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1on1ミーティングをアウトソーシング!追加SP:デジタルに流されないために

ある意味で深刻な、昨今の状況

 実は、1on1ミーティングについては前回で終わりにしようとしていたのですが、たまたま気になる情報に触れる機会がありましたので、少し危機感を感じて投稿することにしました。
 ひとつには、巷で『1on1ツール支援ツール』なるデジタルモノが流行っているということを知ったからです。1on1ミーティングは、これまでも述べてきたように、社内で行う場合には、確かにそれなりの準備が必要になります。特に上司側では、「どう進めたらよいか」「部下のホンネを引き出すにはどうしたらよいか」などなど、事前に準備しなけらばならないことは、とても多いと思います。
 ただ、そういった準備に取り組むことによって、上司側としては1on1ミーティングの意義や目的を理解できるはずです。さらに、自分なりのやり方を考え出して工夫すれば、そういった真剣な姿勢が部下にも影響を及ぼし、より良いコミュニケーションが取れていく…という副次的な効果も期待できると思うのです。
 本来はそういったことなのに、アプリにして回答をあてはめていくだけで、いったいどんな効果が期待できるのでしょうか? 慣れてしまうと上司も部下も、ただ義務的にするだけのミーティングになってしまうような気がします。システマティックだからといって、それに頼りすぎると「何も考えない」習慣が生まれてくるものです。 つまり、上司にとってのスキルアップにはつながりませんし、部下にとっては(会社にとっても)何の課題解決にもつながっていかない、ただの時間の無駄使いになってしまうのではないでしょうか?

人はロボットではないし、ロボットには使い方が

 私は、人と人とのコミュニケーションを単純化してシステマティックに行おうとすること自体に、ある種の危機感を感じます。動物である私たちは、コミュニケーションをそれこそ「五感」をフル活用して行います。つまり、リモートによるコミュニケーションは、五感のうちの「視覚」と「聴覚」しか使われていないため、こちら側の意見に対して相手側が反応する際の、ちょっとした身体のしぐさや息遣いなどは、残念ながら伝わってきません。
 「1on1ミーティングは、可能な限りリアルで行った方が良い」というのはそういった意味であり、逆にそれを汲み取っていただけない企業がある場合は、そのスタンスを疑ってしまいます。私たちはロボットではないのですから、直接会って(面談して)、五感で感じあうことが、何より大切なのです。
 そして、「楽するため」の落とし穴もあります。確かに、誰でも出来るような単純作業はロボットに任せた方が効率的ですし、AIによって集計・分類されたビッグデータはこれまでになかった視点から様々な事象を視られるようにしてくれるなど、大きなメリットがあることを私は否定しません。しかし、「業務効率化」などという常套句に乗せられて導入はしたものの、逆に振り回されてしまうような事態は避けなければなりません。ロボットは使うものであって、ロボットに使われてしまっては、元も子もないのですから。

KKDも重要なマネジメント要素のひとつ

 もうひとつ、最近の傾向として危惧しているのは、マネジメントの様々な意思決定局面において、「KKDを排除して、データドリブンで行きましょう!」とされる傾向が強まっていることです。一般的にKKDとは ”勘” ”経験” ”度胸” の頭文字ですが、要は昔からの職人気質によくみられるようなメソッドのことです。そこから生まれる感覚に頼らず、データをキチンと使って判断していきましょうということです。
 私はマネジメントも”科学”のひとつだと捉えていますので、データを駆使して取り組むのは当たり前のことだと思っていますが、最終判断のところで、実はKKDは重要だと考えています。ただ、私の場合、”勘” ”経験” はよいのですが、最後のDは ”努力”だと考えています。(逆に、”度胸” が必要なのは、企業の中ではCEOのみかと思います)
 大事な局面を判断できる鋭い ”勘” が働くためには、多くの ”経験” が必要ですし、その ”経験” は幾多の ”努力” が積み重ねられた結果として付いてくるものだからです。

デジタル化することの功罪

 つまり、デジタルツールやロボット、AIデータは役に立つのですが、使う側にはそれなり”覚悟”が必要なのではないかということです。ここでいう覚悟とは、「五感をフル活用して考える」ということです。逆に言えば、それをしないで安易に使ったり導入したりすると、それこそ流されるだけで、いつまでたっても対岸にはたどり着けない(ミッションはクリアできず、KPIは達成されない)のです。
 HRの側面で言えば、社員のエンゲージメントUPや生産性向上も図れませんし、”静かな退職”どころか、本当の離職誘発にもつながりかねないのです。そして、採用活動におけるミスマッチの要因にもなるのです。

 かのブルースリーの有名なセリフに「考えるな、感じるんだ!」というものがありますが、DXにおいては「流されるな、考えるんだ!」ということだと思います。(追記:2023年はブルースリーの没後50年だそうです)

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