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<日本語吹替版完成記念> 特別なオンラインイベントを開催しました!

佐竹監督が日本語吹替版を語る

◆撮影をはじめたきっかけ
 私はニューヨークの非営利団体であるカフェテリアカルチャーっていう団体に属していて、ニューヨーク市内の小学校中学校に出向いて環境教育プログラムをやっています。
「マイクロプラスチック・ストーリー」は、その環境教育プログラムの中の、PS15(パブリックスクール第15小学校)の部分をドキュメントしたものが映画になったものです。ドキュメンタリー映画を作るために学校を探したのではなくて、もう既に私達がやってる活動をドキュメントしたものなんです。
PS15に入った時に、子どもたちのオープンな感じとかエネルギーとか、あの地域の大人たちの子どもたちを心からケアしてる、そういう感じとか、先生だけじゃなくて、用務員のおじさんから給食のおばさんもみんなスッゴイ子供たちを心から大事にしていて、もうそういう感じが素晴らしくて。ぜひちゃんとしたドキュメンタリー映画にしたいって思って彼らが4年生から5年生に変わるときにねもうドキュメンタリーを撮ろうということで。教育プログラムとともに撮影をはじめました。
◆カフェテリアとの出会い
 元々、私は、高校時代はホラー映画とか、お友達同士で殺し合うみたいな、血がドバッあっと出るみたいな映画を撮っていたんですけど(笑)、それで大学を卒業して日本で会社勤めをしていたんですが、非常に何か先のない感じがして、ニューヨーク行ってプロダクションで仕事をしていました。ある日、アレルギー持ちの息子がお弁当を忘れて、彼の学校にお弁当を届けに行ったんです。その時、初めてニューヨークの小学校のカフェテリアというものを目撃してしまったんです。それがもう、床にもチキンナゲットが何個ころがっているの?みたいに、すっごく汚くて、もう牛乳とかもパックごとこぼれているんだけど、誰も気にしてないみたいな感じで。すごいびっくりして・・・、映画の中にもちらっと出てきていますが、当時は、発泡スチロールのトレイを使ってました。それももう食べ物とか物が乗ったまま、大きい人が3人入るんじゃないかっていうぐらいでっかいゴミ箱に、バーンってもう投げ捨てるみたいな感じだったんです。でもなんかこれってどういうこととか思って・・・。
もっと驚いたのは、子供たちが、なにも掃除しないで帰ってしまったことに、もうびっくりして。ニューヨークとかアメリカはそうなんですけど、子供たちがお昼ご飯食べてる時間っていうのは、先生方も昼食の休憩時間なんです。だから先生方は一緒に食べないんです。あのでっかいカフェテリアに来て一度に170人ぐらいの子供たちが右往左往していて、それをスタッフの方が3人ぐらいで面倒を見てるわけです。すっごくうるさいし、もうカオス状態です。スタッフの方に、あの子どもたちは床とか掃除しなくていいの?って聞いたら、「子供たちは床を掃除しちゃいけないことになっている。それは用務員さんの仕事だから」と言われて、もう超アメリカ的な返答で、これってどうよって思って、これはもう何とかしなきゃ駄目でしょうとか思って、もうこの国は私の助けが必要だなとか思ってね(笑)、校長先生のところにすぐに行ったんです。
これ何とかしようよって。校長先生的には人が足りないとかいろんな言い訳があるわけですけど、でも校長先生もこのままじゃいけないと思っていたので、自分でやらせてみてくれって言って、カメラも持ってきていいって言ってくれたんです。
最初は自分だけで、清掃とか分別とかしてたんですが、そこに2年生の男の子が、Can I help you? って言ってきて、頼むよ頼むよ!みたいな感じで・・・。ヘルプし始めたら、その子が毎回、もうすっごく喜々として、得意になってやるんです。そしたら周りの子供たちが、なんで彼だけやってんだ!不公平だ!みたいになっちゃって・・・、なんか応募者続出です。そこで、給食当番ならぬ、カフェテリア当番みたいなのをつくって、クラスで週ごとに人を出してみたいなことやったら何かうまくいったんです。それから今の活動にずっと本当にのめり込みました。この映画のもうひとりの共同監督のデビーリー・コーヘンは、当時から発泡トレイの廃止運動をもう既にやっていたんです。彼女と出会って、一緒にカフェテリアカルチャーというのを作って現在に至るって感じです。
◆映画のこと
 映画を見ていただいた方々にいつも伝えているのは、この映画の根っこの部分です。
あの学校は恵まれた学校ではなくて、低所得者用の市営住宅に住んでる方がほとんどです。家庭的にも非常に複雑な子が多くて、いわゆる里親と住んでいる子供たちが8人いるとか、複雑な事情でご両親と一緒に進めてない子も多いんです。特にそういうただでさえチャレンジだらけの状況にある子どもたちが、自分たちで集めたデータで問題解決について話し合い、そして声を上げて社会の仕組みを変えていく。そういうスキルがこれから本当に必要だと本当に思ったんですね。そんな彼らに、やっぱり自分たちの力で声を上げて社会を変えていく力をつけてもらいたいし、成功体験をしてほしい。そういう思いでそのプログラムをやってるしあの映画にもそういう気持ちを込めたつもりです。そういうところがあの感じ取っていただけたらいいなと思っています。
◆日本語吹替版のこと
 最初から吹替版は絶対作りたかったんですけど、スタジオで大人が声色でやったようなやり方では、あのブルックリンのあの子たちのエネルギーを再現することは絶対できないなと思ってたんです。やっぱりこの問題を大事だと思っていたり、何とかしたいと思っていたり、たくさんの人に伝えたいと思ってくれる子どもたちにセリフを読んでほしいと思ったんです。そのそういう子が読んでくれれば必ずそれが見た人に伝わるだろうって思ったんです。
 だから、日本全国から子役声優さんを公募しました。最初は100人来ればいいなと思ってたんです。そうしたら蓋を開けてみたらもうすごい反響で、578人も応募してくれて・・・本当にもうすっごく嬉しかったです。
 メイキングの映像も是非見ていただきたいんですけど、声優をやってくれた子どもたちはがんばってくれて、彼らの気持ちが乗り移って、この映画が日本の子どもたちのものになったんですよ。本当に。だから、その息を吹き込んでくれた彼らの気持ちがね、今度はたくさんの人に伝わっていくと本当嬉しいなと思ってます。

