ブリュノ・クレメール主演 メグレ警視 第10話『メグレとベンチの男』(1993)紹介と感想
原作:ジョルジュ・シムノン『メグレとベンチの男』(1952)
原題:Maigret et L'Homme du Banc
脚本:ジャン=ピエール・シナビ/ダニエル・トナチューラ
監督:エティエンヌ・ベリエ
時間:85分
あらすじ
ベンチから立ち上がり路地裏へ歩いて行った男がナイフで刺された。
男の名はルイ・トゥレ。
妻に身元確認をしてもらうと、靴とネクタイが夫の物ではないと言い出した。
ルイが勤めている筈の会社は3年前に倒産していることも判明。
どうやら、妻が恐くて勤めているフリをしていたようだが、給料も家に納めていた。
メグレは、捜査の中で倒産後の彼の生活を少しずつ再構築していく。
紹介と感想
本編が85分しかないので、原作を読んだ時に感じたテンポより速いペースで物語が進んでいく感じがしましたが、大きな流れは原作に忠実に描いていました。
しかし、終盤から犯人逮捕までの流れを原作から一部変更しています。
そのため、原作とは役回りが変更になったキャラクターもいました。
また、原作ではメグレの憂うつを表すための一エピソードだったルネ・ルクールのエピソードを膨らませており、メグレ夫妻の優しさと、家族を捨てた男と捨てることができなかった男の対比を描いていました。
トランスやメグレ夫人の準レギュラーだけでなく、サントニと若い刑事も登場し、最近観た作品の中では最もチームで働いているメグレを観ることができました。
健康のために酒と砂糖を止めているトランスは、メグレのことを理解しています。
しかし、今回初めて一緒に仕事をするサントニや若い刑事は、メグレのやり方を理解していない様子が描かれていました。
また、視聴順ではかなり久しぶりのメグレ夫人登場話になったので、メグレと夫人が一緒に映画を観に行ったり、自宅で楽しそうに話しているだけで嬉しくなりました。
ルイの3年間を追うという筋は一緒ですが、回想なども殆どなく原作よりもルイの存在感が薄いため、あっさりした印象の作りになっていました。
しかし、トランスや夫人と楽しそうに話すなど、機嫌のよいメグレの様子が多く観ることができたり、メグレ班として捜査をしている雰囲気が感じられ、ドラマはドラマとして面白く観ることができました。
最終的に、倒産した会社の倉庫でお面を顔にあてて笑顔のメグレの姿が、微笑ましく印象に残る物語でした。
キャスト
メグレ警視/ブリュノ・クレメール
メグレ夫人/アン・ベルク
トランス/エリック・プラット
トゥレ夫人/マリー・デュボア
マリエット/アンドレア・フェレオル
モニク/ジュリー・ジェゼケル
サンブラン/フレッド・ペルソンヌ
サントニ/ジャン=マリー・ホアン
ジョリス/ジャン=ピエール・ジェルマン
ジェフ/ミシェル・ベルト
他の映像化
ルパート・デイヴィス主演(英)
シリーズ2 第13話『Murder on Monday』(1962) ※日本未紹介
ジャン・リシャール主演(仏)
第22話『Maigret et l'homme du banc』(1973) ※日本未紹介
愛川欽也 主演(日)
第9話『警視とベンチの男』(1978)
ブリュノ・クレメール主演シリーズ視聴記録
☆がお気に入り、〇がお気に入りには後一歩だけど楽しめた作品、△が思うところはあるけどドラマとしては悪くない作品です。
全て現時点での評価になります。
〇01「メグレと消えた死体」(1991)
04「モンマルトルのメグレ」(1992)
☆05「メグレと首なし死体」(1992)
☆06「メグレと深夜の十字路」(1992)
☆07「ホテル・マジェスティックの地下室」(1993)
☆08「メグレたてつく」(1993)
☆09「メグレと口の固い証人たち」(1993)
☆10「メグレとベンチの男」(1993)
☆11「メグレと宝石泥棒」(1994)
〇12「メグレと幽霊」(1994)
☆16「メグレと老婦人」(1995)
〇17「ローソク売り」(1995)
☆19「サン・フィアクル殺人事件」(1995)
☆21「男の首」(1995)
☆23「パリ連続殺人事件」(1996)
☆25「聖歌隊少年の証言」(1997)
△29「マダム・キャトルと子供たち」(1999)
△30「野菜畑事件」(1999)
△31「ジュモン51分の停車」(1999)
△32「メグレは二つに見える」(2000)
〇36「開いた窓」(2001)
△37「メグレとワイン商」(2002)
38「メグレと政府高官」(2002)
〇40「メグレと奇妙な女中の謎」(2002)
☆41「メグレと田舎教師」(2002)
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