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読書感想文

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2024年5月の記事一覧

笹沢左保『結婚って何さ』(1960)紹介と感想

笹沢左保『結婚って何さ』徳間書店, 2022 あらすじ 上司に理不尽に叱られた遠野真弓と疋田三枝子は、その場で会社を退職した。 その日は飲み潰れてやろうと入った三件目のバーで、見知らぬ男と一緒に飲む事になり、流れで三人で旅館へ宿泊した。 しかし、次の日の朝には男は首を絞められ殺されていた。 部屋の鍵はかかっており、犯人として捕まる事を恐れた二人は現場から急いで逃げ出す。 事件を追うための僅かな手掛かりは、男が持っていた名詞と切符だけ。 次々と現れる疑惑の死の先にある真実と

有栖川有栖『幻想運河』(1996)紹介と感想

有栖川有栖『幻想運河』講談社, 2001 10年くらい前に火村シリーズを数作読んだことがありますが、ノンシリーズを読むのは初めてになります。 あらすじ 大阪の各所の川にバラバラにした死体を小分けにして捨てていた男が警察に捕まった。 場所は変わってアムステルダム。シナリオライターを志す恭司は、アムステルダムでの生活も長くなってきたため、そろそろ出たほうが良いのではと思いながら、今の環境に未練があり決断できずにいた。 友人達とマリファナを吸った夜に、夢の中で突如告げられたバ

中町 信『死者の贈物』(1999) 紹介と感想

中町 信『死者の贈物』講談社, 1999 あらすじ 野木見友子が財津珠世のスナックへ電話をかけると、粕谷伸一郎が電話に出て、遺恨から財津珠世を刺し殺してしまったので自殺すると話し電話を切った。 状況を聞いた外科医の徳有修平、妻で看護師の徳有雪乃、野木見友子が急いで駆けつけると、珠世は生きていたが、伸一郎は喉を同じナイフで突き刺し死んでいた。 事件は単純に片づくと思われたが、3人の努め先の病院・明京病院院長で珠世の姉である財津加奈子の誕生日パーティーの最中に、珠世が殺されて

酉島伝法『るん(笑)』(2020)紹介と感想

酉島伝法『るん(笑)』集英社, 2023 収録作あらすじ 三十八度通り(2015) 土屋は三十八度の微熱が続いていた。解熱剤を飲んだことを妻に怒られ、身体も頭も怠い中でも仕事は休めない。 仕事へ行く途中に同じマンションの藤巻等と贄を龍の身体に投げに行った。 その後も、体調は悪くなり続ける。 一緒に暮らしていた真弓は出て行ってしまい、いつの間にか日常の風景も大きく変って行くなか、土屋は動き続ける。 千羽びらき(2017) 真弓の母は、蟠りの末期状態だった。 丙院に入院して

2024年4月の読書まとめ+『ななつのこ』『AURA~魔竜院光牙最後の闘い~』『ナイトウィザード リプレイ 白き陽の御子 』『アイウエオ殺人事件』感想

4月の前半は入院していたこともあり、3月に引き続き読書量が多かったのですが、後半は溜まっていた録画を観たり、日常生活活動に追われてあまり読書ができませんでした。 5月は、仕事が始まり忙しくなることもあって読書量自体は引き続き少なくなりそうですが、質の方で充実した読書時間を過ごしたいと思います。 加納朋子『ななつのこ』(1992) 19歳の短大生・入江駒子は、ある日書店で『ななつのこ』という短編集に一目惚れし購入した。読み終わると、熱に浮かされたようにファンレターを出した