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直感で意思決定するための最低限の条件

ハーバード・ビジネス・レビューでデータドリブンと直感の意思決定についての記事を見かけました。

事業を行う上でデータドリブンはもはや大前提ですが、記事にあるようにデータだけでは判断できないことが多々あります。でも、データよりも単純な直感の方が優れているかというと、それはそれで語弊があります。

こういう記事で「直感」という言葉が表出するから読者は混乱するのですが、これは正しくは「市場とユーザーのことを徹底的に考え抜いて誰よりも深く理解している人が、ユーザーが求める感覚を具現化したもの」です。記事にも以下のような記載があります。

「先行研究では、アナリティクスと比較した場合の直感の有効性は専門知識に依存しており、特定分野の専門家のほうがよりよい直感的な意思決定を行う可能性が高いことが示されている。」

私自身も若かりし頃は、それこそ若気のいたりで「自分の直感は優れている」といった根拠のない自信を持っていたものです。でも、専門性を持たない領域の直感はほとんど役に立たないことを、様々な場面で身を持って体感。直感で判断するには、大前提として深い洞察が必要不可欠であることに気づきました。

そもそもデータドリブンに判断すべきところと、直感に頼って判断すべきところは分けて考える必要があります。例えば自分が担当している事業が置かれている市場や顧客のアクティビティ、属性などはデータを正確に分析して、自分の顧客がどんな人で、どんなものを求めているのか正確に理解する必要があります。

その一方でウェブサイトの機能改善で、デジタルに評価するためにABテストをやって勝ち負けを決めるという場面もあるかと思います。でも、テスト項目によっては有意差なしで結果がうまく出ないことなんて無数にあります。これは短期的な価値と長期的な価値を混在しているから起こることで、実装しようとしている機能が長期的なエンゲージメントのためにやろうとしているのに、数週間のABテストという短期の直接KPIだけで判断しようとするから結果が出ないのです。

こういった数字で表しにくいものこそ直感に頼るべきです。長期的に見て自社の顧客に対して価値があるのはどのパターンか熟考して、その結果を反映します。短期的には結果が見えなくても、長期的にユーザーが気に入って使い続けてくれることを信じて。そのためには、前述のように判断者が市場やユーザーのことを正確に理解した上で、自分がこの顧客だったらどう考えるか?といった問に正しく答えられるようになっていることが大前提です。

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