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家族 - ゆきな18歳の野望

わたし、坂内ゆきな 18才で大学1年。今年4月から。
今はコロナで大学も半分以上オンライン授業で結構楽ちんです。
実は今年の2月から変わった家族の一員になりました。
一員というか中心なのかなぁ。
すごく不思議な人と不思議な家族と暮らしはじめて全てが変わりました。

5年間憧れ続けてもがき続けて元の家族からやっと脱出した今年の2月。すべてをかけて飛び込みました。
わたしは今物心ついた頃から憧れた家族を持つことができました。
毎日帰ることのできる帰りたい家族、家じゃなくって家族。

辛かったなぁ、毎日口論、ママの怒鳴り声、したくもない習い事、よくわからない毎日変わるルール、躾じゃなかったよ。明日って明るい朝日があるのかなぁと心配してその日だけを乗り切る毎日。笑い声が響く友だちの家族が羨ましくてしょうがなかったんです。わたしのウチは家族は口論、闘いばかり。

でも中2のある日希望?そんな生易しいものじゃありませんでした。大きな大きな本物の未来を見つけました。もしかしたら拾ったのかなぁ。
その日からわたしの合言葉、
 わたしのもんだ!
がわたしの全てとなりました。

これからはじまるのは わたしのもんだ!の日々のお話です。


「家族 1 - ゆきな18歳の野望」

わたしの実家は東京近郊、川を渡って電車でちょっと。最近おしゃれな街として結構有名です。この街に住んでもう18年目。産まれてずっと住んでいる街です。

父は企業で法務担当。企業内の契約書、揉め事の法律的な処理を仕事にしています。だからサラリーマン。
母は医療関係。大学は勉強もお金も大変だったそうです。
妹13才中2。結構仲良いです。私と男性のタイプが同じなので恋バナよくしてます。でもそれちっと心配、私の彼にちょっかい出したら (笑)

母は優しい母でした。少し口うるさいところがあったけど。幼稚園に入るころまでは。

私が幼稚園に入るまで優しい母だったのは確かです。幼稚園に入るために乳幼児の塾に行くことになったそうです。わたしは母に連れられ喋り方や歩き方の行儀作法まで専門の先生に何度も繰り返させられました。いやだった。なぜ母じゃない人にこうしなさいとさせられるんだろう。母は見てるだけ。3才の子供がしっかり話せるわけないじゃない。
やっとママ、パパ大好き。ご飯おいしねぇ。近所の理佐ちゃんとお人形で遊びたいくらいのことしかまだ喋れません。
大人にこう言われたらこう答えるのと言われてもうまく発音するのもまだ難しいのに。
なんどもなんども繰り返し同じことを言わされこの教室へ行くのが本当に嫌になりました。
でも毎日お昼過ぎに母に連れてかれて3時間嫌なことを何度もさせられます。

わたしは理佐ちゃんと遊びたいのに、お母さんと一緒の番組を母と一緒に見て一緒に唄いたいのに。どうして母はこんなに嫌なことを私にさせるのだろう、私のこと嫌いになっちゃったのかな?不安で不安でいっぱいになりました。

まだ3才の子になにをさせたいのでしょうか?
3才の私には分かるはずがありません。
毎日お昼ご飯を食べるとお行儀教室へ行かなければいけません。私は絶対に行きたくありません。いけば母は見てるだけで助けてくれず知らない先生の言うことを聞かなければなりません。

母はあの教室に行くと違う人になって私を先生にあげてしまう。母は私を嫌いになったから先生に怒ってもらっているのかと思ってしまいました。3才の子供はまだ大きい赤ちゃんです。母に逆らうことはできません。でも先生の言う通りにうまくできません。

その先生は何度も教えてるのにあなたはもう少し頑張らないといけませんって言う。母はそのたびにがっかりした顔をしてため息をついている。けど私を助けてくれません。
どうしても毎日教室へ行くのが嫌でたまりませんでした。

