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『君は永遠にそいつらより若い』吉野竜平監督独占インタビュー 【前編】


いよいよ明日公開の映画『君は永遠にそいつらより若い』私たちチア部員と同世代の登場人物たちが自分と社会に向き合う、リアルを突き詰めた傑作の誕生です!

今回は公式宣伝パートナーの私たちが、吉野竜平監督に独占インタビュー!監督ご自身のお話を含め、本作の魅力を深掘りしていきます!

インタビューはごみけんとほのが担当!それでは前編スタートです!

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■登場人物の履歴書作成!?魅力的な人物像は細部まですり合わせる工夫のたまもの!


ごみけん:まずこの映画の主人公であるホリガイについてなんですが、少し変わっているけど、よくある大学生の悩みも持っていて、その場しのぎで人に合わせてヘラヘラする部分とか。そのあたりが魅力的でした。自分の周りを見ててもそういった悩みを抱えてる人が多いように感じていて、そういう人物だからこそ、観た人がホリガイに勇気づけられて何か行動を起こしたり、きっかけにつながるなと思ったんです。

そうしたホリガイの人物像、キャラクターを作っていく中でどういう工夫をされたとか、こういう想いをホリガイに託したとかありますか?

吉野監督:ホリガイの個性で何かを強調しようとするよりかは、いかにホリガイというキャラクターが特別に見えないようにするか、脚本に書くときも撮ってる時も注意しました。

ホリガイが物語の主人公だからといって、僕がホリガイに対して甘やかしたり、すごく特殊なスキルみたいなものを持っていたり、幸運に恵まれたりとかっていうことがとにかく起きない。

脇役の人が、たまたま映画の主人公になっちゃったようにしたかったので、むしろ強烈な個性は出したくなくって。

でも普通の人って、よくよく見るとすごく個性ってあるじゃないですか。なんとなく街にいる人でも、全員個性はあるわけで。

その個性を作っているのは、やっぱりその人の育ってきた環境であったり、家族構成とかじゃないかな。習い事何してたのとか、そういうことが個性に繋がると思うんです。

そこはちゃんとキャラクターとしてどういうふうに生きてきて、何が好きで、一番大事にしてるものは何かとか、ぶれないように軸として作って、脚本を書いたり、佐久間さんや奈緒さんとかと話し合って個性を作っていきました。


ごみけん:ホリガイもそうなんですけど、他の人物もそれぞれが抱えてる悩みが一個ずつあって、それが解決することなく、いい意味で中途半端に終わっていく感じもリアルに感じました。そういうところを大事にされたってことですね。


吉野監督:そうですね。現実って綺麗さっぱり解決することってないじゃないですか。自分の悩みだったり、友達関係でのトラブルだったり。

解決しなくてもいいけど、解決する過程での一瞬に、何か人との繋がりを感じたとかでいいと思って。

それだけで得たことはすごく大きいし、綺麗さっぱりチャラになることは、生きててそうそうないので、その中でも何を見つけられるかの方が大事だと感じています。



ごみけん:佐久間さんが取材の時に、ホリガイの履歴書を監督と作ったというお話をされていたのですが、それは今までもやってこられたんですか?


吉野監督:そうですね。メインの役どころだったり、役者さんが若いと、役を作るうえでズレがないように前もってやるようにしてます。


ごみけん:イノギもそういう履歴書など、細かい部分から奈緒さんと話し合って、作り上げたんですか?


吉野監督:撮影に入る前、佐久間さんと奈緒さんにはまず仲良くなってほしかったので、初めて顔合わせした時は「今日はほぼ何もやらないので二人でお茶でもしてきてください」と言って、お茶してきてもらいました。

そこで二人は馬が合ったらしく、すごく仲良くなって、その後に奈緒さんや佐久間さんとかとそれぞれ別々で話し合いました。

佐久間さんは15時間とか、奈緒さんは2回くらいキャラクターについて話し合ったのかな。例えば、家族構成、実家の本棚にはどういう本があるか、音楽のプレイリストとか、癖は何なのか、毎週必ず見てるテレビ番組とか映画に写らない部分を二人ですり合わせていきました。

100%同じイメージになることは絶対ないんですけど、95%くらいまではお互いイメージするイノギという人物、こういう時はこういうリアクションして、こういう表情するだろうなみたいなのが、ある程度共有できるように話し合いました。

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■映画のための人物じゃない。リアリティを突き詰めた個性豊かなキャラクターたち!


