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こんな大人がいたら、子供は変わる?映画「アトランティスのこころ」

スティーブン・キングといえば、数々の名作を生み出し、数多くの名作映画の原作となっています。

キングの作品に触れたことのない人の方が少ないぐらいではないでしょうか。

そんなキングの作品の映画化の中にあって、アンソニー・ホプキンスが出演し、且つ、大人になった主人公が、子供の頃の記憶を振り返りながら物語が進行していく「アトランティスのこころ」。

物語の大枠だけ聞きますと「スタンド・バイ・ミー」を思い出さずにはいられないところもであります。

少年の頃の友情と、だからこそ、ほろ苦く感じる大人になってからの感傷が見事に融合した「スタンド・バイ・ミー」もまた、知らない人のほうが少ない作品の一つではあるでしょう。

そのため、その流れで「アトランティスのこころ」見たとしても、それほど違和感はないかもしれません。

一方、アンソニー・ホプキンスといえば、「羊たちの沈黙」シリーズにおいて、人を喰らう博士ハンニバル・レクターを演じ、その圧倒的な存在感と演技力で知られる俳優となっています。

また、近年では「2人のローマ教皇」で教皇ベネディクト16世を演じ、「ファーザー」においては、認知症で何もかもがわからなくなっていく主人公自身を怪演しています。

演技力が抜群なのは言うまでもありませんが、ハンニバルのような凶悪な存在を演じることもできる一方で、優しさを兼ね備えたキャラクターも演じられるという点において、アンソニー・ホプキンスが出演するだけでわくわくしてしまう人も多いかと思います。

さて、「アトランティスのこころ」では、写真家の主人公のもとに、古い友人がつかっていたグローブが届くところから始まります。

「スタンド・バイ・ミー」が好きな人であれば、友人の死を知って振り返るという、物語の構造については、ほぼそのままだということに気づくと思います

ただし、内容としては、「シャイニング」のように、超能力的なものが存在するのかもしれない、という雰囲気を漂わせながら、少年が体験した不思議な老人との出会いと友情、青春の一ページが丁寧に描かれた作品となっています。

原作はもっと長い作品となっていますが、写真家の男の話だけに絞り、不思議な出来事を体験した11歳の夏という切り抜きを行っているところは、大胆な見せ方といえるところです。

ビルディングスロマンでもある本作品は、アンソニー・ホプキンス演じる老人によって、より深みが増しておりまして、自分が少年・少女だったときに、こんな大人がまわりにいれば、何かが変わったのかもしれないと、見ている我々もまた、ありえない情景を振り返りたくなる作品でもあります。

子供からみた大人であるとか、子供同士の友情、それを過去から振り返った時の思いなど、際立って派手なやり取りがあるわけではありませんが、見た後に刺さるものが多い作品となっています。


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