教室へ通うようになり3ヶ月くらい立ったある日私は教室から帰ると一階のトイレに入って鍵をかけ閉じこもりました。
お父さんが帰ってきたら、教室はもう嫌だ、先生は怖い、お母さんは私んことをもう嫌いになったと伝えようと思いました。
しばらくすると私が部屋のどこにもいないことに母がやっと気づきました。
ゆうちゃん、ゆうちゃん!どこへ行ったの?とおおきな声で叫び始めました。
わたしはじっと黙って母の呼び声を聞いていました。でも父が帰ってくるまで絶対に返事をしない、ここを出ないと決めていました。

母の声はだんだん悲鳴に近い高い声で叫ぶようになってきました。もう聞いているのが嫌なすごい高い声でなにを言っているかわからないくらいです。

母は叫び疲れると誰かに電話し始めました。
おまわりさん?父にかな?と聞いていると大阪のおじいちゃん、おばあちゃんと話しているようです。
私がいなくなった。お行儀教室から帰ったら突然いなくなった。大声で泣き叫んでいます。
なんで父に電話しないのだろう。おじちゃんおばあちゃんは遠いところに住んでいるのに。3才ながらとても不思議に感じました。

大阪のおじいちゃんおばあちゃんを私は嫌いです。
大阪のうちへ行くとお母さんをおばあちゃんがいじめます。
おばあちゃんは母に
「あなたはいつも自分でなにもできないのね。色々教えたけどすぐ忘れてしまうのよ、子供の時からずっと」
「お習字も幼稚園からずっとやってるのにあなたのお名前がやっと。満足に描けるようになったのは小学校に入ってから。うちの家系は小学校入る前に皆小学2年までの漢字をお習字で書けたのよ。」
「ゆきなはあなたに似て正しいご挨拶、お辞儀もまだできないのね。もう3才よ。」
母をこうしていじめるおばあちゃんがだいっきらいでした。
おじいちゃんもいばってるだけで優しい言葉をかけてもらったこともありません。
抱っこさえしてもらわなかったと思います。

嫌な子供時代を思い出すとどうしても小学生みたいな口調になってしまいますね。
あの頃に戻ってしまうのでしょうか。

私がトイレに隠れたその日父はすごく早く帰ってきました。慌てて大騒ぎする母が連絡したのでしょう。
帰ってきた父は2階から探し始めました。
「納戸の中は見たのか?」
「見たわよ!」
「大きなスーツケースとかどかして見たのか?」
「そんなところに隠れたりしないわよ!」
父は大きなスーツケースを全部持ち上げ廊下にだしたようです。
「ゆきなのハンカチが落ちているじゃないか!」
「これは今日ゆきながもっていたものか?」
「そうよ。ゆきなに今日持たせたハンカチよ」
「きっと最初にここにいたんだな」
そうです。はじめはスーツケースの後ろの隠れたのです。
でもすぐ見つかるし母の顔を見たくなかったので鍵のかかる一階のトイレに隠れたのです。一階のトイレならすぐ見つけるし中にいることがわかってすぐ母を困らせることができると思ったからです。
でも母は気が動転しなにも考えられなくなったのでしょう。うちの中を行ったり来たりして叫ぶのがトイレの中からもすぐにわかりました。

父は2階中を徹底的に探しました。母はなにも話さなくなりました。
父が2階から降りてきました。
「まさかここじゃないだろうね。」
トイレの戸が引っ張られました。
「鍵がかかってるじゃないか!ゆきな、ゆきな、なかにいるのか!」
「返事をしなさい!パパだから。もう心配しなくていいから。」
父のその声を聞いて私は泣き出しました。
「怖かったね。もう大丈夫だから出ておいで。誰も怒らないから。」
私は泣きながら鍵を開けました。
父はトイレのドアをさっと開け、私を抱きしめて持ち上げてくれました。
「よかったね、よかったね。パパがずっと抱っこするから心配しないで。」
私は泣いて泣いてほっとしてそのまま寝てしまったようです。

