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新人弁護士記録1

 お久しぶりです。
 1月から弁護士を始め、半年が経ちました。時間が経つのは早いですね。半年経った近況や考え等について書いてみたいと思います。
※あくまで、個人の一意見です。


1 感想

 色々ありますが、1番の感想は、「楽しくはない。」です。事務所から特定されると肩叩きにでも合いそうですが…。
 就活時点から薄々感じていたのですが、自分は企業法務というもの自体にそこまでの魅力を感じていなかったのだと思います。正直、一般民事と異なり、何かやりがいを感じていたわけではありませんし、今でも企業法務自体のやりがいは感じていません。予備試験合格者の多くが企業法務に行くことや友人の多くが大手企業法務に内定をもらっているという状況から、自分も企業法務に行くことに固執していたのだと思います。まあ、今になっては後悔ですね。
 あんまり長々書いてもアレなので、その辺はまた気が向いたら適当にまとめて記事にでもしましょう。

2 仕事内容

 あんまり詳しく書くと特定できるので避けますが、契約書チェック、株主総会対応、DD、顧問業務等やっています。まあ、想像の企業法務と大差はないのではないでしょうか。

 ですが、これから企業法務(特に中小規模)に進みたいと考えている人は、以下の点については知っておいた方がいいのかなと思います。
 中小規模の企業法務(ブティックを除く。)であれば、就活で「だいたい何でもやっているよ」、「時期によってまちまちかな」みたいな感じに言われると思います。事務所側からすれば、その回答は正しいですが、就活する側から見ると正しくはないです。
 中小規模法律事務所と謳うからには、なんでもやっているとは思うのですが、そうはいってもパートナーの専門にしているものや事務所としての強みみたいなものはあります。相当著名な事務所レベルになってくるとわかりませんが、それ以外の事務所はカラーが出ると思います(多分)。何が言いたいかというと、やりたいものができるとは限らないということです。やっているとはいえ、ほとんど相談がないため、自分のやりたい分野をほとんど経験できないということもありますし、逆に、自分の興味のない特定の分野の相談が多いということもあります。
 まあ、中小企業法務に行きたい理由の一つとしては、色々なものを経験したいという点にあると思うので、特段こだわりがないというのであれば、それはそれでいいと思うのですが、少しこの分野が気になっているとか、こういうことがしたいというビジョンがある場合には、実際に何をやっているのかとか、その辺を掘り下げて聞くのがいいのかもしれません。思っていたのと違うのであれば転職すればいいので、気にしないという人もいるかもしれませんが、社会人になったばかりで転職に踏み切るというのも相当大変だと思うので、少し気に留めておいてくれると幸いです。

3 中小規模の法律事務所の環境・労働時間

 前置きとして、事務所によって労働環境等は大きく異なるので、これが一般的だとは思わないでください。

⑴ 労働時間

 忙しい時は忙しく、暇な時は暇だというのが正しい回答なのかなと思います。弁護士なので、絶対この時間までいなければいけないというのはないで、帰りたい時は帰れます。と、そんな回答はどの事務所の説明会でも聞くようなことなので、もう少し立ち入ろうかなと思います。
 当然ながら仕事が終わらなければ仕事をしなければなりません。もちろん、パートナーが仕事量を調整してくれているというのはあるとは思いますが、それはあくまで新件についてであり、既存の案件については、自分で対応せざる終えません。既存の案件で相談が重なったりすると忙しくなりますし、誰かがやってくれるわけでもないので、なかなか辛いです。年次が上がると、案件の振られる数も多くなるので、繁忙期には深夜(遅い時は朝)までやっている先生も少なくないと思います。
 また、早く帰れるかは、個々の能力にも大きく左右されると思います。説明会で早く帰れると言っていても、その先輩が優秀である可能性があります。能力が高くなければ、新たな法律を一から勉強したり、書類を作成するのも遅くなり、それだけ時間がかかります。企業法務に行きたいと思っているのであれば、どの事務所であっても、遅くまで働かなければならないという覚悟は必要です(早く帰れるという言葉はまあ参考までにするのがいいと思います)。
 なお、私は、遅い時は2時30分〜3時くらいまで仕事しましたね…。次の日のパフォーマンスがダダ下がりでした。また、帰る時間としては、最近は22時前後が多いです。この時間に帰ると何もできないんですよね…。

⑵ 労働環境

 こちらも事務所によって千差万別かなと思います。
 働き方という点では、土日も働いている(働かざるを得ないというのが正しいですが)先生もいますし、飲み会に行った後、帰ってきて仕事をしている先生もいます。少なくとも、一般の社会人とは同じではないです。毎日定時に帰ってゲームとかしたいですね。
 また、こういうことをいうのは良くないですが、優秀な人が良い師となるわけではないなと実感しました。私は、優秀な部類の人間ではなく、コツコツとやってできるようになってきた人間なので、そんなに吸収が早くないんですね。なので、そんな簡単にできるようにならないですし、そんなにたくさん記憶もできないです。その辺りの感覚が分からないんだろうなとは思います。結局、OJTといっても、自分で一から勉強してやるしかないですし、勉強したところでわかるかは別ですし、なんだかなという感じですね。数をこなしていけばできることは増えますが、それを続けることが精神的にきついですね。

