息子が一人で眠るようになった
息子、4歳。
1年前まで、おっぱいがないと眠れなかった男である。
保育園の年少さんになった4月に「年少さんはお兄さんだからパイパイはしないんだよ」と言い聞かせてようやく添い寝だけで寝かしつけられるようになった。
保育園でのお昼寝は本人曰く「ぎゅっ!と寝る」そうで、気合を入れれば一人でも眠りにつけることはわかっていた。ただ、「おうちで寝る時はぎゅっ!て寝るのはやだ」と言って、私の脇に頭を埋めたり、私の腕を抱きしめたり、私の手のひらを自分の頬に当てたりして、息子なりに心地よい体勢をつくってから眠りについていた。
寝付けない時は歌やお話をせがまれ、中島みゆきを歌って聞かせたり(ゆったりしたテンポの曲で歌詞を覚えているのがそれしかなかった)、適当にアレンジした桃太郎やシンデレラや笠地蔵やおむすびころりんを聞かせたりしていた。桃太郎など語り聞かせすぎて私のほうが飽きてしまい、桃の流れてくる数を増やし、鬼とは戦わず和解して一件落着と、わりとやりたい放題になっていた。
そんな息子がこの数日、私と触れ合わずに眠っている。
きっかけは、子ども用の枕を購入したことだった。
保育園のお昼寝では、毛布をかけたくない子は丸めて枕にするらしい。暑がりな息子もそうしているようで、この半年ほど、家でも子ども用の綿毛布を丸めて枕にしていた。
ある日私が、何かのきっかけでその息子の丸めた毛布の上に頭をおいたところ、それはとても固く、心地よいとは言い難い感触だった。きれいに畳めていない段差が後頭部にぐりぐりと当たり、鞄か何かを頭の下に敷いているようですらあった。
あまりにかわいそうなので、その週末に枕を買った。息子の好きなパウ・パトロールの絵柄の、ふわふわの綿が詰まった枕である。買い物から帰ってすぐに開封し試し寝をするほどの喜びようだった。
そして、その夜から息子は一人で眠るようになった。
厳密には、私と夫に挟まれて川の字になっているし、なぜかそれまで大して遊んでいなかった犬のぬいぐるみを引っ張り出してきて顔の横に置いているのだが、少なくとも私と密着しなくても良くなった。何日もつかな、と思っていたら、一週間が経った。
こうやって子どもは、ある日突然成長するのだなあ。
赤ちゃんの頃の名残が少しずつ失われていく寂しさと喜びを噛み締め、「子どもは生まれてから3歳までに充分な親孝行をする」という言葉を思い出している。
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