その日から父と母が私のことでいつも口論し始めました。
翌日から私はお行儀教室へ行く時間が来ると家をでて隠れるようになりました。雨の日はトイレに鍵をかけて。
母は絶叫します。
「お勉強に行かないと幼稚園へ入れないよ。お勉強しないといい子になれないのに!」
わたしは母の言葉を聞くのを一切やめました。毎日お昼ご飯の後から母の絶叫と私の逃走。
それでも母はぶったりしませんでした。夕ご飯の時間が近づくと母の叫びが止まっていきます。

母は大学まで繋がっているいわゆる名門幼稚園に入園させようとしていました。自分は大阪で育ち大学は東京だったため友人達の会話についていけなかったようです。それがコンプレックスになり、それに加えて私が生まれると今まで以上に祖父祖母が自分たちの考えを押し付けてきました。世間体や他人との比較をとても気にするようになってきたのです。

幼稚園は絶対にここに。母がこうでないといけない、こうしないと都合が悪い、うちのレベルは世間でもかなり高いレベルだから着るものも家具も子供達の学校・習い事も一流でなければと信じてしまっています。自分が思った通りに物事が運ばなかったり、私たち子供が期待通りの成績、ピアノ・絵画・習字・バレーが一番の出来でないと母を私を怒りそのうちにどこか遠くを見るようになってしまいます。


「家族 1 中2 - ゆきな18歳の野望」

突然暖かい懐かしい匂いがしたんだよ。
匂いがする方へ振り向いたら明るい明るい光りをまとった男の人が立っていたんだよ。
もう、びっくり。
駅で電車を待ってたの。
もう夢中でそばに行っちゃった。顔を見上げたら、こっち見てニッコリしてくれた。
けどすぐ遠くを見ちゃってる。どこ見ちゃってるんだろ、この人。
不思議な顔だなぁ。こんな顔日本人にいないよ。
カッコいいなぁ。
首太いし長いし、背は175くらいかな。
腕ふっとおい。太ももふっとおおぃ。
ケツでかいなぁ。
何やってるんだろう、ラグビーかなぁ。でもなんとなく立っている姿勢がちがうような。
スマホ、iPhoneだ。何かタイプしてる。両方の親指でタイプしまくってる!何、この人! オタク?
英語うってる。すごいやつか!
こっち見ろって!乙女が覗いているのに…
相手にされてない… っていうかぁ、気がついていないじゃん、目に入ってもないじゃん(怒)
中2だとコイツにはオンナじゃないな(怒)
うぅ〜ん。
でもいい匂いするし、なんか光ってるし、すごいかっこいいし…
コイツ私のもんだ!
ってか、わたしどうしたんだろう?
すごおく私のモノ感発生。
胸苦しい、お腹キューってしてきたぁ。

だいじょうぶかぁ?わたし!

駅のホームで陽の光を浴びて眠くなってきた。
電車これから乗るのかよと思うとめんどくさい。
次の電車人いっぱいだったら会社行くのやめよっか。電車乗るのやめよっか。
とボォーってホームで立っていると、なんだか可愛い匂いと子犬みたい感じがさらっとしている、知らんうちに。
なにこれと思ったら横に子犬みたいな女の子がこっち見ている。
なに、おまえ。えらいちっちゃくて可愛いなぁ。子犬のにおいがする女の子なんてはじめてだな。じっと不思議そうに見てるけど。
オレ、おまえの親イヌじゃないからさ。早く帰んな。
オレはWhatsUpでアメリカ側のエンジニアに昨日の出来を聞かなくちゃな。とタイプ。
あれ子イヌ少女、まだいるの?なに不思議そうにタイプ見てんの?
なんか懐かれたのかぁ?
まぁいいわぁ、ほっとこう。


