スペイン代表、引きつけて崩した得点
そして一旦サイドチェンジをすると、余っていた5人の選手たちが左サイドに揃い、相手を崩そうとする。サイドを変えるのは、相手の守備を少しでも横に広げるためである。深さはボールの位置にもよるが、自陣にボールがあり、相手がボールポゼッションをしている場合は、ペナルティーエリアのラインや、そのアークにラインを設定する場合が多い。
モロッコはサイドチェンジに対してスライドが間に合わず、中央にスペースができているが、コスタがボールに寄らないので、CBは彼を警戒し、ボールサイドに寄ることができていない。
イニエスタがボールを持って前を向くと、イスコが相手守備ブロックの中央に入り、ジョルディ・アルバがサイドの高い位置、そしてブスケツが中央でパスコースを作ることで、ダイヤモンドを形成する。イスコが中央のポジショニングを取ることで、そこで相手のプレスを引きつければ、ワンタッチでプレーした場合、相手を数人置き去りにすることができ、プレスを無効にできる。
しかしモロッコは守備ブロックを閉じてプレスをかけてこなかったので、ボールを受けたイスコは前を向き、スペインは前に2ポイントのトライアングル形成を行なう。イスコがボールを持ち、コスタがパスを受けられるのが分かると、逆サイドではチアゴとシルバがトライアングルを作る。そしてイスコはパスを出すと、コスタが起点になるので、壁パスを狙うが、イニエスタもコスタからのパスを狙い、トライアングルを作る。
イニエスタは相手DFに対して身体を入れてボールをコントロールし、相手が触ればPKという状況を作り、さらにカバーリングのCBを引き出す。シルバが相手DFの間に入り横のセンタリングを狙うが、他に3選手がボール後方にサポートして、ゴールに対して前を向きながらシュートを狙っている。イニエスタは身体をゴールに向けているので、シュートの可能性を感じさせながら、アウトサイドでパスを出すことで相手DFにボールを触らせないようにしている。
スペインはダイヤモンドを作り、ボール保持者に3本のパスコースを作ろうとしているが、そこにサイドチェンジを組み合わせることで、相手守備ブロックを引き伸ばしている。そして深さはFWが作ることになっているが、FWが引けばMFが飛び出すこともあり、様々なバリエーションを持つ。相手に追い込まれても、トライアングルを作ってパスコースを2本持ち、そのトライアングルを変形させることで、相手ゴールに迫っている。
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