ほの:映画の中で男の友情とはまた別に、女の友情が丁寧に描写されていたように感じました。

女の友情を描く点で、そのお茶をするっていうのが効果的だったように感じたんですが、女の友情を描く点で難しかったことであったり、こだわった演出とかはありますか?


吉野監督:僕、姉と妹に挟まれているんですね。父親も海外に単身赴任していたので、家の中は母親と姉と妹でずっと女性の中にいて。

女性だけの空間の女性同士の会話ってちょっと違うじゃないですか。あの雰囲気がどういう風にすれば出せるのか、仲良い女の子二人でいる時のあの会話の雰囲気。周りの目を気にしないでおしゃべりして、大口開けて笑ったり、ガツガツもの食べたりとか。男の子とか異性が一人入っちゃうと、また崩れちゃうんですけど。そうならない前段階の会話ってどうすればできるのかすごく考えました。


ごみけん:原作よりも群像劇のようにしたかったというお話をされてたと思いますが、安田や吉崎、穂峰などのキャラクターでこだわったところはありますか?


吉野監督:それこそ、男同士の会話であったり。例えば、吉崎と穂峰二人だけの関係。そこに女の子の視線とかが入ってくると、気にしてカッコつけたりしちゃうんだけど。

でも男二人でいる時、アイドルでめちゃくちゃ可愛い子見つけたんだよみたいなことを話したりするじゃないですか。男子大学生くらいだったら、まだ小学生を引きずってるような部分もあったりするし、わちゃわちゃ楽しんでたり。

人の視線を気にしてない時の二人のすごく打ち解けた感じがどうすれば出るのかは、穂峰と吉崎にはすごく気にしてました。

安田に関しても、バイト先にこういう子いるよね?体育会系、野球部出身みたいな。いつも威勢よくて、ハイハイって真面目に返事するけどミスばっかり。だけど憎めない人。

男子校出身でずっとスポーツやってて、おしゃれできなかったけど、大学生になってオシャレできるようになって、そのセンスが本人はいいと思ってるけど、ダサいみたいな(笑)

でもそれってかわいいじゃないですか。どのキャラクターもみんな欠点があるというか、その欠点含めてすごく可愛いよねっていう風にはしたかったですね。

ごみけん:安田とかも結構悩みがシリアスで、それぞれが持ってるシリアスな悩みがあるキャラみたいな感じで作っていらっしゃるのかと思ったんですけど、そういう可愛さも意識されたんですね。


吉野監督:イノギに関しても、四六時中悩んでることってほぼないじゃないですか。例えば、悲しい出来事から7、8年経った今、ずっと毎日そのことを思いながら生きてるかっていうと、そんなことはなくて。思い詰めてたら、どっかで死んじゃってるし。

そうではなくて、グラデーションがあると思っていて、完全には忘れないけど、本当に1日に何度か思い出しちゃうとか。

ずっと悲しみが100%あるわけじゃなくて、時間とともに、ゼロになることはないんだけど、だんだん薄れていってる。

安田に関しても、四六時中悩んでるわけではなくて、でも日に何度かはすごく落ち込んじゃう。悩みのために生きてるキャラクターって、やっぱり嘘くさいと思うんですよね。 

ほの:友人の死やコンプレックスであったり、ネグレクトも、特に若者にとってはとっつきにくい重いテーマだと思うんですけど、118分でもすごくすんなり見ることができました。重いテーマでも受け入れられるっていのはそういう吉野監督の考えがあったからなんですかね?

吉野監督:そうですね。悲しいこととか辛い事とか背負ってても、日常は進んでいくんで。そればっかりに囚われては生きていけないし、時間とともにだんだん薄くなっていく部分もあったり。

全部悩み、私辛い、俺こんな悩みがあるっていう映画になると、観る人選んじゃうし、ちょっと感情移入しづらいですね。

辛い過去を背負ってても、それを表面上は隠して生きてるようにしたほうが観やすいというか、キャラクターとしてそっちの方がリアリティあると思っています。

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吉野監督インタビュー前編、読んでいただきありがとうございました!

キャラクターづくりの工夫とても面白いお話でしたね!リアリティへの監督の考え方も、普段からリアルについて敏感に考えていらっしゃるんだろうなと思いました。

後半は監督ご自身のお話も含め、映画から考える社会や他人との向き合い方についてお話伺いました。ぜひ続けてお読みください!



執筆:ごみけん、ほの


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