4 キャリア

 仕事を始めると、何が楽しいとか、どういうふうにやっていこうかなと考えることは多いです。最近は、法務に限らず、どういうことをしたいかと考えたりしてます。まあ、法律以外にできることがないので、弁護士から離れることはできないんだろうなと思ったりするのですが。もう少し、大学生の時に真剣に将来を考えればよかったなと思います。
 
 もし、これを読んでいる大学生がいれば、勉強することももちろん大事ですが、自分が何をしている時が楽しいかとか、どういうことがしたいかということを一度立ち止まって考えてみるといいかもしれません。それが法律家であれば、勉強を頑張るといいと思いますし、何か他のことも気になったのであれば、それを経験してみるのもいいと思います。社会に出ると、自分が思っている以上にたくさんの仕事に溢れているんだと気付かされますので、色々考えてもらえると嬉しいです。

5 勉強

 案件を通じて学ぶことも多いので、日々勉強しているといえばそうなのですが、それとは別に平日に勉強時間を取ることはなかなか難しいです。遅く帰る場合には、夜ご飯を食べて寝るだけですし、たまに早く帰る場合には、自由時間ができたとYouTubeを見たりとゆっくりしてしまいます。そこを頑張って勉強する時間に充てればとも思うのですが…(同業者には分かってもらえるとは思います…)。
 そこで、私は、行き帰りの電車の中で勉強するようにしています。数十分程度ですので大したこともしていないのですが、やらないよりはマシなのかなと思っています。あとは、休日の用事がない時にカフェなどで勉強しています。

6 余談(住む場所)

 電車通勤から推察できると思いますが、私は事務所の近くには住んでいません。家が近ければ通勤時間が短縮できるので楽だろうなと思うこともあるのですが、やはり休日に事務所を近くに感じないということは気分がいいです。また、通勤時間がなければ、勉強時間を取ることは難しかったと思うので、そういう意味でもよかったと思っています。
 家の近さ以外であれば、①遅くまでやっているスーパーがあること、②すき家など24時間やっている飲食店があること、の2点はかなり大事だと思います。早く帰れるという保証はないので、そういうのがあると便利で楽です。
 その他、こだわりは色々ありますが、この辺にしておきます。帰って寝るだけだと思わずに、好きなご飯屋さんがあるとか、スイーツがあるとか、こだわってみると楽しく過ごせるかもしれません。

7 記事の更新

 独禁法の連載については、記事を書く時間がなく更新が止まっています。一人で一から作ってるので、大変なんですよね…(内容の校閲はお願いしてますが)。需要があれば、細々と更新はしていきたいなとは思っているので…気長にお待ちください。
 新人弁護士記録は、このスパンだと年末くらいかなと思います。1年経って成長しているのか、楽しみですね(本人は楽しみではないです。)。

8 新人弁護士へ

 わざわざ弁護士の先生がこんな記事を読みにくるとも思えないので、あくまで補足的にですが、少しだけ書きたいと思います。
 弁護士になる人は割とプライドがあると思うので、なかなか人に踏み込んだ話をしづらかったりするのかなと思います。私はこういうことについてはプライドがないのでこのように普通に弱音を吐きますが。
 とりあえず、一人で悩んでいる先生に、同じように悩んでいる人もいるのだと分かって、少しでも気持ちが楽になってくれればと思います。まあ、愚痴みたいなものです。
 私は上にも書いたとおり、仕事は楽しくないですし、正直辞めたいなと日々思っています。対外的な評価で生きているわけではないので、みんなが知っている会社の案件をやっているということで心が満たされることはないですし、むしろ、自分が楽しい、面白いというものに情熱をかけたいなと思います。まあ、綺麗事だと言われればそうなのかもしれませんが。
 また、世間一般では、とりあえず頑張ろうみたいな風潮を感じることは多いですよね。とりあえず、新人のうちは頑張れみたいな。ただ、頑張った先に何が残るんだろうか、何になるんだろうかと思うんですよね。仕事はできるようになるんでしょうが、仕事以外に何が残るんでしょう。別段やりたいものでもないですし、自分の時間を大きく削った先にに残るものが素晴らしいものなのかなというのはよく考えます。年齢を重ねるごとにできなくなることも増えてきますし、そんな貴重な20代を浪費してまで得るほどの価値を感じていないです。大事なものを大事にして生きていきたいです。
 まあ、自分が志望してきた業界だろと言われてしまうと反論のしようもないんですが、それを否定されるいわれもないよなとは思います。そもそも、その考え方でうまくいくかどうかなんて誰にもわからないですし、頑張り続ければ成功するというのも、結局生存バイアスでしかないですよね。企業法務が好きで、その仕事に打ち込むことが生き甲斐だと感じている人に、その価値観を押し付けるのはいいとは思いますが、そうでない人にその価値観を押し付けたところで、幸せの価値判断が異なるわけですから、共感なんかされないのではと思います。それに、それで無理をして精神を病んでしまった人もいます。結局、業務ができなくなったとしても、誰も責任なんか取ってくれないわけです。
 ぐだぐだな文章になりましたが、向いていないと思うのはあなただけではないということです。がむしゃらに頑張ろうぜというわけではなく、お互い休み休み、色々悩みながら進んでいけるといいですね。まあ、このnoteは今後も続く予定なので、次回お会いできることを楽しみにしています。
 「それでは、また」

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