.封印されていた真実
☆32.“未知と遭遇”した男
☆33.子供たちを狙う眼

第11シリーズ 2003年、2004年
 34.二重生活
☆35.暗闇のダンス

第12シリーズ 2005年
☆36.死の淵からの生還(吹替えあり)

第13シリーズ 2006年
 37.野生の犠牲者(吹替えあり)

第14シリーズ 2008年
 38.愛なき者のゲーム
 39.愚かなる報復
 40.報道の真実(吹替えあり)

第15シリーズ 2010年
 41.さらば フロスト(前編)
 42.さらば フロスト(後編)


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