見出し画像

私が選んだ治療法の基準は「治癒」

乳がんの治療はアルゴリズムが多岐に渡ります。大きさや顔つき、再発転移か初発か、閉経前か閉経後か…などで同じ乳がんでも全く治療法が異なるのです。
自分が乳腺外科病棟を担当していた時に何人か見送った経験もあり、その治療法に非常に迷いました。

私は極力自分の癌の正体を分かった上で、納得のいく治療を選びたいと思っていました。
そこで、治療方法に関わる二つの遺伝子検査を受けました。
・BRCA(術前・採血) ー発症に遺伝的な要因があるかどうか

・オンコタイプDX(術後・切り取ったがん組織)ー再発率や、抗がん剤治療の必要があるかどうか

まずはBRCAが陰性。これが陽性だと遺伝的な因子があり、胸を全部切り取る手術が必要でしたが(アンジェリーナジョリーが予防的に行ったのがこれ)、私はこの結果を受けて部分切除を選びました。どちらにしろ、本来は全摘の方が再発は少ないですがどうしても抵抗がありました。
そしてオンコタイプDXが「抗がん剤の上乗せ効果なし」という結果で、抗がん剤も安心して免れることができました(勧められてもする気はなかったですが)。

本来乳がんの治療ガイドラインで私の治療法は
部分切除→放射線治療→ホルモン療法5−10年 
がスタンダードですが、私はいろいろ考えるところがあり放射線療法を拒否しています(理由はここでは割愛します)。
放射線療法は、手術しても残っている目に見えないがん細胞を叩く治療で、受けなかった人は再発率が約10→約30%に上がることが論文上でデータが出ています。
もちろんこのデータを知っていた上で選択しているのですが、自分で選んでいても、ブレることはあります。主治医とは別のとある有名な乳腺外科の医師に「放射線なんでしなかったの。君の治療法だと3人に1人は再発するよ」と言われてしばらく落ち込んだことがありました。

私は「がんと戦う」「がんに勝つ」という言葉に非常に違和感があり、その言葉を使いたくありませんでした。
話は変わりますが、マザーテレサは平和集会はしましたが、戦争に反対する集会はしなかったそうです。戦争に反対すれば、戦争に賛成する人たちが声を上げますが、平和を願う集会であれば誰も文句を言いません。
同じように、「戦う」考え方や治療法を選ぶとがんはまた再発・転移をする、という可能性を思い浮かべてしまうので、「安らかな心で調和する」という心持ちで治療を選択することで自分で自分を治すイメージをしています。
なので、私のブログタイトルには「Hermony」という言葉を使っています。共存、という言い方をする方もいますが、できれば共存はしたくなく(笑)、言葉のイメージがピンときませんでした。

これは、私が今まで患者さんを見ていて、乳がんに限らず抗がん剤治療をする方は転移や再発を繰り返し、また新たな抗がん剤治療をする、というパターンが多いと感じていることもあります。もちろん、抗がん剤で良くなる方もいるので、否定している訳ではなくあくまでも私の「価値観」です。

全ての病気が「価値観」で治療法が決まると言っても過言ではないと思います。
医師に言われるがままに治療するのではなく、自分がどうしたいのか、を考えて調べて、納得できる治療法を選んで欲しいです。
これを言うと驚かれるのですが、私は一度も通院や説明に誰か付き添ってもらったことはなく、自分で話をして決めてきました。これは私が医療従事者であることが大きいですが、不安であれば家族や信頼のおける人を連れて話を聞くべきだと思います。そして、相談できる人がいるといいですね。
私も師事する漢方医や、代替医療のクリニックの医師など、信頼できる人に聞きながら今も自問自答中です。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?