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【中世欧州料理試作】(15)サーモンのフルーツタルト

このコラムでは、過去試作してご紹介した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介します。
全部実試作つき&単純に自分の感想や所感なども書きなぐってます。基本的に全部美味しいんですけど、一部「?!!?(なんともいえない味)」ってものもありますので、そのあたりも正直に書いときます。



甘じょっぱいクセあり惣菜タルト

そのまんまです(毎度説明雑)。
サーモン好きな方は日本でも多いんですが、自分の中で「サーモン=イメージ焼鮭=おにぎり食べたい!」という自然連鎖があるもんでして、タルトやパイに入れるという概念がそれまであまりありませんでした。

惣菜タルトorパイはあることにはあるんですが、どちらかというと卵とか肉料理がメインだったりするわけでして、あまりお魚を使う種類って最近までなかったような気がします。パン&カフェブームもあって、今はけっこうお魚系を使うメニューもありますけどね。

該当の料理指南書をさくっと拝見した時に、ドライフルーツとサーモン、砂糖をたっぷり使うという明記に「…合う???(困惑)」というのが第一印象だったんですが、そこは作ってみないと分からないよネ、ということで試作に踏み切りました。

お魚の大きな特徴としては「魚の臭み」というのが挙げられます。種類によりけりですが、臭み処理しないと食べる前からけっこう食欲減退するものもありますし。
人様にきちんと出す時はもちろんこの臭み取り処理を行いますが、自分向けの試作はあくまでも当時のやり方にできる限りならっていきたいので、あえて行わず、そのまま使う形でレッツトライしてみました。

魚のタルトはイングランド版とフランス版の2種類を中世ヨレシピおまとめ集に収録していますが、フィリング(タルトの中身)ですら、地域によってこうも違うんです。左側の茶色いなんかいろいろ系がイングランド版だったような(忘れた)。

地域特有の食材も使います

では、毎度恒例の食材+作り方ざっくり紹介を抜粋します。分量とかの仔細は同人誌「中世ヨ料理アレンジおまとめ集」をご参照下さいませ。

<材料>
新鮮なサーモンまたは鮭
ドライいちじく(細かく切り分ける)
レーズン(小さめのもの/カラント種推奨)
松の実
赤ワイン
混合スパイス(ジンジャー・黒コショウ・クローブ・シナモン)

ドライデーツ(一口大に切り分ける)
パイ皿+パイふた

<作り方>
1.小鍋にドライいちじくを入れ、赤ワインを加えて弱火で10~15分ほどやわらかくなるまで煮ます。
2.柔らかくなったら火からおろし、少し冷めたら乳鉢でいちじくを粗くつぶします。
3.松の実・レーズン・スパイス類・塩(少々)を2.の中に加え、ざっくりと混ぜ合わせます。
4.サーモンは塩を多めに入れたたっぷりのお湯に入れ、10分ほど下茹でします。水を切り、あら熱が取れたら身をほぐし、骨や皮などを取り除きます。
5.予め用意したパイ皿に3.のフィリング(中身)を入れ、表面をならします。
6.5.の上にほぐしたサーモンを乗せ、表面を再度ならします。松の実が余っていれば加えてもいいでしょう。
7.上からパイ生地でふたをして、中心部分に十字の切れ目を入れ、170℃にあたためたオーブンで約60分から70分ほど焼きます。
8.焼きあがったらあら熱をとって、切り分けてすすめて下さい。

深き西洋中世の食レシピ総集編(2023/コストマリー事務局)より抜粋

…毎度ながら手間、かかるんです(吐血)。
ここで注目すべき食材は「松の実と赤ワイン」。そう、中世イングランドのお料理はこの2種類の食材登場率が滅法高いんです。

「松の実」というと、中華料理ででてくる細長いちっこい実でお肉料理とやたら合うアレなんですが、中世ヨーロッパでもよく使われてきました。油分がある程度含まれるので、それを好んだ方が多かったのかもしれないです。

もうひとつの「赤ワイン」ですが、これはタルトに関わらずどの料理でもよく出てきます。もっぱら、肉料理で煮込む系の時にはほぼ必須食材というぐらいよく使われたので、利用率はかなりのものだったんじゃないかと思います。実際、現在でも赤ワインで煮込んだ牛肉煮込みってめっちゃ美味しいですしね(ハラヘッタ)。

サーモンは淡水の環境で獲れる魚、鮭は海水の環境で獲れる魚なのでそれぞれの調理方法がちょっとばかし異なります。レモンソースのソテーも美味っすよね(涎)。

ビールよりワインにあいます(たぶん)

肝心のお味ですが、元々甘じょっぱいのが好きなので違和感的はものはあまりありませんでした。最初にサーモンの味と少しの魚の臭み、後からあまーーーいドライフルーツのあまーいフィリングがやってくるって感じです(大変伝わりにくい)。タルト生地と一緒に食べるとけっこうもふっとした食感になるんですが、少量でもけっこうおなかがいっぱいになります。
だいぶドライフルーツ感が支配しているので、よくある「ピザにパイナップル入れるとダメ」な方は苦手かもしれません。

タルトは基本的にまんまる1ホールを作るので、切り分けてちびちび頂くんですが、頑張って2切れが限界でした(あとは身内に全振り投げ)。
使っているタルト生地もお口の中の水分がもっていかれるもっさもさテイストなので、強いてあうお酒を挙げるとしたらビールより辛口系のワインかなー、と思います。

今回はイングランドのお魚タルトを取り上げましたが、近いうちにフランス版お魚タルトもご紹介できれば。作り方や使う食材がちと違うので、その比較も合わせてできればいいですねん。ドーバー海峡の壁ってコレね(*'▽')。

最後までご一読頂き、有難うございました(^-^)。


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