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冴えない父のヤバイ過去「ミスターノーバディ」

公  開:2021年
監  督:イリヤ・ナイシュラー
上映時間:92分
ジャンル:アクション・スリラー
見どころ:泥くさすぎる戦いっぷり

見ているこっちも、痛いですメ~。

映画における暴力表現というのも色々変わってきているのを感じます。

パンチ・キックで華麗に敵を倒していったり、カンフー映画であれば流れるような攻防戦が見ものだったりしますが、「ミスターノーバディ」は、痛みの伴う暴力っていうのが見どころです。

冴えないお父さんが実はめちゃくちゃ強かった、というのは燃えるシチュエーションですが、現実世界で誰かと暴力で戦うっていうのは、簡単なことではありません。

そこらへんにあるものを武器にするのかという驚きや、殴ったほうも当然痛く、攻撃一つ一つが生々しい。

こぶしで殴れば、こぶしから血が出てますし、叩かれても叩いても、どっちも痛い

物語冒頭では、そんな全身傷だらけの主人公をみるだけで、いったいどういうケガの仕方をしたのだろうかと思うホットスタートな状態から始まります。

何があって取り調べているのかわからない主人公の服の中から「にゃあ」と
子猫がでてくるあたりのギャップに一気に引き込まれてしまいます。

「ジョン・ウィック」の脚本家が書いたというだけあって、内容は似ているところはありますが、ゴミ出しすら満足にできないダメ親父が、娘のネコちゃんキーホルダーのために、次々と過去と暴力を復活させてしまうのは、燃える展開といえるでしょう。

暴力が暴力を呼ぶ映画としては「ヒストリー・オブ・バイオレンス」なんかもありますが、暴力表現が苦手な方は、痛々しくて見るのがつらいかもしれません。

ですが、時代も、物語も、暴力表現ですら、変わっていくことがわかる作品となっています。

ちなみに、個人的に「ミスターノーバディ」といえば、ジャコ・ヴァン・ドルマル監督の映画だったりするのですが、こちらは、離婚する父親と母親、どちらについていくのか選べなかった子供が、あらゆる可能性を体験する物語となっています。


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