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言語学者のフィールドワーク気分を味わえるゲーム「7 days to end with you」

製  作:2022年
想定時間:7~8時間
ジャンル:言語/ミステリー/アドベンチャー
参考価格:520円(steam)

意味が分からないなりに、不思議とわかるのが驚きメ~

言語を推測して、物語を理解する。

ゲーム「7 days to end with you」(以後 7DTD)が気になっている人もいると思いますが、このゲームの面白くもおススメし難いところは、自分に合っているかどうかを調べるだけで、どんどんネタバレを踏んでしまい、このゲームの一番面白い部分が一瞬で失われてしまう、というところにあります。

本作品の面白さは、タイトルにも書いている通り、言語学者のフィールドワークの如く、主人公がいる世界がどういう言語体系かもわからず、何をいっているのかもまったくわからない状態の中で、なんとなく単語を想像し、自分で答え合わせをしながら、真のエンディングに向かって、理解を深めていく、というところに最大の面白さがあります。

未開の部族のところへ単身乗り込んで、その言語を習得しようとする言語学者そのものと言っても過言ではないでしょう。

ゲームに詰まるとついつい攻略wikiを見たくなってしまうところですが、「7DTD」に関しては、8割以上単語を埋めた上で、これ以上どうしたらいいかわからない、ってぐらい悩んだ後でみないと、必ず後悔することになるので注意が必要です。

近年のSF作品でいいますと「プロジェクト・ヘイル・メアリー」なんかは、序盤に、主人公が記憶喪失となっており、科学的な知識を駆使して、自分の今いるところの重力が地球と違うから、ここは地球ではない、ということを突き止めたりするところに、面白さの一端があったりします。

知らない分野の知識を習得する感じに似ているところですが、本当にまったく訳の分からないところから、ふとしたきっかけで視界が開けていく、という体験はなかなかに得難いものです。

「7DTD」も、操作方法から何から一切わからないの状態で、試行錯誤しながら、何者かもわからなかった女性の言葉の意味がわかったときの喜びといったら。

この面白さは、良くも悪くも、たったの一度しか楽しめないです。

自分自身のことを指さしながら、何か言葉を発していたら、高確率でその人の名前だ、と思うでしょう。

そして、主人公自身を指さして何かいえば、それは、主人公の名前かもしれない、と思います。

ゲームの製作者の方が、外国の人とのやり取りの中で、なんとなくコミュニケーションができるようになったという経験が、ゲームのコアにあるというだけあって、そんな、異文化交流も含めてゲームにできてしまうんだ、という驚き。

できる限り他の情報はいれない状態で、是非「「7days to end with you」をプレイしてみてもらいたいと思います。

これほど、ネタバレ厳禁といいたくなるゲームも珍しいです。

あと、関係はありませんが、ヴァイオレット・エヴァーガーデンの主題歌「Sincerely」の冒頭の歌詞も、ふと思い出したりしたところです。

おお、言葉のすばらしさ。


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