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紫陽花とポーリーヌ

「海辺のポーリーヌ」

初夏に咲く菖蒲やくちなし、紫陽花がそろそろ花の見ごろを過ぎようとしています。それはもうすぐ本格的な夏がやってくる合図。大好きな花なので、曇天の下、雨雫に濡れて咲いている紫陽花をずっと見ていたいのですが。
花びらのようにみえるものはガクで、ガクに隠れたプチプチしたのが花だと知ったのは、ずいぶん大人になってからです。

紫陽花を見られる所は東京にも数々ありますが、新宿に出かけたときに足を伸ばす先が、新宿中央公園内の「アジサイロード」。といっても、数十メートルのわずかな小道ですが、この公園は最近は芝生が整備され、ベンチも新設されて(スタバもある)、のんびりくつろげる場になっています。アジサイロードの先の、小さな丘を登ったところにガゼボがあって、そこでは楽器の練習をする人をよく見かけます。空想に耽るにもよさそうです。

土壌がいいのか、世話が行き届いているのか、優に背丈を越すビッグな西新宿の紫陽花たち

紫陽花で思い出す映画が「海辺のポーリーヌ」です。
紫陽花と同じくらい可愛くてたまらない、まさにトレトレ・ミニョンな映画で、おしゃれピープルのバイブルとして語り継がれていますね。
1983年のフランス映画(日本公開は1985年)で、わたしは映画館でエリック・ロメール監督特集が組まれたときに、過去2回、見たことがあるだけ。実はあまりストーリーの詳細を事細かに覚えていません。
思い浮かぶのは、紫陽花が咲き誇る庭でポーリーヌが従妹と一緒に朝ごはんを食べるシーンと、ポーリーヌの髪形が可愛いことと、ノルマンディーのビーチに立つ従妹の水着が派手なこと。
でも、紫陽花が咲くたびに、ポーリーヌのことを思い出してしまう。
「海辺のポーリーヌ」は、そういう、まるで自分自身の経験の断片のような映画なのでした。