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留学OR海外協力隊? 英語習得にはどっちが良い?ー経験の性質の違いについて

「自分のレベルアップとして、英語を話せる様になりたい。」
「英語を使って、海外生活を経験してみたい。」
「いろんな人生経験を積みたい。」

そう考えてネットで情報収集すると、
候補として多く挙がってくるのが
『語学留学・留学』
『ワーキングホリデー』。

もしあなたが過去に、国際協力やスタディーツアーへの
参加経験がある場合は、『JICA海外協力隊』
もその並びに挙がってくるかもしれません。

***
私は2023年10月からJICA海外協力隊として、
東アフリカのウガンダという国で暮らしています。

JICA海外協力隊では、海外での生活の前に、日本国内で研修合宿
(現在は”派遣前国内訓練”と呼ばれているもの)があり、
赴任国で使う言語(英語、フランス語、スペイン語 etc,)の学習等を行います。

私は2023年7月から2カ月間にわたり国内訓練を受けていました。
赴任国の公用語が英語なので、毎日
英語の語学クラスで学習をしました。

過去、2016年~2017年の約1年間、オーストラリアで
語学留学(英語)をしていた事があり、

語学留学と、JICA海外協力隊での語学学習は、その
学習内容の特徴や、経験の性質がまったく異なると感じた
ので
今回その違いを整理して、
冒頭に書いた「人生経験UPの為に、語学留学か?海外協力隊か?
を考える際に役立つよう残したいと思います。


”語学学習”を2つの要素に分類する

1.基礎・概要を知る、身に付ける学習

どの語学についても、まずは「文法」「活用のルール」「発音のルール」等
の基礎を学び、頭で理解することから始まるかと思います。
この基礎理解は、すべての土台となるのでスキップできないものだという
ことは、誰もが承知かと思います。

そして、会話をするために
テキスト等を見ずにその基礎ルールを思い返し、話すことができるまで
基礎を定着させる学習が、ひとつめです。

個人的には、この学習の賜物が「日常会話ができるレベル」になると思います。

2.使えるものに消化する学習(何語を話すか?ではなく、何を話すか?)

基礎定着の先に、人によっては、「この分野・議題について、意見交換をしてみたい」
「英語で一次情報をインプット(/アウトプット)できるようになりたい」
という方もいると思います。
また、大学院進学や専門機関への就職など、学習環境のステップアップを
目指したい方もいるかもしれません。

そうなると、1の基礎に加えて、
類義語・対義語の習得や、TPOに沿った表現(一般的な表現 ~ 学問的な表現)
の使い分け方の理解が必要となります。

また、科学や物理、数字的な世界を除き、
社会には”正解がないトピック”が沢山あります。
もし、あなた自身の言語学習の目的が、「議論・自身の見解のアップデート」
の類であるとすれば、大切なことは「何語を話すか?」ではなく
「その言語で、誰と、何を話すか?」です。

そのように、言語を利用する場面を想定して、
”友人との日常会話” の範囲を超えたより広い場面で
利用できるようにする練習が、ふたつめです。


以上、語学学習を2つの分類に分けてみました。


語学留学/海外協力隊 共通している授業内容

さて本題です。

先ほど分類した2つの「語学学習」を用いて整理すると、
語学留学でも、海外協力隊でも、1.基礎・概要を知る、身に付ける学習 
は共通して学習できます。(海外協力隊に関しては、
海外派遣前の国内訓練での学習を指しています。)

また、授業提供者にもよるかもしれませんが、どちらも基本的には
英語で授業をうけることになります。

勿論、学習の成果としてどこまで習得できるかは、ひとそれぞれです。
授業内容(経験内容)として、これは共通しています。


語学留学の特性

では、それぞれで異なる点は何でしょうか?
(私の経験と価値でのお話しです。)
整理して書きたいと思います。

語学留学の、特徴的な授業内容

・「文法等のルール」「頻出の単語やイディオム」に加えて、
ネイティブスピーカーが良く使う口頭表現も教わる事が多い。

・その国や地域の、社会システム(祝日や世間一般的なホリデー期間と
一般的な過ごし方、教育システム、雇用形態etc.)について
先生が議題に取り上げてくれることも多く、授業を通して知る事ができる。

