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ジョセフの笑み;良い結果がでた時にみせる顔について

 少し前の話題にはなるが、2019年のラグビーW杯を再見した。そこでサモア戦勝利後のジョセフの笑みをみて考えたことを述べる。勝利が確定した時、ジョセフは軽く頷いて鼻で笑うような不敵な笑みをみせた。

 「one team」のフレーズは今でこそ受け入れられているが、W杯開催前は批判も多かった。それは、前回大会指揮をとったエディージョーンズの型に嵌めたタフな方針に比べると、ジョセフは自由度も許容する(決してタフでなくはない)方針では日本に合わないだろうというものが多かった。またジョセフ自身がオールブラックスのスター選手ではあったが、監督経験という点では不安だという議論もあった。ジョセフはNZ代表でW杯で活躍し、次のW杯で盟友バショップとともに日本代表でまた活躍した経歴があり、この件が「一度どこかの国で代表になった選手は他国では代表になれない」というルールができた経緯となったと記憶している。いつものことながら、世論は勝手なもので、ジョセフが結果を大きく出すとその批判は一転、なぜかエディージョーンズ批判に変わっていた。どこかに批判対象を作らないと気が済まない国民性によるものなのか。

 さて、本題に戻るが、良い結果が出た時、人はどのような顔をするのか?また、すべきか?ラグビーは勝ってもトライを取っても喜んではいけない、とされている。また、反対に負けた時に泣くことは美化されるスポーツである。スクールウオーズではトライをとった後にピースをした選手に山下真司は涙ながらに叱っていた。ゴールを決めた後にダンスをするサッカーとは対照的である。しかし、ジョセフの今回の笑みはおそらくその精神によるものではない。その証拠にスコットランド戦勝利後は満面の笑みであった。サモア戦勝利後の不敵な笑みは、計画通りに物事がすすみ「結果を出した」ときの顔であったのであろう。

 仕事でも家庭でも常に何かの計画を立てる。実現に向けて方法を考える、浸透させる、何度も頭の中でシュミレーションをして修正する。本番の時間はその準備期間に比べると一瞬である。その一瞬をものにする、あるいはものにさせる。その時にでる不敵な笑みは、綿密に推敲を重ねたプロジェクトへの自信の表われであろう。ジョセフの笑みができる程の仕事を常にしなくてはならない。もっとも、アイルランド戦の福岡の逆転トライの時に偶然見られた観客の女性の満面の笑顔、これほどの表情ができる人生は幸せであり、その顔を引き出せる人は偉人であるとも思っている。

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