トマムのポスター見ると思い出す。映画「鉄道員(ぽっぽや)」
公 開:1999年
監 督: 降旗 康男
上映時間:112分
ジャンル:ヒューマン/ドラマ
見どころ:タブレットの出し入れ
「ぽっぽやって、ナニぃーー?」
と、某テレビ番組で叫んでいた外国の方をついつい思い出します。
降旗康男監督による「鉄道員(ぽっぽや)」は、これでもかと仕事一筋で家庭も何もかもを投げ捨てながらも、結果として、すべてまるっと救われる物語となっています。
かつての、日本のお父さん像の悲哀をエッセンスに凝縮しており、美談という風に見てしまうと、これを美談として語るとは何事だ、と怒る人もでてくるかもしれません。
高倉健演じる主人公は、父親も鉄道員であり、本人もまた父親に憧れて同じ職に就いた人間です。
駅そのものに住み込み、雨の日も雪の日も、汽車の受け入れを行っています。
たとえ娘が亡くなっても、奥さんが亡くなっても、電車は止まりません。
「交代がみつかったら、行く」
かつて、24時間働けますか、とビジネスマンは鼓舞され、家族をないがしろにして仕事をして家族を養ってきたという自負で生きてきたでしょうが、結果として、定年後は本人の希望とは大きく違う生き方をしなければならなかったりもしています。
小林稔侍演じる仙次は、定年後の就職先が決まっていない主人公に、一緒にプロスーツのネクタイを着て、働かないかと誘いますが、かたくなに断ります。
会社も永遠に雇ってくれるわけではないので、いつかは退職しなければなりません。
ましてや、駅に住み込んでいる主人公は、家まで同時に失うことになるのに、まったく、その先を考えていないのです。
主人公からすれば、仕事に捧げた人生であり、本人からすれば大満足ではあるでしょうが、かつての日本のお父さんを皮肉っているようにも見えてしまう一方で、美談ともとれる一種のホラーのような作品となっています。
退職後のことも考えず、鉄道員としての自分しかない主人公のもとに訪れた、正月の奇跡。
廃線となることで無くなる駅や、もう使われなくなるビンテージものの車両といった昔を支えていたものたちが不要になっていくこと、家族もおらず、うまく立ち回ることのできない主人公を重ね合わせながらみる映画となっています。
奇跡なのか、妄想なのかはわかりませんが、この作品を見た時に、どんな印象を抱くかは、人それぞれかもしれません。
ちなみに、汽車同時がぶつからないように管理するために、タブレットと呼ばれる穴の開いた丸い鉄がでてくるのですが、さりげなく使っているところが乙ですので、昔の駅の雰囲気が好きな人は癒されるかもしれません。
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