役に立つ点

・基本的な言い回し/ 丁寧な言い回し/ 砕けた言い回し
それぞれに触れられるため、幅広い層の人との自然な会話力
の習得を目指せる。
・留学先となる国や地域をこだわりを持って選べば、
語学授業を通して、その国や地域のライフスタイルや社会を学べる。

もの足りないかもしれない点

・大学の学部やゼミで学ぶように、ある領域の学習を深めたい場合は、
語学授業以外の時間を自分で確保し、自主的な学習が必要。

・後に学部留学や大学院への留学を目標にするクラス(コース)でない限り、
専門的な用語や、研究記事・論文に使うような文法スキルやボキャブラリーは習得しづらい(学問性が低い)。

海外協力隊の特性

海外協力隊の、特徴的な授業内容

・「文法等のルール」「頻出の単語やイディオム」を、
任国(新興国)での生活、ボランティア活動を想定場面とした例文やテキストブックから、学ぶ。

・上記に加えて、自分の任国や活動内容に基づいたプレゼンテーションや
スピーチを通して、スピーキングの練習をする。

役に立つ点

・新興国での生活や、ボランティア活動といった特定の場面想定から勉強できるため、
そのようなコミュニケーションで英語を使いたい方(使う事を目的にしている方)には、語学留学よりも近道(直接的)。

・どの場面においても、誰に対しても、失礼のない言い回しや表現を学ぶので、
それが身に付けば十分な方(その習得を目的にしている方)にとっては
プラスアルファのインプット(例えばスラング等)を避けて学習を進められる。

もの足りないかもしれない点

・スラングや砕けた言い回しはほとんど触れないため、ネイティブスピーカーぽい会話を目指すには遠回り(とも言える)。

・プレゼンテーション等の機会においても、トピックが比較的専門的な内容となる為、
含みのある広義な単語を知らないまま、学問的な単語・表現に触れる(学習する)ようなケースが起こりやすい。
(”森を認識しないまま、樹に触れる” みたいな状況が発生しやすい。
且つ、森を認識していないことに気が付つけない可能性もある。)

結論

こうして並べてみると、それぞれの
役に立つ点/足りないかもしれない点は、裏返しみたいなものです。
自身の現在地や目指すことを鑑みて、どちらがより最適そうか
考える参考にしていただけたら幸いです。

経験の性質としての違いは、
語学留学 
→広く浅く/ネイティブスピーカーのような日常会話・日常生活に近づく経験/後にスキルが活きる場面は幅広く、興味関心分野が定まった後に、更なる学習は必要

JICA海外協力隊 
→狭く深く/言語活用場面が明確で、集中的。その分野・領域でのキャリアアップに役立つ学習を積むような経験/後にスキルが活きる場面は絞られるが、その場面(若しくは分野)においては即効性が高い


簡潔に私の結論を書くと、

「英語を基礎から学び、幅広く友人を作りたい」
「将来的なワーホリ、海外移住、国際結婚に繋げたい」
という方は、語学留学の方が良い!

「英語を使って、話したい分野・勉強や経験を深めたい関心領域がある」
という方は、海外協力隊に挑戦するもの有効な選択肢! 

ただ、語学習得の成果については、勿論、授業以外の時間の
過ごし方も影響します。
語学留学では、多くの場合、授業以外でも英語を話すでしょうし、
JICA海外協力隊の訓練では、1日の中では日本語での会話がほとんどです。

そのため、語学留学→海外協力隊→… というステップもひとつの道かもしれません。

以上、
いまざっくりと「英語を勉強したいな」「海外生活してみたいな」と思っている方にとって、参考になれば幸いです。

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