教師の語り その25 〜陰徳を積む〜

1972年に行われたミュンヘンオリンピック。
水泳100m平泳ぎの金メダリストは日本人の田口信教さんです。

田口さんは自身の講演会にて「オリンピックのファイナリストになれば誰が金メダルになってもおかしくはない。実力の差はない。しかし、金メダルになる人間はいつも金メダルになる。そして、8位になる人間はいつも8位である。実力差はないのに、不思議とこうなる。実力以外の何かが、そうさせるとしか考えられない。」と語っています。

世界のトップレベルになると、その差は「運の差」としか言いようのない場面が多くなるそうです。そこで田口選手はオリンピック選手になってからは、どうしたら運を身につけられるかを考え、実践しました。そして、実際に金メダルを取ったのです。

では、どのようにして運をつけたのか。それは、ずばり「善い行いをする」こと。

ただし、田口選手はただ善い行いをするのではなく、人に知られないように善い行いをすることを徹底しました。

田口選手は、毎日誰にも知られないように、合宿所の皿洗いを続けたそうです。合宿所のおばちゃんに見られそうになっても、うまくごまかしました。
それから、落ちているゴミも人に知られないように拾ったそうです。まわりをキョロキョロしながら、人に知られないようにサッと拾ったそうです。

人に知られないように善い行いをすることを「陰徳」と言います。
昔から陰徳を積むと善いことがあると言われます。

教室に落ちているゴミをさっと拾ってゴミ箱に捨てる。
乱れたトイレのスリッパをそっと揃える。

できることをこっそりと。
今日も人知れず、徳を積もう。

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