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ブリュノ・クレメール主演 メグレ警視29「マダム・キャトルと子供たち Madame Quatre et ses enfants」(1999)紹介と感想

原作:ジョルジュ・シムノン『四号夫人とその子供たち』(1945)
脚本:ピエール・グラニエ=デュフェール、ドミニク・ルレ
監督:フィリップ・ベランジェ
時間:91分


あらすじ

マダム・キャトルは、自宅の温室で夜中に死体を見つけた。その時、夫は温室でバラを植えていた。
しかし、次の日には死体が消えており、恐怖を感じたマダム・キャトルは子どもと一緒に家を出てホテル暮らしを始めた。
暫くしてから警察へ届ける決心をしたが、信じてもらえていない様子。
夫が働いている店へ警察が話を聞きに行くと、4日前から夫と女店員が無断欠勤していると知らされる。
マダム・キャトルは、夫は自分を探しているが、こちらから告訴してやると息巻く。
相談を受けたメグレは、自分が事件を引き受けることにし、マダム・キャトルが宿泊しているホテルへと向かった。
フォンテーヌと偽名を使い部屋を取ったメグレは、マダム・キャトルや子ども達との交流を深めながら、捜査を続けていく。


視聴記録

原作はポケミスで20ページ程の短編で、ホテル内のマダム・キャトルと子ども達を描き、最後になぜマダム・キャトルが馴染めないホテルに宿泊していたのかが明かされる小品になります。

ドラマは、原作のラストで明かされる部分を物語の最初に疑惑として提示します。
メグレがホテルに宿泊を始めてからは、原作通り、ホテルに馴染めず子どもに声を荒げるマダム・キャトルと、母親に反抗する子ども達を描きながら、そこにメグレが絡んでいく構成です。

メグレことフォンテーヌは、積極的にマダム・キャトルと交流をするため、ホテルの女中達から噂されたりもします。
女性客に手を出す詮索好きのおじさん扱いは結構キツそうです。

物語は、主にホテルとマダム・キャトルの家で進みます。ホテル外の捜査で相棒になるのは若い刑事・ラギャルドです。
力仕事を任されたり水浸しにされたり、結構荒く使われていますが明るく働く良い子でした。出番が今回だけなのが残念です。

犯人候補は既に分かっている中で、その犯人候補は今はどこに行るのかというサスペンス要素もありますが、こちらは基本的にメグレが近くに居る事もあり、ハラハラ感はあまりなく、マダム・キャトルの心理面を描くために使われていました。

原作では唐突に明かされる真相に向けて、捜査部分を独自に補ったドラマとなります。
このドラマの作りなら、もう少しサスペンスに振っても良かったのではないかと思いましたが、2時間警察ドラマとして無難に構築されていました。

ただ、「他にシリーズ原作が多くある中で、なぜノンシリーズ短編を使うのか?」という個人的な疑問に、説得力をもって応えられるほどの魅力を感じられなかったのが残念でした。


キャスト

ジュール・メグレ/ブリュノ・クレメール

マダム・キャトル/マリアンヌ・バスレー
   ラギャルド/クロード・デュバルフェ
   ヴァイマー/クリスチャン・モラン
    マチルド/デルフィーヌ・ザントゥ
    ジャニン/エレーヌ・バブ
ジャン=クロード/ケヴィン・ゴフェット
ジャン=ジャック/アントワーヌ・デュ・メルル
     リオム/トマシュ・ハナーク


ブリュノ・クレメール主演シリーズ視聴記録

☆がお気に入り、〇がお気に入りには後一歩だけど楽しめた作品、△が思うところはあるけどドラマとしては悪くない作品です。
全て現時点での評価になります。

〇01「メグレと消えた死体」(1991)
 04「モンマルトルのメグレ」(1992)
☆05「メグレと首なし死体」(1992)
☆06「メグレと深夜の十字路」(1992)
☆07「ホテル・マジェスティックの地下室」(1993)
☆08「メグレたてつく」(1993)
☆11「メグレと宝石泥棒」(1994)
〇12「メグレと幽霊」(1994)
☆16「メグレと老婦人」(1995)
〇17「ローソク売り」(1995)
☆19「サン・フィアクル殺人事件」(1995)
☆21「男の首」(1995)
☆23「パリ連続殺人事件」(1996)
☆25「聖歌隊少年の証言」(1997)
△29「マダム・キャトルと子供たち」(1999)
△31「ジュモン51分の停車」(1999)
△32「メグレは二つに見える」(2000)
〇36「開いた窓」(2001)
△37「メグレとワイン商」(2002)
 38「メグレと政府高官」(2002)
〇40「メグレと奇妙な女中の謎」(2002)
☆41「メグレと田舎教師」(2002)


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