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#2 今週の「名言とことば」

 「名言とことば」、二週目のまとめになります。
 今週初めには、シリーズ画像を作成したり…またこの一週間で、投稿も小生の習慣に組み込まれてきたころです。
 今週も、有用な話題をご提供できていたならば幸いに存じます。

#4「大きな夢をみよう。大きな夢だけが人の心を動かす」―Marcus Aurelius Antoninus

アントニウス【Marcus Antonius】古代ローマの政治家。護民官。カエサルの部将としてガリアに転戦。カエサルの没後、オクタウィアヌス・レビドゥスと共に第二次三頭政治を行い、東方属州を統治。後にオクタウィアヌスと反目し、アクティウムの海戦に敗れ自殺。(前八二年~前三〇年)

『広辞苑 第七版』

 まったく、もっともです。「まぁ、これくらいのことができれば十分かな」とか言っている人に、全てをかけて応援しようと思えますか?いや、できないでしょう。

#5「人は、運命を避けようとしてとった道で、しばしば運命にであう」―Jean de la Fontaine

原文:「On rencontre sa destinée - Souvent par des chemins qu'on prend pour l'éviter.」

ラ-フォンテーヌ【Jean de La Fontaine】フランスの詩人。イソップなどに取材し、自然で優雅な韻文を駆使した「寓話集」一二巻は、動物を借りて普遍的な人間典型を描き出した寓話文学の傑作。(一六二二年~一六九五年)

『広辞苑 第七版』

 この言葉を発したと言われるフォンテーヌさんは、「すべての道はローマへ通ず」という格言でも知られる方です。

 これには個人的にも、共感が湧きます。「こうなるだろうと思ってこういう行動をとったら、逆にこうなってしまった」。
 そんなことを表したこの一文には、巧みだなぁとも思わされてしまいます。

#6「事を成し遂げる者は愚直でなければならぬ。才走ってはうまくいかない」―勝海舟

かつ-かいしゅう【勝海舟】幕末・明治の政治家。名は義邦。通称、麟太郎。海舟は号。安房守であったので安房と称し、のちに安芳と改名。江戸生れ。旗本の子。海軍伝習のため長崎に派遣される。咸臨丸を指揮して渡米。帰国後、海軍操練所を設立、軍艦奉行となる。幕府側代表として江戸城明渡しの任を果たし、維新後、参議・海軍卿・枢密顧問官。伯爵。著「海軍歴史」「陸軍歴史」「開国起源」、自伝「氷川清話」など。(一八二三年~一八九九年)

『広辞苑 第七版』

 これは、自分には経験が無いのですが、映画などではよく目にする気がします。
 大抵悪役が、無駄に手をまわし過ぎた結果、それが裏目に出て結局成敗されてしまうパターンですね。
 「愚直」は「馬鹿正直」。「馬鹿正直」で、何が悪いのでしょう?一歩一歩、役割を積み上げる。それが結局は、事を成し遂げる一番の近道かも知れません。

#7「樹木にとって最も大切なものは何かと問うたら、それは果実だと誰もが答えるだろう。しかし実際には種なのだ。」―Friedrich Nietzsche

ニーチェ【Friedrich Wilhelm Nietzsche】ドイツの哲学者。キリスト教倫理を奴隷道徳として、強者の道徳を説く。この道徳の人を「超人」と称し、生の根源にある力への意志の権化と見た。ヨーロッパの古典的世界観を否定し、神の死を宣告して運命愛の能動的ニヒリズムを主張した。その影響は実存主義やポスト構造主義にも及ぶ。著「悲劇の誕生」「ツァラトゥストラはかく語りき」「善悪の彼岸」など。(一八四四年~一九〇〇年)

『広辞苑 第七版』

 ここでは、語釈を削り過ぎずを得なくなってしまいました。上で削った部分を下に示しておきます。

たね【種】①植物の発芽するもととなるもの。特に、種子植物の種子。④物事の発生する、または成り立つもと。原因。

『広辞苑 第七版』

 どんな「果実」も、「種」が無ければ生まれない。他の人が努力して進めていった企画を、最後にはかっさらっていって自分の手柄にする人。嫌がられますね。大切なのは、「種」を探し、育てることなのです。

 一方、「果実」は次の「種」を各地に広げ、さらに繁殖するためのものです。生まれた「成果」からは、そこからまた他の事に広げていくことはできないか。それを考えることが大切なのかもしれません。