露木しいなさんからのメッセージ

◆自己紹介
 皆さんこんにちは。最近誕生日が来たので、今は21歳になるんですけど、大学生です。今は大学をお休みして、全国の小学校から大学までの学校の時間をもらって講演をしています。それは何でかっていうと、この学校のあととかに環境の講演をするので集まってくださいとなると、大体興味がある人しか集まってくれないので、何か新しい人にも知ってもらえるようなきっかけを作るにはどうすればいいかなと思ったときに、あの学校の時間で授業の時間をいただいてやるしかないなと思ったんです。
 そうなると、学校に行ってる時間がないので、今、お休みをしてます。でも大学には1年ぐらい通っていて勉強とかもしてました。高校生のときはインドネシアのバリ島にあるグリーンスクールっていう世界で一番この学校と言われる学校があって、建物がね全部だけでできてるすごい特徴的な学校があるんですけど。そこに留学をしていたことをきっかけに環境に興味を持つ。ことになり、その後に国連の気候変動会議COP24と25にも参加させてもらったりして今はもうずっとほとんど講演を毎日やっています。団体とかでももちろんやってるんですけど、もうほぼ8割、9割がた9割ぐらいはずっと学校で講演ですね。
◆日本語吹替版を観て
 プロの子役声優さんはいないと聞いていてみたんですけど、いや絶対プロの人いるでしょって思いました。なんか、みんなが本当にこのキャラクターになりきって、本当に何か魂から言葉が出ているような感じがして。なので逆にプロじゃない人はどの人っていうぐらいだったので、驚いたし、感動しました。
◆子どもたちへのメッセージ
 わたしたちは、1人じゃない方が継続しやすいし、世の中に大きなインパクトを生むことができるのは1人よりも人が集まったときなので、学校の中にいると大体少数派になっちゃってると思うんです。思うんだけれども、こうやってねオンラインで集まったりとか、そうじゃない場所とかに行ったりとかすると意外といるじゃんって思うので、あの1人ぼっちだと思わずにここにね仲間がいるので気にせずね、みんな進んでもらったらいいかなと思います。
◆何かを始めるのに大人になるまで待たなくていい
 何かをしようとする時に、学生の間ってお勉強してからじゃないとダメみたいな考えをする人が意外と多かったりするんですけど、世界を見ていくと感じるのは、子どものや学生でも、大人になる前に行動している人って本当にたくさんいて、自分も国連の会議に行ったり、グリーンスクールに通っていたときも感じましたけど、大人になるまで何かするのを待っている人とかはいないなって感じるぐらい、みんながそれぞれでいろんな活動をしています。だからこそ自分もこうやって、行動ができているからそれを伝えていくべきだなと思ってるので、講演のときも「何かを始めるのに大人になるまで待たなくていい」っていうことはずっとずっとみんなに言っています。
 大人の方もそうなんですけど、人って、やらない理由を見つけるのって、もうみんな大好き。すごく得意なんですけど。何かやりたいと思ったらできない理由は考えずにできる理由を見つけていってほしいなと思います。

https://www.mps-aj.jp/


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