【小説】遺言状・ザ・ベスト 第5話.信者と劇、帰り
駅から出てきた人がバスに乗り、バスから降りた人が駅に向かう。そんな光景をボーッと見ながら今日は何をしようかと考える。
そろそろ夏休みの終わりが近づき、貯金もかなり減ってしまった。旅行をあと数日で終えなければならないという現実とまだ家に帰りたくないという思いが共存している。
そんな気持ちもあって、東京と地元のちょうど真ん中くらいにあり、都会と呼ぶには人が少なく田舎と言うほど廃れてもいないこの街で数日間過ごすことにした。
この街は観光地というわけではない。とりあえ