ハード・ヒット 発信制限/観てみて_9

チ・チャンウクさん、⁡いつなんどきも超絶美形。

◎『ハード・ヒット 発信制限』⁡

⁡先日上げた下記に、ん?と思った数行足そうとして早数日。やっと。

◎振り返り(内容に触れています)⁡

この物語、⁡上映開始早々のあっという間のロケットスタートののち、そのままフルスピードで話が展開します。つかみはOK!とダチョウさんの言葉が脳内でリフレインしました。こういう映画に遭遇出来るのは嬉しいことです。あとはもう期待しかないですから。⁡私自身はそんな気持ちで鑑賞をスタート。ちなみに原作映画とそのリメイクもあるそうですが、観てないままです。(観たいです。)

チョ・ウジンさん演ずる(単独初主演だそうです。)主人公は銀行の支店長。子供たちを車に同乗させ出勤前に学校に送り届ける途上で事件は発覚します。車内でコール音がして探すと見覚えの無いスマホが。それを介して車には爆薬を仕掛けてある、(体重移動させ)降りると爆発する、(簡単には用立て不可能な額の)カネを振り込めば助けてやると謎の男に脅されるのです。主人公は無我夢中で生き延びようとします、子供のために。⁡これが話の柱です。

生存努力の過程で彼の背景もどんどんと奥まで晒されます。仕事に追われながらも家族を大切に思っているみたいです。だから子供たちはお父さんが好き。年頃で素っ気ないけれど長女は多忙な父親を理解しています。妻は夫については致し方ないと諦めているようでした。長女にしか連絡先を教えていなかったのはあれ、こっそりお勤めでもしていたのでしょうか?働かずとも不自由無いのに。外の空気を吸いたいとか自分も自己実現を成したいとか、何かそんな風な気持ちがあったのか無かったのか、、、と初めは思ったのだけれど、単にママ友と会っていただけ?ママに繋がらない時はここにかけてね的な事を日頃娘に伝えていただけ?ならば妻はよほど夫の顔色を伺いながら生活していたのか、、、その辺りの詳細はよく分かりませんでしたが、夫婦がまた夫婦として人生の共闘者として気持ちが結び付いていくことが示されていくので、これくらいの仄めかしで十分だとも思いました。

私は劇場で映画を観る際、メンタルやられそうな予感がする時を除いてあまり事前情報を入れない様にしています。今回も予告を見てポスターを眺めた程度。でもこの作品は予告をも見ず、ただポスターを一瞥して座れば大方犯人の見当はつくことでしょう。私はキャストは鑑賞後に確認しました。そうしたらチ・チャンウク氏の役名はまんま謎の脅迫者。そうだったのか。。。

だから、つまりはこれネタバレではないのです。この作品は単にドキドキしながら犯人を探し出し爆破スイッチをオフにする映画ではありません。ドキドキさせられながらも謎の脅迫者が何故脅迫したかを振り返っていく、そこにも重きが置かれているのです。

警察がちょっとヌルいんです。指揮系統が複数あるから余計に。主人公を容疑者扱い。なので観客が、マジかーそんなの未然に防げるだろー、と思うことを真犯人にしでかしてしまいます。もはや潔く爽やかに清々しいレベルで。主人公を見守る側としてはイライラしました。原作を知らないのでこれが元の話の展開に準じているものなのかどうかが分かりませんが、制作側も理にかなっていないのは承知の上なのではとも思います。だって本当にマジかーなのですから。それでも理屈より私たちの気持ちを手玉に取る方を選択しています。だからちゃんとマジかーって踊らされてしまいましたよ。踊らされながら話が最後の山へと向かうのを観ることになりました。

音楽が観客のドキドキ感を煽り続けるし上映時間も94分。主人公の緊張感と家族への思い、長女の主人公への思い、齟齬が生じていたであろう夫婦関係がもたらした妻の慌てぶり、主人公が気付かないままだったり見ない振りをしてきた他者の思いに対峙する過程、これらの要点がブレずに分かりやすく纏められていて、ずっと集中して観れたのが良かったです。主人公の最後の選択も彼にとっての最善だったであろうことを想像すると、良い幕引きだとも思います。(妻子も理解の上のような気がします。)

前述の様に重箱の隅をつつこうと思えばつつける箇所は幾つかあるんです。でもそんなのを四の五の言う映画ではないです。言ってる暇もない。少なくとも私にとってはそうでした。エンタメに触れたという気分をちゃんと実感させてくれる作品だと思いました。