マークスマン/観てみて_2

マークスマン

道徳と不道徳が混ざり合ってカオスな場所の道徳サイドへ。教わった道が微妙に遠回りだった理由も推して知る。ふつうのものとふつうじゃないものとふつうのものなのかふつうじゃないものなのかパッと見良く分からないものの林立の場。品の良い母娘が駅を背に歩いていた、きっと帰路。ふつうって何だ。っていうか最早ふつうじゃないものなんてあるのか2022。

用件済ませた後、今日が金曜だと思い出す。そうだ封切られたじゃないか!マークスマン!行くしかない。初日最終上映回の俺たちに俺も集合せねばと荷物引き摺って劇場に向かう。

事前に劇場スクリーンの予告で観ていて、期待していたマークスマン。マークスマン=狙撃兵、射撃の名手、なのだそう。リーアムさん=マークスマン、期待以外抱きようがない。

◎振り返り(ネタバレします)
先ずはとにかくポスターがカッコ良かったです。コピーは「的中率100%の男 敵は凶悪麻薬カルテル」。そそられます。先にそそられてしまってからですが、麻薬カルテルの意味も調べました。映画タイトルとそれに伴う各種カタカナの意味は正確に把握しておきたい派なのです。麻薬組織?と思っていたけどそうでした。そそられ間違えてませんでした。

確かにドンパチはありました。ありましたがコピーがうっすらほのめかす、一対沢山みたいな、リーアム対巨大悪の組織みたいな、彼一人でカルテルを壊滅させる物語ではありませんでした。しかも大事なのはドンパチでもありませんでした。リーアムさんは逃避行の中同行する少年に、辛く厳しい、でも真っ当な、そして絶対にふつうのことを教えます。怒りで引き金を引くなということを、そして引かずに済む方法を。

突如として苦しみ悲しみを背負ってしまった少年に、人としての究極のふつうを教えるリーアムさんは、少年の言葉からは自分を見つめなおすきっかけを得ます。これは彼らの心の距離が近づいていくのを観る映画。観客は徐々に、あーこれロードムービーなんだなー、と気付くのです。

ちなみにこの少年、利発でとてもかわいいんです。体型もザ・こども。ぷくぷくしていて赤ちゃんみたい。メキシコ人故に我々アジア人が割と親近感を覚える見目でもあって、私には金田明夫さんそっくりに見えました。

あと、アンバー・ミッドサンダー嬢が急に出てきて嬉しくて舞い上がりました。僅かなシーンだけだけど女優さんとして大きく爪痕残します。小生意気で賢くて可愛らしい役柄を一瞬で観客に知らしめます。

それと、、、やっぱり犬はともだち。ジョン・ウィックだけじゃない、みんなのともだち。それも思いました。

エンディングはシェーンを彷彿とさせます。つらいけど2は作っちゃいけないエンディング。結果としては俺たちではなく、結構なワシたち率の高い中で鑑賞しましたが、良かった、観て良かった。とても映画的な映画だと思いました。