経験価値と伝統文化

モノ消費からコト消費へ、EコマースはLIVEコマースへと移行するという。

『経験価値マーケティング』の本を買おうと想ったら、もう刷られてなくて、メルカリでも定価より高い。

呉服販売において、『経験価値』というものを真剣に考えてみる必要はあると想います。産地ツアーで生産現場を見たり、織物や染物の体験はいままでも行われて来ました。車なんかは高級車をレンタルして、所有する喜びから使用する(乗る)喜び=体験を提供するサービスも登場したそうな。着物でも、着付け教室が繁盛しているというのもそういうことなんでしょう。しかし、問題は、それでは生産者には恩恵が少ないということ。和装とりわけ伝統染織において一番の問題は『技術の継承』生地を問わず着物の形になっているのがキモノであれば、将来的にも何の問題も無い。私達は世界に冠たるわが国の染織技術が失われるということを危惧しているのです。染織の技術など技法書やレサイプがあれば残せる、そう考えるのは短絡的です。なぜなら伝統工芸に大切なのはなによりも歴史・文化に根ざした『マインド』だからです。

寿司を提供する店を寿司屋とするなら、今、寿司屋は隆盛期を迎えているのかも知れません。しかし、私達が知っている寿司屋の楽しみはそこにあるでしょうか。今の寿司屋のあり方を否定するわけではありませんが、遺していきたい文化の一つではないでしょうか。

文化を『経験』するには、文化を解する力が必要です。『経験価値』の概念から私達繋ぎ手がやるべき事が見つかるかも知れません。

皇統も問題もそうですが、わが国の建国以来、変化しながらも連綿と続いて来た文化の糸を我々の代で切ってしまって良いのでしょうか。伝統文化を護ることがイノベーションのジレンマとするのか?いよいよ、我々日本人の覚悟が問われる時になったのかもしれません。

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