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私は現在、トランスジェンダーであることを伝えずに、生理不順と言う事でホルモン注射を打っている。そのきっかけは医者とのこんな会話が始まりだつた。

「先生、私、別の病院でホルモン注射を打っているんですけど、遠いので大変なんです。ここで打てたりしますか?」

「あー、生理不順?打てますよ。今日打っていきます?」

「嬉しい。では、隔週でお願いできると助かります~」

それ以降10年、かかりつけ医にお願いしている。


思い起こせば、ホルモン注射を始めたのは32歳の時であった。

WEBやTwitterで男性が受けられる女性ホルモンの病院をリサーチした。当時GIDの治療をしている病院がなかなか見つからなかったが、自宅から通いやすいと言う条件で池袋セントラルクリニックにたどり着いた。

事前に調べていたが、2週間に一度の周期でホルモンを投与を続け、定期的に血液検査をする必要があった。料金はあまり覚えていないが、ホルモン注射が一回3~4000円、定期検査が5~6000円だったように記憶している。もちろん保険適用外だ。

最初、性同一性障害のガイドラインなど全く知らなかった私は完全にフライングで始めた。

「これで女性になれるんだ!」

嬉しい気持ちでいっぱいだったが、裏腹に、"思い描いたレベルの女性化" を得られるまでには半年や1年では足りなかった。

緩やかに緩やかに "男性の精悍さ" が消えていき、優し気な雰囲気 / お肌の弾力 / 柔和な表情など…

女性のそれに近づくまでの時間は当時の私にとって長いものだった。その後、MTF友人から紹介されて、一回7~800円程度の健康保険料金で受けられる荒川区にあるクリニックに変えることにした。

人気のクリニックだったのか、毎回満員で待ち時間が平均1時間程度が必要で、隔週で電車を乗り継ぎ通院する時間も合わせると、一回のホルモン投与に費やす時間は3~4時間。その時間を捻出する事は正直大変だった。

投与しはじめて何年かしたとき、経口剤があることを知った。早速先生に相談して処方してもらい、毎日飲んでみた。

経口剤にして1か月程度経ったある朝、顔の印象が徐々に暗くなっていることに気が付いた。スキンケアも美白ケアも力を入れているのにどうしたことか・・・頬のあたりのトーンがぼんやりと暗いのである。

ぼんやり暗くなった原因は肝斑(かんぱん)。肝斑は女性特有のものだと思っていたが、先生曰く、「男も女も関係ないよ!」との事。

通院の時間節約はできたものの、その代償は大きい。せっかく女性化して綺麗になろうとしているのに、シミができては元も子もないため、すぐに注射での摂取に戻した。

その後5年ほどそのクリニックに通い、引っ越しのタイミングで現在のかかりつけ医で「生理不順という名目」でホルモン注射を受け続けている。

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