「家族 3 中2 - ゆきな18歳の野望」

あれ?あの人階段の方へ歩いてく。
電車乗らないの?
ホームから降りちゃう。どこ行くの?
ついてってみよう。
改札出ちゃうじゃん。地下鉄の方へ歩いてく。
階段おりてくから地下鉄に乗るんだぁ。
わたしさっきここからきたのにまた地下鉄乗ることになる。改札入ったらエスカレーターで降りないでトイレの方へ行くよ。
まさか女子トイレ入ったりして。オンナを狙うスケベ野郎だったらやだな、なわけないか。
男性用入ったね、もちろん。
あぁ、手を洗い始めた。石鹸水つけて結構ゴシゴシ。手をバシって振って水飛び散ってんじゃん。
変に豪快だし。ズボンで拭いてんぞ!
ハンカチ持ってない!
わたしの貸そうかなぁ。今行ったら変態ストーカーだな、絶対やめよう。
出てきたからちょっと隠れてと。
エスカレーター降りてくぅ。あとつけちゃおう、だってわたしのだもん〜。
なんかわたし変態っぽいね。いけない子かぁ!

2両目に乗った。わたしは1両目でじっと監視。どこで降りるのかな?
「ゆきな、何してるの?」
突然同級生の可憐がいるぞぉ!まずい!ヤバイ!
「学校に忘れ物してぇ〜、戻るの」
「また学校へ行くってやだよねぇ。」
「やだ、やだぁ」
「じゃあねぇ、また明日。」
「またねぇ〜」
うまく誤魔化せた素敵なわたし。
あの人何してるんだろっ?
イヤフォンつけてiPhoneで何か読んでる。
なに聞いてんるんだろうなぁ。なに見てるんだろうなぁ。
見たい、見たいぞ、見せてよねぇ!
行っちゃおう。横へ。へっへっへぇ〜、ストーカーってこういう気分なんだ。
あ、電車動いた!早く行こうっと。
あぁ、またいい匂い。溶けちゃう。
わたし、ボォ〜っと。
あれっ、自然に足が動く… あっという間にあの人の隣。やばぁぁ!
つい顔を見つめちゃう。もうダメだぁぁ、動けないよぉ。
ずぅ〜っと見つめてた。
ドアの前へ行くよぉ。もう降りるんのね。


「家族 4 行脚 - ゆきな18歳の野望」

コムスメが子供の頃から通ってる甘味茶屋へオレははじめて行ったのね。
店主のおばあちゃんに コムスメ挨拶したら 誰だかわからない 
私です ゆきな です
って言ってやっと分かった。
顔が違いすぎるって

前はきつかった 今は別人 優しさいっぱい

ダンナですって 紹介されて 恥ずかしかったな

意味もなく おばあちゃんが 不思議な人ですねって 何百年もいきている感じの人 赤いのと白い色の光がチラチラ見えるねって どこで見つけてみたの こんなの? 笑笑

道端! 大笑

おばあちゃんのおごりだと あんみつ ソフトクリーム いっぱい食べたねぇ

あなたみたいな人は子供の頃に一回見たことある たくさんの人を引き連れて お参りに来てくれた たくさんの元軍人を連れてきたって あなたはあの一族だね

ゆきなは 強い子だけど うちがいろいろあるのは知ってたから 心配だった いつも誰かを探している子だった 歩く人を全部見つめてたんだよ あなたを探してたんだろうね 3才くらいからねぇ 今はあなたに全部くっついているね きっとそれとれないよ(笑)

ゆきなは顔が全く変わっちゃったね 女の子の顔だよ あなたボォーっとして食べまくってるけど それがこの子の幸せみたいだね あなたが何かで変わると心配するんだろうね

これからあなたはゆきなと生きてくけど これから始まることいっぱいありそう 世界をかけて闘うっていうような顔してるけど まずゆきなのために闘ってね もう闘ってるか(笑)

どこ見つけたの? 
駅で〜
大笑

うた歌いながら電車待ってたんで 拾ったぁ〜

駅にこんなのいたんだ 普通いないよねぇ 人なんか見てない人だから こっちから声かけるしかないんだね でも声かけづらい人なんだけど なんで声かけたの?

あ、これ わたしのだ!だから当然声かける!!

わたしの…

オレに相手にされないと思わなかった? ぜぇ〜んぜぇん!

だって わたしのだからぁ

おばあちゃん 笑いが止まらなくてひきつけっぽかった 息ができない

はぁ… 私のものだそうだ だけどお小遣いと財布返してくれ👛

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