WANDS 7th Album 『Version 5.0』 ライナーノーツ
『THE FIRST TAKE』で披露した「世界が終るまでは…」が話題を呼んでいるWANDS 第5期。6月〜7月に東名阪で行った第5期として3度目となるライブツアー『WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~』も大盛況のうちに幕を閉じ、今後の動向にさらなる期待が高まっている。
今回はそんなWANDS 第5期の楽曲をより深く理解し、魅力に迫るべく、7th Album『Version 5.0』のアルバム解説、及び一曲ごとのライナーノーツを紹介する。
2023年8月30日リリース、WANDS 第5期 渾身の2枚目のフルアルバム。前作アルバム『BURN THE SECRET』から2年10ヶ月を経てのリリースだが、この間彼らが順風満帆だったかというとそうではない。2019年11月、第5期としての活動再開を発表したのも束の間、翌年より全世界を襲った新型コロナウイルスによるパンデミックによって彼らもまた活動縮小を余儀せざるを得なくなった。2020年5月に17th Sg「抱き寄せ 高まる 君の体温と共に」、9月デジタルシングル「Secret Night〜It’s My Treat〜[WANDS 第5期ver.]」、10月WANDS 第5期初となるフルアルバム『BURN THE SECRET』をリリースとコンスタントに作品を発表していったものの、コロナ禍の影響でキーボード木村真也が体調不良により療養、世の中的にも陽性者が増加する中、9月開催予定だった東阪名ツアーはやむを得ず中止となってしまった。
そんなパンデミックの渦中を経てなお続けられていた制作活動の中で、2021年には「カナリア鳴いた頃に」と「YURA YURA」の2枚のシングル曲を発表、FCイベントを経て翌2022年8月には配信シングルとして新曲「愛を叫びたい」と、名曲「世界が終るまでは…[WANDS 第5期ver.]」をリリース。さらに2年連続で断念されていた第5期初のツアーを開催、年末にはBREAKERZとの2マンライブを成功させ、翌2023年、ようやくパンデミック収束の兆しの中、5月に20thシングル「RAISE INSIGHT」をリリースして、遂に辿り着いた2ndフルアルバムへの道程である。足かけ3年を経てのこのアルバム、タイトル『Version 5.0』に象徴されるWANDS 第5期の世界観を構築し、新たなる幕開けへと繋げる作品となった。
今作で最も注目すべきはヴォーカル・上原大史の躍進ぶりだろう。前作『BURN THE SECRET』ではWANDS 第5期作品に関して、作詞は上原大史、作・編曲は柴崎浩というような棲み分けが暗黙で出来上がっていたような気もしたが(「アイリメンバーU」のみ作詞・作曲が上原、編曲が柴崎)、今作もその路線を踏襲しながら全13曲収録中10曲の作詞と(3曲は既存曲の第5期バージョン)2曲の作曲を手掛けている。また、当然の如くヴォーカルスタイルにもより上原らしいアプローチが満載、WANDSらしくありながらかつ新たなWANDSサウンドの魅力を開拓している。もちろん、歌詞の世界観もニヒルだったり、トリッキーだったり、隠喩的だったりと多様な示唆に富んでいる。また、この4年間で育んできた柴崎とのコンビネーションの絆もさらに深化、バンドとしての化学反応(=ケミカル.マジック)が随所に窺える作品となった。
21世紀に進化した新たなるWANDSの挑戦作『Version 5.0』、その魅力について探っていこう。
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