モザンビークの障害がある人の自立支援について企画している話

JICABLUEというJICAとボーダレスジャパンが実施している社会起業家育成プログラムに参加してモザンビークの障害がある人の自立支援事業について企画を練っている。
7月27日が最終発表でもう日がない。もうここまで来たらとりあえず決めてしまって実証にかかった方がよいようにも思うがまだ迷っている。

JICABLUEのサイト

https://blue.jica.go.jp/
 
モザンビークは日本のように政府が補助金を出して作業所を運営して障害がある人の仕事を作るというような制度はない。たまに大企業の社長の家族に障害者がいて、リーダーの趣味でそうした採用活動を行ったり、CSRの一貫で雇用枠を作ったりしている。最近、企業の障害者雇用を促進する法律ができたらしいがまだ把握していない。早く調べたい。
 
これまでたくさんの障害児を持つ保護者の人とお話ししてきて、みなさん子どもの将来を非常に心配している。それはそうだよなと思う。私が彼らの立場でもものすごく心配すると思う。国は全くあてにならない。家族親族が障害当事者の面倒を見ることになるので保護者の方々は親族との関係構築を頑張られている方が多い。親族とのつながりがないもしくは薄いと遠くの親戚の家をたらいまわしにされたりする。完全に捨てられてホームレスになるような事例も多くはないがある。路上で生活している障害者は目立つが障害の出現率から考えるとすごく少ないように思う。
 
国連の統計だと世界の障害者は全人口のうち15%らしい。
今回対象としているのはそのうちの知的障害がある人たちである。
簡単な公用語のやりとりができて指示を理解してそれを実行することができる人たち。

その中でも都市部やその近郊に住んでいる人を対象にしている。農村部には知的障害がある人の役割が多く残っていると思っている。都市部で、例えば両親が公務員とかの場合、障害がある子どもが家で出来ることはかなり限定されることになる。乳母を一人雇って面倒を見させるのはよく聞くパターンだ。特別な教育費や心理的物理的負担などを考えると乳母に丸投げて家においておく方が安上がりなんだと思う。乳母の価格は食事付きで最安で月に1万円ぐらいだと思う。もうちょっと安い事例も聞いたことがある。
 
知的障害はだいたい人口の1%ぐらいと言われていて、モザンビークの首都マプト近郊の人口は統計だと200万人ちょいなので2万人がその対象になる。このへんの数字は結構いくらでもいじれるのであまり意味はない。定義を変えて発達障害だとその割合は6%ほどだというデータもある。とりあえず数万人が対象に成り得る。
 
知的障害があってなんとかコミュニケーションが取れる人達が仕事を通じて自己認識を深めて周囲と協調して自立が促される、というのをやりたいと思っている。モザンビークの場合は、日本のように作業所を作ってそこに通ってもらう形式は合わないと思っている。運営が回らないと思う。例えば、日本型の障害者の自立支援プログラムの輸出みたいなのはプロジェクトとして成立しそうなのだが、プロジェクト期間が終了して現地政府に移管されたときにどうなるかが課題で、まあうまく回らないだろうなと思う。採算がとれていればいいけれど現地政府の公務員が運営して採算は多分取れない。あんまりネガティブな断定はしたくないのだが。
 
日本や先進国の考え方とは全然違うのだが、モザンビークの場合は障害当事者が家族親族の適切なサポートを得ながら自立を進めるのがよいのではないかと思っている。結局ファミリーの結束が一番のセーフティネットなのでファミリーの繋がりがより強まるようなファミリービジネスがよいのではと思っている。
 
モザンビークの都市部で知的障害がある人が、簡単なトレーニングで実施できて、家で出来て、家族のサポートがあればできるもの、
ということで、養鶏と花栽培がいま候補に残っている。
 
これらにも弱点があって、養鶏は臭いの問題があって都市部の家屋が密集したところでは出来ない。花栽培はお隣の南アとの競争になってしまい価格品質ともに勝てなさそう。あと両方とも収益を上げるにはある程度スペースがいる。だから都市近郊が対象になる。
 
部屋の中で座って作業をするような内職みたいなことがいいなと思っていたのだがまだ思いついていない。おみやげもの作りは少し想像したが生産と販売の両面でハードルが高すぎる。
 
ここまで書いてみて一個のビジネスで知的障害がある人達すべての自立支援につなげるという発想がヘンだったなと気付いた。日本でも作業所はたくさんあってみなさん試行錯誤されている。自分もいろいろやったらいいじゃないかと思う。とりあえずJICA BLUEのプログラム用に一つ選んでモデル作りはするが将来的にはいろいろやってみる。
 
このプロジェクトを通して出会う障害者のお子さんを持つ保護者の人たちに「絶対大丈夫です!」と言い切れるようになりたい。


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