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1on1ミーティングをアウトソーシング!SP実戦編-2:実施内容とポイント

最初は雑談で緊張感をほぐす

 一般的に”アイスブレイク”と呼ばれる手法ですが、誰でも話に入りやすい話題を取り上げることが肝心です。今回私の場合は、暑い日が続いていたため、「毎日暑いけど、夏と冬どっちが好き?」という話から始めました。返ってきた答は「どっちも嫌い。春と秋が好き」というものでした(苦笑)が、その後、少しだけ私の話(最近寒さに弱くなったと友人に話した時のエピソード)をしました。メンターは聴くことに徹するのが原則ですが、ここだけはメンター側の話をした方が、打ち解けやすくなると思います。

まずは体調面の話から始める

 今回、4月入社の新人(中途採用)の方が対象でしたので、まずは体調について聞くことから始めました。人は新しい環境に置かれると、どうしても体調を崩しがちになるもの。私も新卒入社した時に、2週間位下痢が続いたという経験がありましたので、そこは押さえておきたいと思っていたポイントです。アイスブレイクで気候の話をしたのもそのためでしたが、メンティの場合は逆に「体調が良くなりました」とのこと。聞けば、前職が不規則な時間で動くことが多かったのに対し、転職後の現在は「決まった時間に食事できるようになり、残業もほぼ無いので」ということでした。
 ここで「良かったね」とすれば話は終わりますが、体調面を確認する際のポイントはまだあります。ひとつは、本人が自覚していない”何か”があるかもしれないということで、「何か(体調に)変化はない?」「夜は眠れている?」といったことを聞きます。もうひとつは、会社に申告していない持病などがあるかどうかです。どのような持病かにもよりますが、それまでは普通に付き合ってきた病気が、環境の変化によって急に悪化する場合もあります。入社の際に申告できていなかった、という可能性もありますので、この段階で再度聞いておくのは大切なことだと思います。

オフレコでも、とにかく話をしてもらう

 次に、上司に言わないでほしいことは、「この話はオフレコで」と言ってもらうようにしています。今回のメンティは「社長にも直属の上司にも、何でも話せる」ということでしたので、オフレコ話はなかったのですが、本題に入る際、最初にこの注意喚起をしておくことは重要だと思います。
 ただ、話を聴いてみて「これは何らかの形で解決すべき問題だ」と判断したら、「黙っていないで話した方が良いですね」とか「(上司に対して)話しづらいのなら、私からやんわり話してみるけど、どう?」といったアドバイスを行います。一番やってはいけないことは、メンティの許可を取ることなく上司に話すことですが、上司に対しては「深刻な問題を抱えているようですが、話したくないとのことです」とだけ報告し、その後、継続的にコミュニケーションを取ってもらうように働きかけます。
 また、まだそれほど深刻な状態になる前の段階のオフレコ話でも、他者に話すことで、問題の本質や要因について自ら考える機会になり、解決の糸口が見つかることもあります。外部メンターだからこそ「話しやすい」という面と、逆に「話してもしょうがない」という面があると思いますが、特に職場の人間関係などについては、「聴くだけ聴きますよ」という姿勢が大切だと思うのです。

今の課題とともに、将来の展望を語ってもらう

 今の仕事の状況や職場の居心地などについて話をしてもらうのは、1on1ミーティングの最も重要なミッションですが、それとともにメンティには「前向きの姿勢になってもらうこと」も重要だと思います。そしてそのためには、”今”のことだけでなく”未来”のことも語ってもらうことだと思います。
 今回、最初は仕事上のスキルアップに対して目標などがなかったメンティでしたが、仕事以外の”夢”を聞いたところ、「動物保護のボランティアをしたい」という話になりました。そのために「トリマーの資格も取ってみたい」と、こちらはかなり具体的な話が出てきたため少し驚きました。が、それでもその目標を実現するために「もっと仕事ができるようになって効率を上げ、皆の力になりたい」、「そうすれば、皆、早く帰ることができるようになり、誰かが休日出勤をしなくても済むようになる」と仕事の効率アップを図るという目標につながっていきました。つまり、生活(ライフ)を充実させるために仕事(ワーク)を充実させるという、しっかりした考えを持っていることがわかったのですが、今回の1on1の大きな成果だっと思います。
 このように、未来の話については、仕事に関することだけに限らず、趣味など生き方や暮らしを豊かにする”何か”について、語ってもらうことも大切だと思います。そして、その夢をより快適に実現するためには、仕事や働く環境を改善していくことも関係してくる、という”気づき”へとつながっていけば、素晴らしいと思うのです。

終了後、アンケートで感想を聞く

 ミーティングが終了した後、メンティにはアンケートへの協力をお願いしています。(WordでA4 1枚にまとめたアンケートをメール添付でやりとり)主に今回のミーティング全体の感想やメンターへの話しやすさなどを聞くためですが、同時にミーティングを通して得た”気づき”について教えてもらうという目的もあります。(通常アンケートは非公開にしています)
 今回は、入社後1ヶ月半の新人ということもあり、まだ何か問題を抱えているという状態ではなかったのですが、それでも「毎日の生活の中で、自分自身を見つめなおす機会はあまりないので、ミーティングを通じて有意義な時間を過ごすことができました」といった感想をいただきました。
 ”五月病”とは縁遠い感じのメンティであり、私も少しホッとしましたが、それでも自らをふり返る機会にしてもらって良かったと思っています。1時間という短い時間の中ですべての話をする、というのは難しい面もありますが、事前に質問シートを見て、頭の中で答えを用意するという行為だけでも意味があると思います。もし、社内で1on1をやられる際には、ぜひ質問シートの活用をご検討ください。

 これで、実戦編1on1の記事は終了となります。今回の機会を与えていただいた企業の社長からは「少なくとも半年に1回はやれると良いね」との反応をいただきました。アウトソーシングすることで、当然経費はかかるわけですが、「こういったことが分かるのなら、安いものだね」とも。
 社内のコミュニケーション不足を感じている企業経営者の皆様、人的資本への投資だと考えて、アウトソーシング1on1をご活用いただければと思います。

※もっと詳しくお知りになりたい方、導入を考えてみたい方は、M.R.LABOまでメールをお送りください。

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