#8「風立ちぬ、いざ生きめやも」―Paul Valéry、堀辰雄

原文:「Le vent se lève, il faut tenter de vivre.」

ヴァレリー【Paul Valéry】フランスの詩人・思想家。マラルメの高弟で、象徴詩から純粋詩へと進み、文学・芸術・文化全般にわたり精妙な評論を書く。詩「若きバルク」「海辺の墓地」、評論「精神の危機」、対話篇「ユーパリノス」など。遺稿に「カイエ」。(一八七一年~一九四五年)

ほり-たつお【堀辰雄】小説家。東京生れ。東大卒。芥川龍之介・室生犀星に師事、日本的風土に近代フランスの知性を定着させ、独自の作風を造形した。作「聖家族」「風立ちぬ」「幼年時代」「菜穂子」など。(一九〇四年~一九五三年)

『広辞苑 第七版』

 この言葉は、映画「風立ちぬ」でご存じの方も多いかも知れません。しかし元々の出どころは、堀辰雄さんの小説、「風立ちぬ」でした。

 これを現代風に直すと…?映画「風立ちぬ」で、主人公の堀越二郎君が呟いていたものを引用します。

「風が立つ。生きようと試みなければならない。」

宮崎駿, 『風立ちぬ』

 また、ここでは初めて、原文・日本語訳の両作者を併記する形をとりました。
 というのも、堀辰雄によるこの訳文、「風立ちぬ、いざ生きめやも」は…少々癖が強いんですよね。
 詳しい説明は省きますが、原文「il faut tenter de vivre」は上の通り、「生きようと試みなければならない」。一方、対応する「いざ生きめやも」は現代文に直すと「生きられるか…?いや生きられはしないだろう」という意味。明らかに真逆ですよね。ここから、これは「誤訳」とも言われています。

 しかし、ことばが放つ雰囲気は素晴らしい物ではありませんか?韻を踏んだこの文は、口に出しても楽しい。
 たとえこれが語訳だとしても、十分に価値のある名言と感じます。

#9「自分の間違いを認めることは非常に難しい。しかしそれをしなければ先には進めない」―Mikhail S. Gorbachev

ゴルバチョフ【Mikhail S. Gorbachev】ソ連の政治家。一九八〇年共産党政治局員、八五年書記長。ベレストロイカを推進。八九年最高会議長、東欧の民主化を容認し、冷戦終結に貢献。翌年初の大統領となったが、九一年ソ連崩壊の際に辞任。ノーベル賞。一九三一年~

『広辞苑 第七版』

 ソ連時代に大きな仕事をなし、大統領辞任後も世界に大きな影響を与えたゴルバチョフさん。先月、8月30日に亡くなられたと発表されましたね。上の語釈も、次の版では最後に「二〇二二年」と加えなければなりません。

 今回は、それを受けたものです。彼の「名言」について調べると検索結果に出て来たものらは、本当に核心を突いたものばかりですね。その中から一つ、選ばさせて頂きました。

 このことばには、本当にその通りと言いたい。もちろん、自分も同じです。対して、思い浮かべてしまうのは現代の政治家たち。何か失敗を犯しても、閣僚さんたちが考えた釈明の言葉を述べているだけのようにしか感じられません。
 そして現代思い浮かぶのは、誰よりも、ロシアのプーチン大統領ではありませんか?彼は本当に、正面から向き合っているのでしょうか?戦況は勿論、突然命令が下った兵士たち、侵攻されたウクライナの方々に。彼の側近がそれを伝えられない状況なのだとしても、その状況に陥らせたのはプーチンさんです。己の大先輩の言葉に学んでほしいですね。

#10「文章は短く、友情は長く」―Voltaire

ヴォルテール【Voltaire】(本名 François Marie Arouet)フランスの作家・思想家。啓蒙主義の代表者。理性と自由を掲げて封建制と専制政治および信教に対する不寛容と闘い、たびたび投獄される。著「哲学辞典」「ルイ一四世の世紀」「カンディード」など。一六九四年~一七七八年

『広辞苑 第七版』

 成熟した間柄の人ほど、無駄な会話が少ないイメージはありますよね。自分はまだそこまで成熟できていないようなので、友人とワハヽと品のない笑い方をしてしまったりするのですが。

 無駄な追及はせず、相手を信じあう。でも、必要な時には遠慮なく文字を費やす。そんな関係性を持てる人に巡り合えたら、その友情が長いものになる事は確かでしょう。


 無事、「今週の名言とことば」も二週目となりました。始めた当初は、自分に本当に毎日・毎週の投稿なんて務まるのかと思っていましたが、今のところ大丈夫そうです。
 また、外国語のことばについては、原文を記すよう努めてはいますが、ここにあまり労力をかけることは難しいのです。一通り、簡単に調べて見つからないものは記しておりませんが、ご了承下さい。
 今後とも、どうぞ宜しく御願いします。

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