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【不登校の子を持つママへ】精神的理由で不登校になった子を学校に戻すときの対処法【体験談あり】

こんにちは、べいぶです。

今回は、不登校の子を持つママ向けに、精神的理由で不登校になった子を学校に戻すときの対処法についてお話します。


私は10年間教員をしており、これまでに1000人以上の中高生と関わってきました。不登校になった生徒も多く見てきているし、実際に不登校になった生徒を受け持ったこともあります。


今回はその時の体験談も交えながら、親がどう対処していけばいいかについてお話をしていきます。

この記事が少しでもあなたの役に立てば幸いです。


「マズローの欲求5段階説」で子供を見る

マズローの欲求5段階説をご存知ですか?

心理学者であるマズローが提唱した人間の欲求を5段階で表したものです。

このマズローの欲求5段階説をもとに子供を見ていくと、彼らが今どこでつまづいているのかが見えてくるようになります。

マズローの欲求5段階説
1.生理的欲求
2.安全欲求
3.社会的欲求
4.承認欲求
5.自己実現欲求

順に見ていきましょう。

1.生理的欲求
生きていくために必要な、基本的・本能的な欲求
です。「食欲」「排泄欲」「睡眠欲」などがあてはまり、これらが満たされないと生命の維持が難しくなります。一般的な人はこの欲求が満たされており、人間がこの欲求階層にとどまる状況はなかなかありません。
2.安全欲求
安心・安全な暮らしへの欲求
です。生理的欲求で最低限のものが満たされると、今度は命や恐怖の心配をすることなく暮らすことへの欲求が出てきます。家や学校など、所属するところで安心・安全に生活をしたいと願うものであり、生理的欲求と同じくらい強い欲求です。
3.社会的欲求
友人や家庭、会社や学校など、所属するコミュニティから受け入れられたいと思う欲求
です。集団への帰属や愛情を求める欲求であり、「所属と愛の欲求」などとも言われます。所属するコミュニティに関わりたい、仲間になりたいという欲求で、この欲求が満たされない状態が続くと孤独感や社会的不安を感じやすくなり、時には鬱状態に陥ることもあります。
4.承認欲求
他者から尊敬されたい、認められたいという欲求
です。外的部分を満たしたい社会的欲求までとは異なり、内的な心を満たしたい欲求へと変わります。中でも、相手に認められたいという他者からの評価を求めるものと、自分は相手の役に立てるんだという自分自身がする評価の2つがあります。この欲求が満たされないと、焦燥感や劣等感、無力感などの感情が現れてきます。
5.自己実現欲求
自分の持つ能力や可能性を最大限に発揮したいと思う欲求
です。自分の力で「なりたい自分」を目指し、自己実現の欲求に突き動かされている状態です。この欲求はそれまでの4つの欲求とは違い、高次元の人間ができるレベルのものだとされています。


不登校になる子のほとんどは、2~4の欲求が満たされていないため、まずは2の安全欲求を満たすことから始めることが多いです。

では、精神的理由で不登校になった子への対処法を2つ見ていきましょう。


精神的理由で不登校になった子への対処法①:子供の状況を把握する

あなたの子供は今、どの欲求が満たされていないでしょうか。


先ほど挙げた不登校になった生徒の話をします。

その生徒は私が受け持つ前から不登校になっていました。きっかけは「教員からの強い叱責」でした。その生徒は朝学校に行こうと着替えを済ませ、いざ家を出ようとすると体調が悪くなり、そのまま家から出られなくなってしまいました。そして自分を責めるようになり、母親に暴言、時には暴力を使うようになりました。それを見た父親からも叱られ、さらにまた暴れるということの繰り返しでした。

私は保護者と話をするうちに、生徒が安心・安全な暮らしができていないと考え、とにかく生徒と話をしようと思いました。家庭訪問を数回重ねるうちに本人と会い、話をすることができました。

私は生徒と初対面なので、まずは関係作りから入りました。母親から状況を聞いていましたが、生徒の口から聞いたわけではないので、現状や不登校になってしまった経緯などを改めて聞きました。傾聴を意識して、とにかく今の思いをすべて吐き出させました

何度か家庭訪問をし、他愛もない話をしたり一緒にゲームをしたりしていました。徐々に安全欲求が満たされてきたのか、家から出ることもいとわなくなってきました。さらには、親の知り合いのある方(Aさんとします)の職場でお手伝いさせてもらえる機会をもらい、生徒は足しげくそのAさんのもとに通いました。

そこでは生徒を従業員の一員としてちゃんと扱ってくれるのです。いいところはいい、ダメなところはダメ。そんな当たり前のことをしっかり伝えてくれるAさんに、生徒は信頼を寄せていきました。

Aさんはその生徒が不登校であること、家での状況などを知っています。折を見て、「現実と向き合いなさい」と話をしました。生徒からすると、今まで避けてきた問題で、避けてきたからこそうまくいっていた日常に突然入り込んできた「敵」です。しかしそれを乗り越えなければ、ずっと現実から、そして自分から目を背けることになる、Aさんはそう伝えました。

Aさんはそれから、何度も生徒に尋ねました。「これからどうするんだ?」

私は家庭訪問を続けていたし、母親から様子も聞いていたので、状況は把握していました。生徒の気持ちとしては、Aさんの言う通り現実に向き合わないといけない、それはわかっているとのことでした。

しばらくして、生徒は徐々に学校に復帰することができるようになり、最終的には欠席することもほとんどなく学校生活を送ることができました。

この生徒の場合、「学校が安心・安全な場所ではなくなった」さらに「家が心穏やかにいられる場所ではない」というのが現状(マズローの欲求5段階説の2が満たされていない状態)でした。


あなたの子供は、今どの段階にいますか?

