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女性になるためにどのような手順が必要かを知らなかった私が、まずは、ホルモン注射を打ってもらえる病院をネット検索した。そして初めてホルモン注射を打つことになったのが池袋セントラルクリニックだった。

初診だったが、特段に何も聴かれず、その日にプロギノンデポーを打ってもらった。ホルモン治療費の生活への影響は小さくなかった。治療には二週間に一度、数千円の治療費と、更に三か月に一度数千円の血液検査費用が発生した。

後日看護婦に聞いたところ、他院で打っていると勘違いされたらしく、ガイドラインに沿った治療の場合、性同一性障害の診断書が必要とのことであった。診断書無しでフライングホルモン治療を始めてしまった自分が、今後どのような手順で性別移行をしていけば良いか再度ネットで調べ、たどり着いたのは、「あべメンタルクリニック」

すぐにでも診断書を取得して、タイでの性別適合手術を済ませたかった私は、早速予約を取った。確か、初診の際、自分史を持ってくるようにと言われ持参した記憶がある。

すでにホルモン治療も始め、少しずつ女性化していた私は、権威のクリニックに行けば、すぐにでも診断書が取得できると高を括っていた。

何度か通い、お話を聴いてもらっているうちに、どんどん期待が膨らんだ私は、「すぐにタイで性別適合手術がしたいのですが、診断書を出してもらえませんか」と先生に尋ねた。

「ガイドラインに沿った治療の場合、診断書は出すことはできませんよ。」

すぐにでもタイでの手術ができると思っていた私はノックアウトされた気分だった。

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