私のピル遍歴
Twitterで「ピル 3000円」と検索すると様々な意見が出てくる。ピルの話は最近活発にネットで発信や議論がされている。近年生理の話はタブー視されなくなった。
私はピルユーザーである。もう飲み始めて数年になる。生理痛がひどく、生理周期も乱れ始め婦人科を受診し、ピルを飲み始めて5年弱になる。そんな私のピル遍歴をまとめてみた。最初に言っておくが、あくまで一個人の遍歴である。そして医療業界にいる性別が女性として、個人の感想も踏まえる。
初めてのピルは中学生
最初にピル(当時はそう思っていなかったけど今思えばピルだったと思う)を飲んだのは、中学生の頃だった。生理が始まって間もないと、月経の周期が安定しない。記憶では、生理が1ヶ月以上続いたことがある。修学旅行も近かったので、その期間に生理が来ないようにずらす意味で使用したことを覚えている。あれがピルでなかったとしても、初めての産婦人科の体験だった。地元の田舎の産婦人科に行く選択をくれた母には感謝している。
社会人、生理が辛くなる
時間は経過し20歳で社会人になった。社会人になり、環境の変化やストレスで生理痛が辛くなった。その前も悩んでいたと思うけど、ロキソニンを飲んでなんとか凌いでいた。いよいよ辛くなり、周期も乱れ始めたので自分の意志で産婦人科に行こうと思った。ネットでピルというものが生理痛緩和に繋がることもなんとなくの知識としてあった。とりあえずあまり調べずに、アクセスの良い場所の産婦人科に行った。医師は男性、内診をして自費のピルを処方された。ピルの選択肢を提示された時、生理痛緩和より「避妊」について強く言われたことを今でも覚えている。男性医師にどのような意図があったのかわからないが、不快な気持ちになった。
その時処方されたのは「ファボワール」という薬で、28錠のシートになっている。生理の周期の28日で生理が来るように調整ができ、最初の21日分を飲みきり残りの7日分は偽薬になっている。これで私の生理周期は整った。金額は覚えていないが、2000円〜3000円/1シートだったと思う。保険適用外なのでクリニックによって金額は異なる。最初は1シート、それからはその産婦人科でもらえる最大シートを受付で申し出て、ピルを購入するというルーティンになった。
しかしながら生理痛は普通にあるので、ロキソニンを飲みながらなんとか耐えていた。
保険適用のピルを知る
ピルを飲んでしばらく、実家に帰った時に母がある地元紙の切り抜きを見せてくれた。私がピルを飲んでいることを打ち明けていた母が見せてくれたのは、私の住んでいる地域の近くの婦人科の女性医師がピル処方で生理痛が緩和できることを伝えてくれる記事だった。その婦人科を受診すると、待合に多くの人がいた。土曜日のクリニックを完全になめていた。初診だったので診察から検査からで時間がかかったので、これは大変だ……と思った記憶がある。
私は月経困難症と診断された(と思う)ので保険適用の「ヤーズフレックス錠」を処方された。この薬は最大連続120日服用が可能で、毎月の生理の回数を減らすことができる。25日連続服用し、その後3日連続出血があれば4日休薬し、また飲み始める。生理痛の根源の生理が減るなら……と思い、ヤーズフレックスに変更し飲み始めた。
そのクリニックは患者が多いのは納得で、生理痛緩和にフォーカスを当てて診察されたので不快な気持ちにはならなかった。
ヤーズフレックス錠は血栓症のリスクがあるので年に1回の血液検査を受ける必要がある。検査項目の多くは健康診断でも採血で数値が出るものなので、自費項目になる検査1項目の採血を受けている。最大数は3シート、総額は8000円弱かかる。
生理痛はあまり緩和されずロキソニンは手放せないが、生理がそもそもないのは気が楽だ。連続服用は60日くらいで生理が始まってしまうので120日服用は体験していないけど、単純に生理がない月があるのは最高。
他のピルも試してみた
医療業界にいるので、仕事で関わった婦人科の先生に相談し、受診してみた。ピルで生理痛緩和のために新しいピルとして提案されたのが「ジェミーナ配合錠」である。試してみたが、私は生理痛が軽くなった感覚がなく、クリニックも少し遠かったので1シートのみ飲んで先程の「ヤーズフレックス錠」に戻った。
個人的なピルについての問題点
ここからはあくまで個人的感想であるが、ピルを飲む私はできれば生理痛が来ないならピルはやめたい。問題点としては以下の通りだ。
・単純に高い、3ヶ月に1回8000円飛んで、年1回検査代も含めて1万円くらい飛ぶの普通にきつい。QOLのために飲んでるけど、もっと安くなってほしい。
・今月ジェネリックが出たのは知っているけどそもそも合うかわからん。ジェネリックを提案してくれるクリニックどこ。
・婦人科の当たり外れひどい。いいクリニックに当たるまでのガチャ感酷い。不快な気持ちになってお金払うのきつい。
・定期的なクリニック受診はやっぱり大変。婦人科に限らず働きながら定期的にクリニック受診できる人はすごい。土日休みだと土曜日にかけるしかない。土曜日に午前しか空いていないところはチャンスが少ない。
ということで、結構負担である。最近ではピルをオンライン診療で処方でき、郵送で届くというサービスも増えているけどほとんどは自費処方である。医療業界にいる自分としては、何も検査せず初診でオンライン診療はなんだか気が引ける。もちろん楽に手に入ってほしいけど、クリニックに行って処方されるにはそれなりに意味があると思っている。
そして高い。先述したようにジェネリックが今月薬価収載されたが、使うか使わないかは医師に委ねられる。特に新薬になるので処方には慎重かもしれない。ロキソニンがロキソプロフェンとして普通に使われるには時間がかかるかもしれない。
単純にピルが合う人、ものによってピルが合う合わないがある人、そもそも合わない人がいる。最近はピルではなくて月経困難症に使用できる薬も出ている。以前婦人科の先生に教えていただいたのだが、ディナゲスト錠という薬も出ている。この選択肢も症状によって、医師によって異なる。単純にかかりつけ医に出会うまでが田舎になればなるほど大変になる現状もある。
また、私はこの春に転勤で居住地が変わったが、先日も以前のクリニックを受診した。新しい場所でクリニックを選ぶのに苦労したくなかった。風邪受診くらいならリミットがあるが、婦人科は私にとって無限に行くところだ。ピルは3シートもらえるので毎月行く必要はないし、今住んでいるところから新幹線を使えば40分程度で行けるのでこの選択をした。
婦人科に行くハードルは正直高いのだ。
生理についてタブーじゃなくなった今だからこそ、もっと声を上げたいと思う。ピルはあくまで1つの選択肢である。生理痛の辛さも人によって違う。ナプキンが買えなくて苦しんでいる人もいる。この現状では、正直絶望してしまう。
制度はなかなか変わることはないと思うが、今すぐできるとすれば苦しんでいる人に悲しい言葉をかけないでほしい。パートナーや大切な人が大変な思いをしているなら、寄り添ってあげてほしい。
苦しんでいることを隠して生きている人がいることを、私含めて知るべきだ。言葉や行動は、時には武器になるのだから。
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