子供が今どの欲求を満たされていないかを把握することは、子供を理解するうえでとても大切で、さらにはあなた自身の精神的安定も助けます。

まずはあなたの子供がどの段階にいるのか、把握しましょう。


精神的理由で不登校になった子への対処法②:子供の後を追う

欲求とは、本来自然と出てくるものです。「○○したい!」という思いは、誰かによって無理やり作られるものではありません。

特に精神的理由で不登校になった子などは、自ら「○○したい!」と思う状態に戻るまでなかなか動き出せません。それほどにまで弱っています。

そのため、こちらから「○○しよう!」「○○しない⁉」と何度もしつこくするのは、かえって子供を息苦しくします。しつこくなくさっぱりとしたお誘いなら大丈夫ですが、あくまで子供の後を追うようにしていきます。


急かすことなく子供の後を追っていると、しばらくして子供はこんなふうに思うでしょう。

・「自分のペースでやらせてくれている」(安心欲求
・「家族の一員としてちゃんと受け入れてくれている」(社会的欲求
・「自分がやろうとしていることを認めてくれている」(承認欲求

徐々に欲求が満たされていき、余裕が出てきます。大人は子供のダメなところを指摘して改善させようとしますが、時には子供のダメなところも受け入れ、認めていくことも必要です。


私が受け持った生徒の例では、私もAさんも、まずは生徒の横に立ち、生徒のあるがままを受け入れました。特に私は、「こうした方がいい」「ああした方がいい」などとアドバイスをすることは避け、とにかく生徒が自分の足で前進するまで話を聞いたり、一緒にゲームをしたりしました。

私に対して素直に自分の現状を話してくれ、私との空間が安心・安全でいられる「居場所」になってくれればいいと思い接しました。


すると、生徒は自然と歩き出し、一人で前進し始めました

そしてAさんに出会い、Aさんもまずは横に並び、二人は一緒に仕事をしました。

Aさんは生徒に将来を考えさせ、前進するように伝えました。私はAさんともお話をさせていただきましたが、Aさんと生徒には十分な信頼関係ができているようでした。

生徒は、Aさんとの間の「安全欲求」「社会的欲求」が十分満たされていたからこそ、Aさんに認められたい「承認欲求」が出てきたのでしょう。だから、「これからどうしていくのか」という自分の平和を犯すような問いを繰り返しされても、自分の安全欲求が壊されたとは思わなかったのでしょう。


Aさんのおかげで学校に目が向き始めた生徒ですが、まだゴールではありません。

私はあくまで生徒の後ろに立ち、決して急かしませんでした。学校に来たかったらくればいいし、まだ準備ができていなければ来なくていい。

最後の最後に急かしてしまうと、ここまでやってきたことが台無しになってしまうと思ったからです。

人間は、欲求が高まれば高まるほど、実現したい夢が強ければ強いほど、ちょっとのことでは崩れないメンタルになっていきます。

焦らず、生徒が学校に所属したいという思い(社会的欲求)が十分高まるのを待ちました。

しばらくして生徒は再び自分の力で歩き出し、学校に再び登校するようになりました。


不登校の子のメンタルが回復するのには時間がかかるものです。適度に誘いを入れながら、辛抱強く待つのです。そうしていくうちに、子供のメンタルが回復していき、また歩き出す力と勇気が出てきます。

まずは子供の横に立ち、「今の子供」を受け入れましょう。しばらくすると子供は自分の足で歩き始めます。それを後ろからついていくのです。ちょうど、歩くリハビリをする人を介助するかのように。

そうしていくと、あなたの介助なしに再び自分の力で歩くことができるようになっていきます。メインは子供です。今は、子供の後を歩き、支えてあげてください。


まとめ

「マズローの欲求5段階説」で子供を見る

マズローの欲求5段階説
1.生理的欲求
2.安全欲求
3.社会的欲求
4.承認欲求
5.自己実現欲求

精神的理由で不登校になった子への対処法①:子供の状況を把握する
精神的理由で不登校になった子への対処法②:子供の後を追う

精神的理由で不登校になると、家族は元気をなくしてしまうものです。そんなときは人間の欲求に立ち返り、子供の欲求を少しずつ満たしてあげる。子供の現状を把握すると、子供を客観的に見ることができ、余裕が生まれてきます。

しばらく大変な状況が続くかもしれませんが、子供も戦っています。ぜひ寄り添ってあげてください。

大丈夫です。あなたの子供はさらにたくましくなって戻ってきます。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が少しでもあなたの役に立てば幸いです。


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